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魔法使いに平穏は訪れない  作者: 三上堂 司
生徒会長冬城燈華の優雅?な一日

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Ex.壁から生えた髑髏 『その漆』 魔法使いとのお茶会

今回も燈華の視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。


※Exエピソードになります。

時系列をある程度無視しておりますので、本編と関わりなく楽しめるようになっております。


加筆と修正を行いました(2025/1/11)

 西園寺(さいおんじ)(つむぎ)とのお茶会は緩やかに始まった。

 紡の家、家と呼ぶには立派な西洋建築のやかたに住むようになってからまだ数日しか経っていないけれど、お茶会の習慣は既に燈華の生活の一部になりつつある。


 紡がイギリスから取り寄せた茶葉を使って淹れてくれた紅茶を飲み、買ってきたケーキを一口食べ、ソーサーにカップを置くまで無言だったのはいつものこと。

 ケーキも紅茶も冬城燈華にとっては美味しかったけど、紡が美味しく感じたかどうかがこの後の相談に大きく関わる。


 組み合わせが悪いと紡の機嫌が悪くなり、結果的に彼女は真剣に相談には乗ってくれなくなる。

 燈華(わたし)としては、何がなんでも外す訳にはいかない。


「―――ケーキ、とても美味しいわ。

 私が用意した紅茶との相性も良い。ええ、合格を出してあげる」


 紡の好きそうなケーキを選び、おそらく使うであろう茶葉の予測をいくつか立て、どれにでも合いそうなものを選ぶ。

 簡単そうでとても難しい。

 失敗できない選択をするのは、とてつもなく頭を回転させて思考を巡らせる。

 魔力を使ってまで、ケーキを選ぶ為の思考の速度を上げる。

 正直な話しをすると、無駄以外の何物でもないけれど、それでも燈華は失敗する訳にはいかない。


 面倒ごとや厄介なことはさっさと済ませたい。

 その為ならなりふり構ってはいられない。

 その結果が実を結んだと、燈華(わたし)は確信した。


「気に入ってくれたなら良かったよ。

 私としてはかなり真剣に考えて選んだから」

「そう―――それなら、私も真剣に相談とやらに乗らないとダメね」

「良かった……これで真剣に聞いてもらえなかったら困っちゃうところだったよ」

貴女(アナタ)が困る姿っていうのも見たいけど、私はそこまで意地悪じゃないわ」


 どうやら、目的だった相談に乗ってもらう事には成功したようだけど、最後に燈華が困る姿が見たいという紡の一言は確実に本心だ。


「じゃあ、相談事に入らせてもらうね」

「良いわよ。

 さあ、聞かせてちょうだい。私への相談っていうものを」


 紡がしっかりと聞く体制を取ったことを確認し、今日学校で見たモノを具体的に燈華は話し始める。


 朝登校した時から感じていた殺気のこと。

 強すぎる殺意の念が、何故か燈華と大津(おおつ)秋姫(あき)に対して向けられていたこと。

 他の生徒や教師には、今のところは特別被害がなさそうなこと。


 燈華(わたし)と秋姫でいくら考えても思い当たることがないので、魔法使いとしての紡の意見を聞きたいという事を三十分かけて伝える。


「どうかな?

 (つむぎ)はどう思う?」


 紡にどう思ったかを尋ねると、彼女は紅茶を一飲みし、唇に指を当てて考えている。

 しかし、その仕草で燈華は(だま)されない。

 パッと見真剣に考えているように見える仕草だが、実際はそこまで真剣に考えていない。

 紡とは長いと言えるほどの付き合いではないけれど、彼女のことはおおよそ理解している。

 あれは……もうおおよその検討はついていて、その上でどうからかってやろうかと考えているときの仕草だ。


「私の考えで良いのよね?」

「うん。

 だけど、からかったりするのはダメだからね」

「―――分かっているわよ」


 少しだけ開いた間が、紡の取ろうとした行動が考えていた通りだったことを確信する。

 先に釘を刺しておいたのは正解だった。


「まず、朝に殺意を感じたってことだけど、たぶん教室で見たっていうソレとは関係ないわ」

「どういうこと?」

「貴女言ったでしょう。朝早々に告白されたって」

「確かに言ったけど……」

「殺意と感じたのは、その男の子の(よこしま)な思いよ。

 ヒメも感じたのは、その子がいつも一緒にいるヒメの事を邪魔だと思っているから。

 それが殺意として感じたのは、貴女とヒメにとってそういう感情が良くないモノとして、一纏(ひとまと)めで認識しているからよ」

「朝に感じた殺意は私とヒメの認識の問題っていう事ね。

 まあ、そこらへんは後でもう一度聞くとして……じゃあ、次は?」


 紡は紅茶を一飲みすると、ポットの中身から追加を注ぐ。

 紡が二杯目を注ぎ終えると、丁度ポットの中身が空になったようだ。

 新しくポットの中身を足そうと動く紡を秋姫が制し、秋姫が追加の紅茶を淹れにキッチンへと立つ。


「じゃあ、ヒメが追加の紅茶を淹れてくれている間に、話しを進めましょうか。

 次は何で教室の中のモノからの殺意が、燈華(トウカ)秋姫(アキ)の二人にだけ向けられているのか、だっけ?」

「そう……恨みを買ったような記憶は私には思い当たらないんだけど」


 燈華は、まったく身に覚えがない。

 それどころか問題の教室に入ったのは今朝が初めてのことだ。

 おそらく、燈華と秋姫が入学するよりも前からいたモノだ。


「教室の壁に生えていたっていうソレだけど……ハッキリ言うけど、早く始末しないとマズイことになるわよ」

「マズイことって……そんなにヤバいモノなの?」

「私にとってはそこら辺を漂う塵芥(ちりあくた)と同じだけど、見習いの貴女にとっては最初の試練になるかもね」

「どんなものか詳しく聞いてもいい?」

「その話しは私にも聞かせて欲しいわ」


 丁度、紡のカップの中身が空になるのと同時に秋姫がポットを手に戻ってきた。

 紡のカップに三杯目を注ぎ、秋姫は席に着く。

 再び三人になったテーブル。

 紡は仕切り直しと言わんばかりに紅茶を一飲みする。

 

「じゃあ、ヒメも来たことだし、続きを話そうかしら」


 紡が語りだすのを秋姫と一緒に待つ。

 最初の試練とやらがどんなものなのか、しっかりと準備をする為に、紡の話しをしっかりと聞くべく燈華(わたし)は耳をすませる。



燈華の視点、どうでしたか。

久しぶりに燈華と秋姫以外の人をしっかりと喋らせた気がします。

更新が遅く、楽しみにしている方々には申し訳ないです。


お読み頂き、ありがとうございます。

「面白かった」「続きが気になる」等、思って頂けましたら、ブクマ・評価頂けると大変励みになります。

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今後ともよろしくお願いします。

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