Ex.壁から生えた髑髏 『その伍』 教室の異変
壁から生えた髑髏、まだまだ続きます。
今回も引き続き燈華の視点です。
楽しんで頂けたら幸いです。
※Exエピソードになります。
時系列をある程度無視しておりますので、本編と関わりなく楽しめるようになっております。
加筆と修正を行いました(2025/1/10)
生徒会室に戻った冬城燈華と大津秋姫はそれぞれの作業を進めることにした。
生徒会室内に設置した電気ケトルで湯を沸かし、インスタントのコーヒーとお茶を飲みながら、燈華は祝辞の文を頭に叩き込む。
秋姫のキーボードを叩く音が止まり、燈華は顔を祝辞の紙から視線を上げた。
「そろそろ誰も校舎内にはいなくなったと思うけど、秋姫はどう思う?」
「燈華ちゃんと同じ。流石にもう生徒は残っていないと思う」
半日で生徒の拘束時間は終わっている。
教師は明日の準備に追われ、それは生徒に対して部活動の休止を告知される結果となった。
部活動を行えないのであれば、わざわざ学校に残っているような珍しい学生は、燈華の知る限り我が校にはいない。
「なら、朝のアレについて話そうか。
見回りの先生が入って来ないように、気配と物音には気をつけて」
「そうだね。燈華ちゃんへの告白とかいろいろあってそれどころじゃなかったからね」
朝のアレ。
教室に入る前から強烈に感じていた怨みのこもった思念。
どこから感じるのかを探りながら教室へ向かうと、そこが発生源だった。
「学校に着いた時から感じていたけど、あそこまで強烈なのって去年までは感じなかったよね?」
「私も感じたことなかったよ。
燈華ちゃんよりかは、そういう方面に対してのアンテナは強いと思うけど、去年までは一切感じなかったってことだけは確信をもって言えるよ」
「じゃあ、原因として考えられるのは?」
「この前あった地震が一番可能性としては強いと思う。
どこかで祠か何かが崩れて、あんなのが出てきたって考えた方が自然だし」
「そうだよね……私も秋姫の言う可能性が一番高いと思う。
後は、考えたくないけどこの場所に因縁があるか」
「そうだね。余程強い恨みがあるのか、縁が深い相手がいるのかは分からないけど、余程強い思いだという事は確かだと思うよ」
「そうだね……なにせ―――」
「「姿形がハッキリと認識できるほどだからね……あの幽霊」」
教室に入って真っ先に感じたのは、恨みと殺気がこもった視線。
感じた方へと視線を向けると、壁から生えるように存在していたソレと目が合った。
ドス黒い靄のようなものをまとった人だったもの。
一部の肉だけが腐敗して残っており、他は白骨化していた。
まさか、日本でゾンビを見るとは思っておらず、一瞬だけ固まってしまった。
そこに声をかけられて、上手くゴマかせたものだと朝の自分を褒めてあげたい。
「朝からあんなもの見てさ……臭いまで感じそうだったし、よく吐かなかったと私自身を褒めたいよ。
アレ、どうしようか?」
「とりあえず、帰ってから紡さんに相談してみませんか。
私たちと違って、こういう事には慣れていると思いますし」
「じゃあ、今から帰って聞いてみようか。
紡の方は明後日まで学校休みだから、家にいるだろうし」
「一応アポイントを取ってからの方が良いと思うよ。
同じ家で暮らしているとはいえ、紡さんに用事がないとも限らないし」
秋姫に言われ、スマートフォンを取り出し、西園寺紡の連絡先をタップする
少しの呼び出し音。
いつもよりかは早く電話に出てくれた。
『……もしもし』
「あ、私。燈華だけど、今大丈夫?」
『……良いけど、電話までよこして私に何の用なの』
「紡に相談したいことがあるんだけど……これから帰るから、そのあと時間ってもらえる?」
『……別に構わないけど』
「じゃあ、これから帰るね」
『お茶菓子よろしく……』
何が良いのかを聞き返そうとしたけど、声を発するよりも前に電話は切れてしまった。
電話に出て最初に発した声が、少しだけ機嫌悪そうだったことから考えるに、たぶんお昼寝でもしていたのかな?
それとも今起きたのか……
「紡が好きなケーキを買ってから行こうか……」
「機嫌悪そうだった?」
「うん。少しだけ……」
「じゃあ、クッキーも買って行きましょうか」
「そうだね」
祝辞の文を生徒会長用の机の上に置き、ケトル等使用したものを片付ける。
帰り支度を整え、生徒会室に鍵をしっかりとかけたことを確認して、玄関へと向かう。
燈華の視点、どうでしたか。
最近、一話当たりの文字数が少なく申し訳ないです。
楽しんで頂けますよう更新を続けますので、お付き合いいただきたく思います。
お読み頂き、ありがとうございます。
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