第70話 ガイウス君の簡易治療所
「ユリアさん。とりあえず、治療を受けたい人たちからは、銀貨1枚のみを貰って、そうですねぇ・・・。練習場がまだ空いているのであればそちらに誘導をお願いします。」
「全員、銀貨1枚でいいの?銀貨10枚とか金貨1枚とかあったけど。」
「えぇ、級数や年齢、性別の関係なく銀貨1枚で結構です。ちゃっちゃっと終わらせましょう。」
「わかったわ。ただ、依頼受注件数とかの集計に必要だから、依頼発注用紙は出してもらうわよ。」
「はい、それで構いません。それでは、僕は練習場の方に行きます。」
「わかったわ。エレ、着いて行ってあげて。」
「はい、ユリアさん。ガイウス君、行きましょうか。」
「はい。クリスティアーネ達も行きますよ。」
僕たちはエレさんと共に練習場に向かう。背後ではユリアさんが、
「ガイウス君へ治療をしてもらいたい方は、報酬欄は銀貨1枚と記入してください!!受注者のガイウス君からのお願いです。それ以外は受け付けません!!」
と、声を張り上げて説明を始めていた。
さて、着きました。練習場。依頼者たちが来るまでまだ少し時間があるだろう。僕は魔法系の練習をして時間を潰しながら、エミーリアさんに【エリアヒール】の練習をするよう伝えた。ちなみに、クリスティアーネとローザさんは木剣で軽く打ち合っている。
「いいですか。エミーリアさん。【ヒール】を使用するときには、その対象の負傷した箇所1部分のみに集中していたと思いますが、【エリアヒール】を使うには、その対象を自分の指定した範囲内の人物、生物に絞り込んで、それらを包み込むように【ヒール】をかける感じでやってみてください。」
「わかった。やってみる。」
エミーリアさんが集中し始めると、周りの魔力が光輝き始めた。ってなんで魔力が見えるのさ。「【魔力認識】を取得しました。」さいですか・・・。なんでもありだな。チート。
それよりも、今はエミーリアさんだ。輝く魔力の量が増え、エミーリアさんを中心に半径10m以内が一番濃くなった時に、「【エリアヒール】」と彼女が唱えた。すると、指定した範囲に透明な膜みたいなものが上から降ってきた。成功だ。1週間もいらなかったね。と、ここで「【教育者】を取得しました。」オウ・・・。まあ、いいや。とりあえず成功を喜ぼう、
「エミーリアさん。凄いです。一発で成功ですよ!!」
「ありがとう。ガイウス。でも、これは結構、集中力と魔力を使って疲れる。」
「慣れたら大丈夫だと思いますよ。練習あるのみです。一緒に頑張りましょう。」
2人して“オー!!”と気勢をあげていると、クリスティアーネとローザさんが近づいて来て、
「できたみたいですね。おめでとうございます。」
「う~ん、流石はエミーリアと言った方がいいのか、ガイウスと言った方がいいのか悩むわね。とにかく、おめでとう。」
「2人とも、ありがとう。これもガイウスのおかげ。」
そう言って、エミーリアさんが頬にキスをしてくる。クリスティアーネとローザさんが「あー!!」と言っていたが、無視無視。だって、治療希望者さんたちが、ユリアさんに連れられやって来たんだもの。
ユリアさんとエレさんの2人掛かりで治療希望者たちを整列させる。全員で127人だそうだ。治療希望者のみんなは期待の眼差しで、僕を見ている。それじゃあ、一丁やりますか。
練習場にいる全員の全ての傷が全快するように思い描きながら、「【エリアヒール】」練習場全体を包み込むように、透明な膜が上から降ってきた。それが、練習場にいる各人を包み込む。膜が消え去ると、そこには、何の変化も無いように見える治療希望者たちがいた。失敗したかな?と思っていると、
「治った・・・。」「肘がしっかりと曲がる!?」「強張りがなくなった!!」などなど、【エリアヒール】はしっかりと効いたみたいだね。よかったー。あら、感極まって泣いちゃっている人とかいるよ。
落ち着いたころを見計らってユリアさんとエレさんが治療の終わった人たちを練習場から退室させていく。これで、少しは落ち着くかな。
さてと、次はどうするべきかな。これは。僕の目の前には、入れ替わるように練習場に入ってきて土下座している神官さんたちと苦笑いしている彼らを案内してきたアンスガーさんがいた。また、厄介事ですか。そうですか。アンスガーさん、骨折りますよ?
まあ、折角、ご足労頂いたわけだし、お話だけでもしましょうか。神官さんたちを立たせて、アンスガーさんに笑顔でお願いしてギルドマスター執務室を借りる。なんで、そんなに怯えた表情をするんですかねぇ・・・。アンスガーさん。
というわけで、やってきました。本日2回目のギルドマスター執務室。応接机を挟んで神官さん達と対面する。お茶とお茶菓子はエレさんが持ってきてくれた。さてさて、お話を聞きましょうか。
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