第27話 呼び出し・その7(結局・・・。)
結局、辺境伯様からの返事がきたらその内容次第で会うことになった。一緒に行くのは辺境伯次男でギルドマスターのアンスガーさんはもちろん、ローザさんとエミーリアさん、そしてなぜかユリアさん。
ユリアさん曰く「久しぶりにダヴィド様(辺境伯様のお名前らしい)にお会いしたい」とのことだった。なんか怖い笑みを浮かべていたけど僕はなんも見ていない。そして、面白半分怖さ半分でアンスガーさん達との試合前に彼女のステータスを鑑定しなければよかったと後悔していた。絶対何か起こるよ・・・。
その後は、雑談をしながらお茶とお茶菓子をいただいているうちに、エレさんが戻ってきて預かり証を返してくれた。また、報酬の白金貨9枚も3等分して革袋に入れて持ってきてくれた。3枚のうち1枚は金貨100枚に両替してくれているようだった。町の買い物で白金貨なんてなかなか使う機会無いからね。この対応はありがたい。
もうすでに窓から太陽は見えなくなっていた。そう、この執務室にも高価な透明ガラスがはめ込められた窓があるのだ。僕は(絶対に実家に透明ガラス入りの窓を付けるんだ)と気持ちをあらたにした。
さて、日がもうほとんど落ちてきたということは今は5時過ぎくらいだろうか。すると“ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン”と音が背後から聞こえた。「おや、もう5時か」とアンスガーさんが言う。「今のは?」と僕が尋ねると、僕の背後を指さし、
「時計だよ。初めて見たかな?」
「いえ、教会にもありましたから見たことはあります。しかし、今のみたいに音で時間を伝えることはしませんでした。代わりに教会の鐘が時間を教えてくれていました。もしかすると、村長さんとか裕福な家庭にはあったのでしょうけど、僕の家はしがない農家兼畜産家なので時計はありませんでした。」
「ふむ、ならこれは見たことあるかな?」
そう言いながらアンスガーさんは懐から丸いものを取り出して、スイッチを押した。すると半分が開き、時計の文字盤が出てきた。
「懐中時計というものだよ。最近、といってもここ10年くらいかな。そのぐらいから出回り始めたものだね。」
「お高いんですか?」
「まぁね。モノにもよるけど高いよ。ただここのネジを巻きさえすれば、何処でも時間がわかるから便利ではあるね。」
ほぉーっと感心したように見ていると、アンスガーさんが「私のお古で良ければ、あげようか?」などと聞いてきた。僕はそれを「冒険者ですので自分の報酬で手に入れたいと思います。」と返事をした。アンスガーさんは笑いながら頷くと懐中時計を懐にしまった。
「さて、もう夕食の時間になるわけだが、ガイウス君たちはどこかで食べるか決まっているのかな?決まっていないのなら、もう少し話をしたいからご一緒したいのだが。」
「すみません。今、みんなで泊まっている宿で夕食も出るのでそちらで食べようかと。お誘いに応えられず申し訳ありません。」
もう、これ以上話をすると色々とボロを出しそうになるから早く『鷹の止まり木亭』に戻りたい。アンスガーさんは「そうか。残念だね。」と言って、諦めてくれた。
「それでは、僕たちはここらで失礼します。」
と言って席を立ち出ていこうとすると、アラムさんから、
「そう言えば、泊まっている宿の名前を教えてくれるかな?辺境伯様から返事が来た時になるべく早く伝えたいから。」
「『鷹の止まり木亭』よ。」
僕の代わりにローザさんが答えてくれる。アラムさんは「わかった。ありがとう。」と言って、扉を開けてくれた。僕たちはアンスガーさん達に頭を下げ退出した。
そうして、僕たちは『鷹の止まり木亭』に戻ってきた。装備を部屋に置いて併設されている食堂に集まり、夕食を摂った。その後、ローザさんとエミーリアさんは果実酒とつまみを頼み、僕は果実水を頼んで今後のパーティの活動方針について話し合った。
結果としては、辺境伯様の返事が来るまでは町から離れるような依頼は受けずに、森で適当に狩りをするということに決まった。まぁ、今まで通りということだね。そして、「おやすみなさい」と言って先に部屋に戻った。
しかし、我ながら今日も濃い1日を過ごしたものだとシャワーを浴びながら思う。そう、『鷹の止まり木亭』には、ある一定程度以上のランクの個室にはシャワーとトイレが備わっているんだ。どっちも魔道具だから高価なんだろうなぁと思いながら体を洗う。ただ、残念なのはシャワーヘッドが壁に固定されているから、顔を洗ったりするのは1階に下りて井戸で済ませなければならないところかなぁ。でも、シャワーとかトイレとか付けたのも最近ということなので時が経てば、また使いやすく改築していくのかもしれない。
さっぱりとした状態でベッドに寝そべる。そのまま瞼が重くなり僕は眠りについた。しかし、眠りについても僕には休む暇は無いようだ。
なんでかって?だって、今、目の前で地球の神様が僕に向かって土下座して、その頭をフォルトゥナ様が踏みつけている光景を見ているからさ。
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