第84話 筆記試験と結果
さて、模擬戦が終わったから治療をしないとね。【エリアヒール】を練兵場全体にかける。すると、傷の治った近衛兵たちからではなく、武官たちから声が上がった。「なっ!?伝説の【エリアヒール】だと!?」「古傷が消えた?」「ただの【エリアヒール】ではないな。素晴らしい。」などなど。因みに貴族様方は気分が落ち着いたのか顔色が良くなっている。それで、文官たちは「おお、これで治療費が浮く。」「全員が治癒したなら、新たに近衛兵を徴募せずに済むからよかった、よかった。」結局、お金ですか、そうですか・・・。
「ガイウスよ。お主の力のおかげで、余の近衛兵が1人も失われずにすんだ。流石は、フォルトゥナ様の使徒だ。礼を言わせてもらおう。」
「いえ、国王陛下。この状況にしたのは僕の責任ですから、当然のことをしたまでです。」
「うむ、殊勝な心掛けだ。さて、筆記試験は昼食を摂ってから始めるとするかの。試験内容は部屋付きのメイドに伝えておこう。誰ぞ、ガイウスを部屋まで案内せよ。」
すると、練兵場の出入り口の所に立っていた近衛兵が2人歩いて来て、「こちらへ。先導いたします。」と言ってくれたので、大人しく後ろを着いて行く。案内された部屋は謁見の間に近い、さっきと同じ控え室だった。部屋に入ると部屋付きのメイドさんも同じ人だった。その人が1枚の紙を差し出してきた。試験内容と時間が書かれたモノだった。
王国の歴史が60分。国語が60分。計算問題が90分の計3時間半ということだった。それぞれの間に10分ごとの休憩はあるみたいだ。ふむ、歴史は教会で嫌というほど学んだ。国語も問題ないだろう。計算問題だけが心配だけど、知力の高さでなんとかいけるはずだ。ちなみに、それぞれ7割正解で合格らしい。せっかくだから、満点目指したいね。
鎧を脱いで、偽装魔法袋に【収納】していると、昼食をメイドさんがカートで持ってきてくれた。とても美味しかった。さすがは王宮の料理だ。マナーが合っているかは気になったけど、何も言われなかったから大丈夫だったと信じたい。
昼食後のお茶をメイドさんとの会話とともに楽しんでいると、扉がノックされた。「お時間になりましたので、お迎えに上がりました。」メイドさんが扉を開けると、近衛兵ではなく、文官さんがいた。「ここからは私がご案内いたします。」と言われたので、「ありがとうございます。お願いします。」と言って、あとを着いて行った。
「こちらになります。席に着いてお待ちください。試験官が参ります。」
案内された部屋は机と椅子が真ん中にポツンと置かれた部屋だった。ただ、周りの装飾とかからして特別な部屋なのだろう。アルムガルト辺境伯家で宴会をした部屋を大きくした感じだ。実際、そう言う部屋なのかもしれない。
そう考えていると、背後の扉がノックとともに開かれ、数人の文官が入ってきた。その代表らしき人が、
「私が試験官だ。他の者は不正をしないかの監視だ。では、試験を始める。まずは歴史からだ。筆記用具はコレを使いたまえ。では、準備はよろしいかな?始め。」
そう言って試験官は目の前の椅子に座る。僕は解答用紙にどんどん記入をしていく。というか、知力補正のおかげで問題を見るとすぐに答えが頭に浮かぶ、後はそれを書きだすだけだ。そうしていると、正面に掛けられている時計で、30分経たずに終わってしまった。
「終わりました。」
そう言うと、すぐに試験官がやって来て、
「ふむ、確かに。では、採点を行うから部屋の外でゆっくりしていなさい。」
そういわれ、僕は部屋の外に出た。そこには、部屋に入る前にはなかった椅子が一脚置かれ、メイドさんがカートに飲み物を用意して待っていてくれた。僕は、ジュースを貰い、一息ついた。
5分ぐらいたったころだろうか、部屋の扉が開き、試験官が、
「全問正解だ。次の国語をもうするかね?」
と、問うてきたので「はい。」と返事し、ジュースを飲み干し、部屋の中に入る。国語は歴史よりも、もっと早くすんだ。また、さっきと同じように、今度は紅茶を飲みながら待っていると、3分で扉が開き、
「また、全問正解だ。計算問題もすぐするだろう?入りたまえ。」
ということで、計算問題を解いたけど、これも大幅に時間を短縮して30分で終わった。チートって凄いね。そして、また部屋の外で待つ。今度はコーヒーを飲んで。10分ちょっと経ってから、扉が勢いよく開き、試験官が、
「まただ。また、全問正解だ。君は・・・一体何者かね?」
「5級冒険者でフォルトゥナ様の使徒の平民、ガイウスです。」
「文官になる気は無いかね?」
「それは、なんとも返答に困りますね。取り敢えず、授爵が終わってからの話しでは?」
「ああ、そうだ、そのための試験だったからな。まあ、君は全て合格した。子爵の爵位を授けられるだろう。控え室で待っていなさい。謁見の間への迎えの者が来る。」
「わかりました。ありがとうございました。」
そう言って、メイドさんと一緒に控え室に戻る。30分ぐらいで近衛兵が迎えに来たので、ヒヒイロカネ製の鎧を手伝ってもらいながら素早く着装し、マントを羽織る。兜は脇に抱える。そして、近衛兵の先導で謁見の間に入る。最初のように仰々しい感じではない。そのまま国王陛下の面前まで行き、片膝を着き、頭を垂れる。
「面を上げよ。ガイウス。お主の能力は誠に素晴らしい。流石は短期間であれだけの功績を挙げ、フォルトゥナ様の使徒となった者であるな。模擬戦は文句なしの圧倒的蹂躙であったな。文官登用の筆記試験も全て正解とは、今の試験制度が始まって以来、初めてのことだ。さて、お主に授ける子爵の位だが、あれは無しだの。お主には伯爵の位を授ける。領地は統治が難しかろうが、王領であるナーノモン領を授ける。アイソル帝国との最前線であり、黒魔の森も迫っておるがお主なら大丈夫であろう。」
わーお、展開が早すぎてついていけないんだけど、どうしよう。あ、周りの貴族様方や武官たちに文官たちも唖然としている。え、これって受けないといけないの?なんかすごく面倒くさそうなんですけど。
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