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ぷろろーぐ。
くらい、くらい、森の中。一人の少女が走っている。
「はぁっ、はぁっ」
息を切らしながら、必死の表情で。
ドスドスドスドス
重量感のある足音を立てながら、走る少女を熊のような生き物が追っている。
「っ!?」
木の根に躓いて、少女が転んだ。熊のような生き物が迫る。近づき、手を振り上げ…
グシャ
ーーーーー
とん、とん
何かに叩かれた…。
「おぉい、おきれますかー?」
誰かに呼ばれてる…?
「おーい」
目を開ける。何もいない。叩かれた感触はあった。
「ここですよー」
ふと、上を見上げる。と、そこには魚がいた。…鮭。
「…しゃけ?」
「!!しっ、失礼なっ!?この体躯の華麗さがわからないのですか???」
やたら金色に光っている鮭が眩しい。