Ex.壁から生えた髑髏 『その壱』 冬城燈華の災難
今回は燈華の視点です。
今回のEXエピソードは話しの中で出てきたことを掘り下げます。
楽しんで頂ければ幸いです。
※Exエピソードになります。
時系列をある程度無視しておりますので、本編と関わりなく楽しめるようになっております。
それはある日突然燈華たちの教室に現れた。
何故、それがあるのかは前々から気付いていたが、目に見える形で現れるとは思ってもいなかった為……
「こ、腰が抜けた……」
燈華が床にペタンと座りこんでしまって言った一言がこれだった。
そもそもこれが教室にあるのに気づいたのは春、進級してクラスが変わった四月の最初の登校日だった。
時間は遡って四月七日、二年になって最初の登校日。
「本当に生徒会長になるだなんて……ついてない」
朝から盛大な溜息をついて、燈華は幼馴染の大津秋姫と登校していた。
一年の秋に生徒会選挙に推薦され、一年の燈華が当選する訳ないだろうと静観していたら、あれよあれよという間に気が付けば生徒会長の椅子に座っていた。
全ての原因は、あまりにも適当過ぎる他の立候補者たちが不甲斐ないことだ。
燈華は、最低限のことしか答弁していないのだから、他者が不甲斐ない以外の理由が見当たらない。
「燈華ちゃん、過ぎたことを後悔しても仕方ないよ」
「姫は当事者じゃないからそんなこと言えるんだよ。
なんで私がこんな連中の面倒を見なきゃならないのよ」
周りを見渡すと、長期休暇が終わったことを嘆いている人、友達と楽しそうに会話をしている人、そして下品な視線を向けてくる人。
こんなどうしようもない連中の為に余計な仕事を抱える事になったと考えると憂鬱にもなる。
「燈華ちゃん、私も副会長だから巻き込まれているんだけど」
「アハハハ……」
秋姫の言葉に笑って誤魔化すしかなかった。
巻き込んだ張本人である以上、嫌味を言われるのは仕方ないことだ。
「それはそうと、これで卒業までは同じクラスだね、姫」
「そうね。まあ、巻き込まれたことはこれ以上言及しないでおいてあげる」
「ありがと」
教室まで上る階段の数が少なくなったことだけは良いことだと、秋姫と話しながら教室の前に来る。
教室の前でクラスを間違っていないかと確認するために足を止めると、急激な寒気に襲われる。
寒気の正体を探すために隣の秋姫へと視線を向けると、視線が合う。
どうやら、同じことを考えていたらしい。
「私でも姫でもないとすると、寒気の正体は教室の中かな?」
「燈華ちゃんは寒気で感じたんだね。
私は視線。それもトビキリの恨みがこもったやつ」
教室の中へと進む。
中には既に何人かの生徒がいる。
見知った顔もいるので、軽く挨拶をして、自分の席を探すついでにクラス内を見渡す。
見渡した後、当たりを付けてから秋姫と視線を交わす。
「冬城さん、どうしたの?」
「ん? いや、これから生徒会室にも行かなきゃいけなくてねー。
それが面倒だなぁって思っていただけだよ」
「冬城さんと大津さんは役員だもんね、大変だね」
「そう、大変だよー」
昨年のクラスメイトと軽く会話をする。
そろそろ秋姫を誘って生徒会室へ場所を移そうかと考えていると、
「燈華さん、おはよう」
学級一のイケメンだと噂される佐東渉に挨拶をされた。
一年の頃から燈華に気があるらしいという話しを誰かからなのか忘れたが、聞いたことがある。
「おはようございます、佐東くん。私に何か用ですか?」
極めて義務的な対応をする。
その様子を見てなのか、『あっ……』と隣の席から声がする。
「おはよう、燈華さん。これから時間あるかな?」
「残念ですけど、時間はありません。
これから生徒会室まで行かなければなりませんので」
「じゃあ、放課後に時間作ってもらえないかな」
一度断ってもまだ食いついてくる。
どうやら遠回しの断り方では通じないらしい。
こういう相手にはハッキリと言わなければならないらしい。
「放課後であろうと暇ではありません。
何故、私があなたの為に時間を作らなければならないんですか?」
「燈華さん、僕は君のことが好きなんだ!
放課後にデートをしたりしたい。僕と付き合ってほしい」
新学期早々の朝、登校直後にクラスメイトの前で告白された。
またかと思いつつも、どうやら燈華の噂を知らないらしい。
噂の更新をすることになると分かりつつも、ハッキリと伝えねばならないことを伝える。
「そうですか……ですが、私は貴方のことが好きではありません。
貴方のお気持ちも正直に言いますと、迷惑です。
どんなに努力をされましても、私には心に決めた人がいますので、貴方の気持ちに応えることは未来永劫ありえません」
相手がボロボロになるまで言い切る。
告白された数は多いが、そのすべてを断ってきている。辛辣な言葉もつけて。
自信に満ちていた佐東の顔色が悪くなっていく。
「では、私は忙しいので」
相手が黙ったので、切り上げて生徒会室へと向かうべく足を動かしたら、
「待ってくれよ。何で? オレの何がダメなんだよ!
顔は良いし、スポーツもできるし、成績も上位。
そんなオレの何がダメなんだ」
腕を捉まれて足を止めさせられた。
そして口調が変わっている。
化けの皮が剥げたというやつかな、初めて見たけど。
「まず、何がダメか、でしたっけ?
今貴方が言ったことを、今のように言ってしまうところですよ。
それに、言いませんでしたか?
私には心に決めた相手がいると、確かに言ったはずですけど」
「それでも燈華は付き合っている人はいないと聞いているし、現にいないんだろう?
だったらオレと付き合ってくれてもいいじゃないか」
ダメなところを言えと言うからダメ出しをすれば、付き合っている人がいないなら付き合えと言ってくる。
典型的な自分本位の人間だと判断を下した。
「付き合っている人がいようといまいと、貴方には関係のない話しです。
そして、何度でも言いましょう。
私は心に決めた人以外と付き合うつもりはありません」
相手の力を利用して、佐東を教室の床へ跪かせる。
クラス内で女生徒が軽く悲鳴を上げているが、この程度の事なんて至極簡単なこと。
佐東を見下し、掴まれたままの手を引きはがす。
「器の小さい人。
私はね、私の邪魔をする人が嫌いなの。
告白をしてきた勇気は認めてあげるけど、私は貴方のことが嫌いよ」
ここまではハッキリと聞こえるように言い、佐東の耳元に口をよせてつぶやく。
「それから、私はね……ファーストネーム呼びを許しているのは親しい人だけよ。
もし次に、私の名前を勝手に呼んだら……容赦はしないわ。
名前を呼んだことは、今回だけは許してあげる」
放心する佐東をしり目に教室を出る。
後ろから秋姫がついてくることを確認して、進級早々の珍事件に頭を悩ませることになるとは本当についていない。
燈華の視点どうでしたか。
燈華たちの教室に現れた髑髏、燈華はどうするのか楽しみにして頂ければと思います。
今回のExエピソードは長めの予定です。
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