第51話 驚愕(ギルド職員が)
さて2回目の“処理・解体室”への入室だ。入ったとたんにグレゴリーさんが、
「帰ってきたと聞いて、デニスに任せるように準備している。どうせ今回も大物だろう?奥へ行け。デニスがすぐ来る。」
案内してきたユリアさんは受付に戻り、僕たちは指示に従って、奥へと行く。まずは、討伐部位の右耳が入った革袋が、“ドスン”という音とともに【収納】から出てくる。その後は、飛竜の死体を出す。計12体。これで、スペースがだいたい埋まってしまった。どうしようかと思っていると、
「おぉ、これまた、すごいね。」
デニスさんが来てくれた。
「こんにちは。デニスさん。実は、オークの死体が、オークロードなどの上位種を合わせて、3,784体あるんですけど、どこに出しましょう?」
「へっ!?3,784体!?ちょ、ちょっと待ってもらえるかな。グレゴリーさんに確認してくる。」
デニスさんは、グレゴリーさんのもとに走っていった。今の内容を話したのだろう、グレゴリーさんと周りにいるギルド職員が「はぁっ!?」と、驚いている声が聞こえた。すぐにデニスさんと共にグレゴリーさんが来て、
「本当に3,784体もあるのか?」
と聞いてきたので、首肯した。
「飛竜が12体いるだけでも驚愕に値するのに、オークロードを含む3,784体だと!?ふざけているのか!?」
「ふざけてませんよ。取り敢えず、オークの右耳はあの革袋の中に入ってます。数えてみてください。」
「わかった。待受けか酒場ででも待っとれ。」
そう言って、作業に取り掛かるデニスさんとグレゴリーさん、それと2人のギルド職員。彼らに「それでは、よろしくお願いします。」と言ってから、“処理・解体室”を後にした。酒場で適当に時間を潰そうということになって、併設されている酒場に向かうと、アントンさんが「ガイウス」と手を挙げて、招いていた。
アントンさんと同じテーブルにつくと、給仕の人が注文を取りに来た。とりあえず僕は果実水をローザさんとエミーリアさんはエールを、アントンさんもエールのお代わりを頼んだ。しばらく今日の依頼のことについて雑談をしていると、飲み物が運ばれてくる。アントンさんが「今日の無事に感謝を」と音頭を取り乾杯した。
アントンさんが杯をグイッと傾け、エールを流し込むと、
「しかし、さっきの話を蒸し返すようだが、今日の指名依頼は、お前さん達のおかげで、無事終了というわけだ。」
「アントンさんとしては、もうちょっと続いた方が良かったんですか?」
「うーむ。オークロードがいたわけだからなぁ。早く片付いた方が、被害が減る。だから、今回は早期解決した方が、結果的には良かったと思っているよ。俺は。」
「僕たちもそう思ってます。3,784体のオークが。オークロードを中心に、大規模集落を形成していたわけですから、早めに叩けて良かったです。それに、人質も救出できましたし。」
そう言いながら、果実水を飲む。人質が救出できたのはホントに良かったと思う。ゴブリンの時は間に合わなかったから、なおさらそう思う。
「“シュタールヴィレ”のみなさん。新しい冒険者証ができましたよ。」
ユリアさんがわざわざ酒場まで冒険者証を持ってきてくれた。「おっ、級数が上がったのか。良かったな。」とアントンさんが言ってくれた。裏表のない祝福は嬉しいね。僕たちはお礼と共に新しい冒険者証を受け取り、首にかける。「何級になったんだ?」とアントンさん。「みなさん、お揃いで6級ですよ。」とはユリアさんが代わりに答えてくれた。
「ふむ、6級か。一昨日の試合では、ガイウスはそれ以上の級数でも問題ないと、俺は思うんだがね。ローザとエミーリアは適正かな。決して、2人が弱いというわけではないから、勘違いはしないでほしい。」
「それは、私たちがよくわかっているわよ。アントンさん。ガイウスの力を目の当りにしたら、もう別次元だから言葉も出ないわ。そして、ほら見てそれを実感する人が増えたわよ。」
ローザさんが指さす方を見ると、デニスさんが走ってこちらに来る姿だった。「なるほど。」と、アントンさんは笑いながらエールを飲む。ユリアさんは呆れたようにため息をつく。
「ガ、ガイウス君!!さっきは疑ってすまなかった。もう一度、“処理・解体室”へ来てもらえないだろうか?」
「ええ、もちろん大丈夫ですよ。それよりも、息が切れているようですから、僕の飲み欠けでもよければ、果実水をどうぞ。」
デニスさんは、「ありがとう。」と言い、果実水を飲み干した。僕は、果実水の代金をテーブルに置き、ローザさんとエミーリアさん、アントンさんに、
「それじゃあ、ちょっと行ってきます。」
と断りを入れ、デニスさん、ユリアさんと共に“処理・解体室”へと向かった。
見てくださりありがとうございました。




