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西旅084.お食事なのにお話ですか?

「ようこそ」って立ち上がり迎えてくれた美人さん。

失礼だから年齢は考えないことにするけど…どう見ても20代前半だよね。


ってもさぁ、左官、しかも大佐ってぇことはさ、そんなに若くなれるとも。

しかも基地司令なんだからさ。


まぁ、女性に対して、そちらの考えは危険だから考えないことにしないとな、俺。

「今日は、お招き頂き有難う御座います」って無難にさ。


いやねぇ、大佐様との挨拶にて握手ってヤツを…

うわっ、手、ちっちゃっ!んでぇっ、滑々で柔らかいっすぅ…

お姉さまと遜色ないって感じだけどさ、美貌はってね。


大佐様はさぁ、美人なんだけど親しみ易い感っかさぁ、そう、お淑やか…ああ、そうか…

あれだ、あれ、アレなんだよ、そう、大和美人って感じのお淑やかさって言うかさ。

あの滅びて久しいと言われる幻となった大和美人に通じる雰囲気をね。


お姉さまの高貴な見得麗しさとは違う美しさなんだ。

そうだね、お姉さまは太陽としたらさぁ、大佐は月。

薔薇だとしたら百合って感じかな。


そんな大佐様に促されて席へと。

前菜としてゼリー寄せが…うん、ゴチャゴチャ言うまい。

男は旨いっ!それだけで良いさ、うん。


「リュシュさんはシュパングの藤乃宮学院大学へ通ってらっしゃるのだとか?」

「?ええ、2回生となりますけど?」いきなり尋ねられたんだけどさぁ…なに?


「シュパングでは就職難とお聞きしてますけれど…

 此方には就職先とかをお探しに?

 早い方ですと、1回生から探されておられるのだとか?」


ああ、コッチにも噂が流れてんのかよっ!

シッカリしろよなっ、シュパング政府に官僚共がぁっ!


「まぁね気が早い連中は、既に動き出しているみたいですねぇ」って、西洋人風に肩を竦めてみせる。

これで合ってんだよな?

って思ってっとさ、後方から指向性にて小音が…

『ビブ、ニアイ、マ、セン、マスタ』って…


うっせぇ、分かってらぁな、だぁーとれっ、ガードナーぁっ!

内心で毒付きつつ顔には出さずってね。


食前酒と前菜を摘みつつ談笑は続くってか。


「では、純粋に旅行を楽しみに?」そんな感じで質問が続く訳ね。

まぁ、用事もない訳ではないのだが…


「基本、此方には観光ですね。

 まぁ、自分が師事している猪股教授からのお使いも頼まれてはいるんです。


 此方へ旅行へ行くっと話したらソルボンヌ大学のゼイディマン教授へ資料を渡して欲しいって。

 だから、この体験入隊が終ったら行ってみるつもりですよ」


「まぁっ!リュシュさんは、猪股教授の教え子さんなのですのっ!

 随分と優秀なのですわねぇ」って…んっ?


「え~っとぉ…大佐様は、猪股教授をご存知なので?」って尋ねたらさ、困った顔をされちまったよ。

あんれぇ?


「リュシュさん、大佐の後に様は不要ですわ。

 敬称に敬称となってしまいますもの」

「あれ?そうなんですか?」

どうやら階級は敬称扱いらしいや。

いやさぁ、大学生にもなって知らなかっただなんて…ちと恥ずかしかったぜっ!


大佐が言うには、会社の役職で課長様とか社長様とか言っているのと同じなのだとか。

って、ヤベェっ、俺さぁ、それが正しいって思ってたよ。

早めに知って良かったよ、うん。


「いらぬ指摘でしたわね、ごめんなさいね」っと。

「トンでもないっ!

 早めに知って助かりましたよ」いや、本当にさ。


最近は俺を含めて物を知らない者が増えてっからさぁ。

高校の時に自分達を学生って言ってたり…いやいや、学生は大学生からだからね。

高校生は生徒だかんなっ!って知った時は顔が真っ赤になりましたとさ。


アレ以来の恥ずかしさだ…うん、勉強は大事さね。


「話が逸れましたけれど…ゼイディマン教授へは、何を?

 話せない内容でしたら結構ですけれど」って。


「いえ、1学生へ託す程度の資料ですから。

 それに暇があったらで良い程度のことですよ。


 猪股教授は現在、トランザムと言う機乗型ゴーレムの開発を行っているらしいんです。

 自分も開発の手伝いをなんどかしていますけどねぇ。


 なんでも、ある企業からの要請にて開発に着手されているそうなんですよ。

 ゼイディマン教授には、その関係で色々と協力頂いているそうでして。

 その資料だと思いますよ。


 まぁ、預かり物なので、中身は確認してないので詳しくは知りませんけど」

袋を封してある極秘書類だったりするんだがな。


教授は爺ちゃん繋がりでさ、俺の亜空間倉庫を知ってたりするんだわ。

だから、俺が亜空間倉庫へ仕舞って届ければ、世界一安全な配達屋ってね。


いやいや、人を郵便屋代わりに使わんで下さいやぁっ!

ってもさ、龍覇剣士で玖籐流派の者となればなぁ。

教授曰く「君に任せれば、軍隊に任せるより安全だからね」って。

いやさぁ、教授?俺のこと、なんて思ってんのさ。


そんな話をしつつも料理は続くよ何処までも…って、何処までもでも無いか…

牛肉リブステーキを上手にグリエし、絶妙なソースで頂くステーキが絶品だった。

お代わりが欲しい位だったんだけど、流石にねぇ。


前菜で出たウサギ肉は意外と淡白だったけど、初めて食べたよ。

シュランプってウサギを食べるんだなぁ。


デザートが運ばれて来た時に大佐がさ。

「リュシュさん。

 正直に言いますわね。

 貴方の体験入隊での実績を鑑みて、我が軍は貴方をスカウトしたいと考えています。


 ご考慮頂けないでしょうか?」って。


いやいや、いきなり、何を言い出すんだろね、この人。

「あ~っ、そのですね。

 シュパングの規約に引っ掛かるかと。


 私個人よりも、まずは、そちらを確認して貰えますか?

 それからでないと考えることもできませんので」ってね。


「あら?個人の進路へ国が口を出すのですか?」って不思議そうに。

「ちょっと事情がありましてね」ってだけね。

詳しくは言えねぇかんよ。


まぁ、論外だろうさ。

龍覇剣士を国外の別組織へと差し出すってぇんだからさ。

龍覇剣士は龍覇剣士は天帝様の懐刀。

そんな存在を容易く手放すともな。


「そう…なのですか…

 では、シュパング政府へ問い合わせてみますわ」ってね。

いや、諦めるてぇ選択肢は…ないのね?


困ったことです。

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