第39話 将来の目標が決まりました
「どうかしましたか?クリスティアーネ様。」
笑顔を作りながら、クリスティアーネ様に尋ねる。彼女は小首をかしげながら、
「用がないとガイウス殿は、私に会っては下さらないのかしら。」
と聞いてきた。質問に質問で答えるのはズルい。僕は真正面から、彼女の綺麗な目を見ながら、
「クリスティアーネ様にはまだ、婚約者がいらっしゃらないとお聞きしました。そのような状況で、いくら未成年とはいえ、男である自分と2人でいるところを見られるのは、よろしくないのではないでしょうか?」
「フフフ、私に婚約者がいない理由など、この宴に出ている者たちは、皆が知っていることですわ。ですからお気遣い無用です。それに、父上から先ほどのお爺様たちとの会話の内容を聞かせていただきました。」
ヴィンフリート様なにやっているんですか。と叫びたくなった。
「私のことを褒めていただき、ありがとうございます。また、ガイウス殿の「己の手で栄光は掴みたい」というお言葉、胸に響きました。」
「恐悦至極にございます。」
「貴方はアンスガー叔父上に勝ち、兄上たちにも勝ちました。あとは、私に勝つだけです。どうですか。私と勝負をし、私を娶りませんか?私は貴族の地位など要らないのです。ただ、私を愛し、お強い方と一緒になれればそれだけでいいのです。ガイウス殿・・・。」
そんな潤んだ瞳で見つめないでください。恥ずかしいです。あぁ、僕はどうすればいいのか。なんで僕なんですか。誰か助けて。
「姫。ガイウス殿がお困りですぞ。」
「バウマン団長。私は別に、ガイウス殿を困らせようとは・・・。」
「姫。妻帯者たる自分から言わせていただくと、恋と云うものは人を盲目にさせます。ここは、一度、ガイウス殿と距離を置き冷静に考えるべきかと。」
あぁ、コンラート団長、ありがとうございます。助かりました。取り敢えず、この場で返答はせずにすみます。
「それに、ガイウス殿にも時間が必要かと。」
ヘッ!?どういうこと!?
「ガイウス殿の功績は確かに素晴らしいものです。しかし、それは12歳の9級冒険者としての話です。盗賊やゴブリンキングの討伐、準3級冒険者にギルドマスターとサブギルドマスターとの試合の勝利、そして、今日の模擬戦の勝利。確かに凄まじいものではありますが、まだ、足りませぬ。」
「父上は、十分だと思っているようですけど。」
「確かに、自分の目から見ても十分だと思います。しかし、世の中それで良しとしない者もごまんと居ります。特に我々、貴族の中には多くおります。矜持だけが肥大した者にとっては尚更です。ですので、ガイウス殿には成人されるまでに、誰もが称賛するほどの実績を積んでいただければいいのです。」
あっ、僕の味方はこの会場にはいないんだ・・・。
「ガイウス殿!!」
ズズイとクリスティアーネ様が近づきながら呼びかける。
「はい、なんでしょう?」
「ガイウス殿には成人するあと3年のうちに功績を打ち立て、私と夫婦となっていただきたいと思います。そのとき、貴方は15歳、私は17歳。どうでしょう?」
「その、辺境伯様やヴィンフリート様のお許しが出ないのでは・・・」
「「もちろん、許すとも可愛い娘(孫娘)の願いだ。」」
後ろを振り向くと、ダヴィド様とヴィンフリート様が笑顔でおられた。もしかすると、全部、聞かれていた?
「「それで、ガイウス殿はどうなのかな?クリスティアーネでは不満かな?」」
あぁ、お2人の背後に龍が立ち上るのが視える。僕としても、今日、知り合ったばかりのクリスティアーネ様のことを、可憐だと思っている。交流のある他の貴族のご子息様たちは一層そう思っているに違いない。ここは男を見せる時だ。
「クリスティアーネ様は可憐で魅力的で素晴らしい女性だと思います。身分の差が無ければ夫婦になりたいと思うぐらいで御座います!!」
正直に思っていることを、大声で言ってしまった。一瞬で会場が静まり返り、すぐにダヴィド様とヴィンフリート様の笑い声が響く。
「聞いたか、ヴィンフリートよ。」
「はい、父上。」
「皆の者、この場にてガイウス殿を我が孫娘クリスティアーネの婚約者候補とすることをここに宣言する。ガイウス殿には夫となるにふさわしい功績を成人となる3年間の間に積んでもらうこととなる。儂はそれを心から願う。」
静まった会場にダヴィド様の声が響き、それに遅れ一斉に拍手が沸き上がる。取り敢えず、村を出て3日目で婚約者ができました。これが能力の【フォルトゥナの祝福】おかげかなぁ。
見てくださりありがとうございました。




