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ムーンサルトおじいさん

作者: 椎茸 齧浪
掲載日:2019/01/31

昔々、あるところにおじいさんとおばあさんと有田アスパラゲス忠が住んでいました。


おじいさんとおばあさんは畑で作物をつくっては町へ売りに行き、そのお金でFXをする生活をしていました。

その間、有田アスパラゲス忠はCoDをやり続けるニート生活をしていました。


そんな平和な暮らしが続いていくと思っていた三人は今日もそれぞれの仕事をしていました。


おじいさんがいつものように畑に水をやるために井戸に行ったときです。

そこにはいつもと違う光景がありました。


魑魅魍魎が待ち伏せていたのでした。


おじいさんは驚きましたが、元なろうの俺強ぇ系の主人公だった経歴を生かして3秒で魑魅魍魎を殲滅しました。

おじいさんはドロップアイテムを拾って喜んで おばあさんのところへ向かいました。

ドロップアイテムはものによっては高値で売れるからです。


しかし、どこを探してもおばあさんの姿はありません。


「ばあさんや!どこにおるんじゃ!」


そう叫んだ時でした。

おじいさんは何か後ろに気配を感じたのです。


おじいさんはムーンサルトで気配の後ろを取ろうとしました。

しかし、気配はそれを読んでいたのか、おじいさんは背後は取れず結局気配に背後から剣で刺されてしまいました。


「くぅ、やはり現役のころからは衰えているな。傲慢であった。」


そう言っておじいさんはその場に倒れました。

おじいさんを剣で刺した気配はどこかへ行ってしまいました。


おじいさんが倒れてからどれくらい経ったでしょうか。


「じいさん!どうしたんですか!」


そう言いながらおばあさんがおじいさんを揺するとおじいさんは目をさましました。


「おぉ、ばあさん無事だったのか」


「無事?どういうことです?」


「とぼけても無駄じゃよ、ばあさん。ワシのムーンサルトの衝撃波をくらってもまだ大丈夫か聞いとるんじゃ」


そう言われるとおばあさんは先程までの心配そうな顔から一変しておじいさんを鋭い目つきで睨みました。


「どうして、私だと気付いたんですか?」


「ワシのムーンサルトを予測して後方へ緊急回避した後、着地と同時に足をバネのように利用して前方へ急接近し剣で背中を一突き。そんなことができるのはこの世でたった一人しかおらんよ」


おばあさんは悔しそうな顔をして血が滲み出て赤く染まった腹を抑えました。

緊急回避してもおじいさんのムーンサルトによる衝撃波はおばあさんに少なくないダメージを与えていたのです。


「ワシが死んだかどうか確かめにきたんじゃろ?」


「、、、そうですよ。魑魅魍魎どもがあんなにあっさりやられるとは思ってませんでしたけどね」


「ははは、魔王討伐の時に幾らでも殲滅していたのを隣で見ておったじゃろ?その時はばあさんが魔王の娘でワシら冒険者軍に侵入していたスパイだなんて知らなかったがな」


その言葉を聞いた瞬間おばあさんは驚いた顔をしていました。


「それを知っていて私と結婚したのですか!?」


「そうじゃ、魔王とはいえ人の父を殺したのは大罪じゃからな。亡き父の分をワシが少しでも補えたらなと思ってのう」


おばあさんはその場で泣き崩れました。


「すみません。私そんなことも知らずに60年前からじいさんを殺すことだけを考えて生きてきたんです。まさか、私が生まれつきの大罪である魔王の娘だということを知っていて結婚したなんて思ってませんでしたから」


おじいさんはそっとおばあさんのそばに行っておばあさんをやさしく抱きかかえました。


「たしかにばあさんの父である魔王はとんでもないことをした。しかし、だからと言ってばあさんに罪があるわけじゃない。魔王は魔王、ばあさんはばあさんじゃ。ばあさんは立派なワシのお嫁さんじゃ」


おばあさんは今度は笑顔を浮かべて泣きました。


「じいさん、ありがとうございます。わがままだとはわかっていますが、これからも一緒にいてくれせんか?」


「もちろんじゃ、さあ、今日のところはお家へ帰るぞ」


おじいさんは笑顔でそう言って、おばあさんをお姫様抱っこして二人は家へ帰りました。


その晩、FXでたくさん儲けた二人はその後も幸せそうに暮らしたとさ。


あ。

忘れていたと思いますが、二人が戦っていた間、有田アスパラゲス忠は相変わらずCoDをしていたそうです。

ちなみに有田アスパラゲス忠はおじいさんともおばあさんとも血縁関係がありません。

一体何者だったんでしょうね。


めでたし、めでたし

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