ぷろろーぐそのろく。
これでぷろろーぐ終わり。
「こんにちは!!私の名前はロスト!ぴちぴちの13歳!仲良くしてねっ!」
……
『ぷっ…く、くく』
「…おい」
顔を伏せて笑いをこらえているっぽい狼に呼びかける。
『ぶわぁっはっはっはっはっは!!!ひぃー、ぶふふふふふ!!死ぬ、笑い死ぬっ!はっははははっ!』
吹き出しやがったこの狼
「…おい、アホ師匠、何笑ってやがるんですか」
『ふ、く、い、いやの、普段無表情のお主が、ぴちぴちとか、ねっ☆、とか、イメージと違いすぎて面白すぎるわっ!ぶはははははっ!!』
「…やれって言ったのはアホ師匠ですが」
『台詞読んでまじめに言うあたりがお主あのいいところじゃぞ…ぶふぉ』
「…ブレイク」
バチバチバチッと紫のスパークが走り、
『え、ちょ、まて、悪かったから、それは洒落にならんてっ、』
「…問答無用」
『グプェ』
壁にできたクレーターの中心でピクピクしている狼、もとい師匠を見ながら思う。熊に殺され、鮭に落とされ、謎の生き物に追いかけられ、溺れかけて師匠に拾われた。あの時のことは今でもまだ記憶に新しい。あの時はこんなにも師匠が冗談好きで割とうざいとはかけらも思ってなかった。拾われた日を誕生日ということにして、あれから7年が経った。破壊する人、のスキルを使いこなせるように頑張ったし、普通に剣も使えるようになった。言葉も覚えたし、敬語もちゃんと使える。
師匠の洞窟…、色々あって大変だったけど、思い入れはある。私は今日、師匠の元を離れてここから一番近い町に行き、そこから王都に行って学校に通う。しばらくここには帰ってこれないと思う。
「…行ってきます」
ピクピクしてる師匠に小さく言い、私は洞窟を抜けた。
『ロスト』
抜けたところで、不意に後ろから声がした。振り返る。
サァァ、と風が吹く。
『お主には既に伝えられることは全て伝えた。儂とも対等に戦えるくらいにはなった。だがな、お主はまだこの世界の人間と会っていない』
一度言葉を切って、こちらを威圧するように続きを言った。
『お主はもともと、思考が人間離れしておる。…人間の脆さや愚かさを見て、そのせいにして暴れまわったりはするなよ…?』
「…わかってます。暴れていいのは…」
『「仲間が傷つけられた時」』
威圧がなくなる。
『うむ!それがわかっていればよい!…まぁ、もっとも、お主は今ぼっちだからの!くく、仲間がいないからの。頑張って作れよ?さっきの挨拶言えば多分友達くらいならできるぞ。く、ふ、珍獣扱いだろうがのぉ。ぶふぉっ』
イラっ《ブレイカー》
「…アホ師匠」
『ふはははは、な、なんじゃ?』
あらかじめブレイカーで強化した脚力で師匠をヤクザキックで洞窟の中に吹っ飛ばしつつ、言う。
『グッホォ』
ドゴンッ!!
「行ってきますアホ師匠」
『行ってこいバカ弟子』
…よく返事できたな、バカ師匠。