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第107話 救出

「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 雄叫びをあげながら、戦場を駆け巡る。僕の通ったあとにはコボルトの死体しかない。いや、呂布がいる。彼は僕の取りこぼしを片づけながらも着いてきている。上位のコボルトだろうが、子供だろうが関係なく殺す。1体でも逃せばそいつが群れをまた作る。しかも、学習してだ。そのためにも、今この集落にいるコボルトは鏖殺おうさつする。


 集落の長であろう、コボルトキングは既に討ち取った。それにも気づかないコボルト達は、牙を剥き、爪を立て、武器を手に向かってくる。そんなのお構いなしに突っ込んでは、回収した短槍で刺し、ソードシールドで押し潰す。


 攻撃を開始してから30分ほど経って、ようやく最後の1体を倒した。その顔は、恐怖と絶望に染まっていたがしったこっちゃない。人間に手を出した時点でどちらにせよ討たれるんだ。それが、早いか遅いかの違いでしかない。


 呂布に配下を指揮させ、コボルト達の死体を一ヶ所に集める。その時に討伐証明部位の右耳を削ぎ取るようにお願いしておく。


 さて、僕は捕らえられていた人たちの治療に行きますかね。その人たちがいる大きめの小屋に向かって歩いて行く。周囲の光景を見ながら(この集落もまた焼き払わないとなあ。)と思いながら歩いていると、何やら怒鳴っている声が聞こえてきた。何だろうと思っている小屋の中に入ると、ユリアさんが、四肢のない男女に向かって説教していた。


「“コボルトだから大丈夫だと思った”ですって!?何を考えているんですか貴方たちは!!通常のコボルトは確かに1体の力はそこまで強くありません。しかし、群れになると、ロックウルフよりも手強てごわい相手です。それを、先を急ぐためとはいえ、遭遇した際に殲滅しないなど、“また、襲ってください”と言っているようなものなんですよ!!特に黒魔の森に近い道を通るなら尚更です。6級の冒険者なんでしょう?それくらいは知っておきなさい!!今回は、私たちが間に合ったからよかったものを、もう一度、10級からやり直してほしいくらいです!!」


「「「「「すみませんでした!!今後は気を付けます!!」」」」


 涙を流しながら、冒険者であろう男女の5人組はユリアさんに頭を下げて謝っていた。


「あー、ユリアさんお説教はそのくらいで、うわっ、凄い人数ですね。30人くらいはいるのかな。」


「はい、ガイウス君。捕まっていたのはニルレブを本拠とする商人さんとその商品である奴隷たち、それと護衛の冒険者たちです。一応、全員、命はあります。捕まったのは昨日で他の食料品関係の荷物は先に食べられちゃったみたいですね。」


「それで、捕らえた人たちの四肢を喰っていたと。」


「はい、そのようですね。」


「ふむ。でもなんで胴体とかは残していたんでしょうね。」


 そう疑問を口にすると、「あの・・・。」という声が聞こえた。その方に目をやると、四肢のない犬?狼?獣人の男性がいた。


「貴方は?」


「私は、奴隷のダグと申します。見ての通り狼の獣人です。片言かたことですがコボルトどもの言っていた言葉を聞きとれました。その中でアイツらは、“飼育して数を増やして食べる”と云うようなことを言っていました。」


 その言葉を聞いたアントンさんが、“うげえ”という顔をしながら「人間牧場かよ・・・。胸糞わりぃ。」と呟いていた。阻止できたからいいじゃないですか。さて治療だ。切り落とされた四肢の部分は、焼灼止血法で処置してあるが、火傷の跡が酷い。それに、このまま、ヒールで火傷跡や傷跡を治しても四肢が無ければ働けない。あまり、使いたくないけど【リペア】を使おう。


 しかし、その前にしておくおことがある。


「この奴隷たちの今の持ち主さんは誰ですか?」


「私です。商人のゴームと申します。この度は命を救っていただきありがとうございます。」


 四肢が無い状態で頭を下げてくる。


「ご丁寧な挨拶をどうも。5級冒険者のガイウス・ゲーニウスと申します。」


「ゲーニウス辺境伯様でしたか!?お手を煩わせ申し訳ありません。」


 驚いて、倒れてしまった。起き上がるのを手伝いながら、伝える。


「いえ、自分は冒険者として此処にいますので、お気になさらず。しかし、なぜ、僕の事を?」


「商人は情報が命綱の1つですから。色んな伝手つてから情報が集まってくるのですよ。もちろん、辺境伯様がフォルトゥナ様の使徒であることも知っていますよ。」


「ふむ、優秀な商人なのですね。では、商いの話しをしましょう。僕は貴方の商品の奴隷を現状で全員買い取ります。おいくらですか?」


「全員ですか!?」


「はい、全員です。ゴームさんが普通の商人であれば、彼らは借金奴隷や身売りした方たちでしょう?」


「え、ええ。犯罪奴隷や戦争奴隷ではありません。あれは、国の管轄ですから。」


 よし、裏も取れた。あとは、値段だけどいくらかな?


「それで、おいくらですか?」


「ううむ。全員、若いですが四肢欠損しておりますので、26人全員で金貨1枚でいかがでしょう?」


「買います。後で値を上げるのは無しですよ?」


「もちろんですとも。彼らも、これから先の人生はお先真っ暗に近いですが、辺境伯様がご購入されるのであれば、そう酷い結果にはならないでしょう。」


「そうですね。そして、ゴームさん、貴方もこの先の人生を生きていかなければなりません。」


 そう言って、僕は、背中から純白の翼を生やし、フォルトゥナ様の使徒であることを強調しつつ、ゴームさんの失われた四肢が戻るのを思い浮かべながら、唱える。


「【リペア】。」

見てくださりありがとうございました。

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