西旅071.撃っちゃうぞぉ~っイヒッ☆
「なんにせよ、此処まで来て撃たさぬ訳にもいかぬであろうな」なんてことを言ってんよ。
いやいや、何を躊躇ってらっしゃるので?
こんなに品行方正な龍秀君に向かって失礼な、プンプ~ンってな。
「そこはかとなく不安が…え~いっ仕方あるまいて。
行くぞっ!」って先導し始める曹長様。
そーうっ、そうでなくてはね、よっ!曹長様ぁっ!
ってなことで、曹長様に続いて歩みを進める訳なんだがね。
いやぁ、しかし…なんちゅー場所やねんや、此処。
壁際の通路はコンクリの打ちっ放し。
鉄の手摺みたいな柵が道と荒地とを隔てている。
そう、荒地ってぇか、岩場?いや鉄の墓場?
戦車や車両なんぞの残骸がゴロゴロと転がる荒涼たる景色がね。
通路側は龍覇結界にて保護されており、地下空間の壁面も同様に処置されてんな。
光源が天井部へと設けられているようで、そこから人工的な明かりが全体を照らしている。
荒野に転がる車両、戦車などの残骸が時折打ち抜かれているのは、アレが的として活用されているからなのだろう。
何時から置かれているのかは知らないが、無残な蜂の巣と化してんぞ、アレら…
いやな、戦車が走行しつつ的を射抜く訓練や、ジープや装甲車からの銃器からも…
う~んっ、訓練してますねぇ~実に実にぃ~楽しそう。
そんな感じで辺りを観察しつつ移動してっとさ、曹長様が立ち止まる。
どうやら辿り着いたみたいやね。
そこにはマイヤー軍曹が既に待機しており、拳銃を2種類用意して待っていた。
どうやらさぁ、俺が撃たせて貰える銃みたいだな。
いやな…ちっちゃっ!えっ、ソレなの?
ハンドガンったけどさぁ、映画なんかで出て来るゴッツイガンを想像してんだけど…
「まずは初心者用の銃からだな。
此方に用意したのは研修でお馴染みの拳銃となる。
オートマチックとリボルバーの2タイプを撃って貰おう。
先ずは耳を保護する防音イヤーマフを装着しろ。
耳をヤラレるでな」って、防音イヤーマフとやらを渡してくんぞ。
これで防音ってか?
いや、いらなくね、これ?
だってさぁ、俺、龍覇術で既に防音してっし…ま、言えんからするけどね。
「よし、では…此方のリボルバーから撃って貰おうか。
コラァッ!片手で撃とうとする馬鹿がおるかぁっ!
肩が抜けるわっ!
ったくぅ…
両手で持て、両手でぇっ!
ったくぅ、これだから初心者は」なんてブツブツと…
補助のマイヤー軍曹がクスクス笑ってぇし。
はいはい、足を肩幅に開くんでやすね。
銃を両手で支えてっと…んで、撃つってね。
「貴様…撃ったことがあるのか?」なんてぇことをホザいてやすが…
「そんな訳ないでしょ」って返しておこう、うん。
そんなことよりもだっ!
なに、この撃った時の感覚てぇか、反動てぇの?
くぅぅぅっ!痺れるねぇっ!
パンってショボイ音の割には撃った時の反動てぇ衝撃がさ。
いやぁ~ジィィィンって…こりゃ堪らんわいっ!
なんてぇ玩具さね、この撃った感覚を味わうだけで最高だぜぇっ!
って、調子に乗って撃ってっとぉ…カチッカチって…アレ~っ?
「もう、全弾撃ち尽しおったのか…
マイヤー結果は?」って声が。
ああ、弾切れな訳ね、うや、残念さんねぇ~
少ないぞっ!足らんぞっ!ショボ過ぎね、弾数がさぁ~
モット楽しみたいんっすがっ!なんてぇ思ってっとさ。
マイヤー軍曹様がねぇ。
「全弾、的中央へ集弾しております」って。
「まさかのぅ…どうせ当たらぬと思って、一番遠い的を狙わせたのだぞ?
だと言うに、全て的の中心を射抜いたと言うのかぁっ!?
リュシュ大兵客。
正直に申せっ!」っからさ。
「はっ!
自分、まだ、大兵客に任じられてないであります!」って正直に申告ってね。
したらさぁ「……… ……… ………」って黙りこくるって酷くね?
マイヤー軍曹なんて、一瞬唖然とした後に大爆笑。
ウケてくれてあんがとさん、でもさぁ、何が可笑しかったんだろね?
「ああ、うん、マイヤー」
「ハッ、此処に」
「さっさと寄越さんかぁっ!」うや、理不尽さんねぇ~
「リュシュ大兵客、貴様を中兵客より大兵客へ任ずる。
これが階級証と任命書になる」って渡されやした。
いやさぁ、此処で渡されても邪魔なんっすが…って思ってたらさ、マイヤー軍曹に回収されちまったよ。
あんれぇ~?
「取り敢えず、階級証だけ替えなさい。
任命書は此方で預かるから」だってさ。
出来る男は違うね!
「う、うんっ!」曹長様…なんやねんやっ!
「リュシュ、貴様に問いたい」なんだろね?
「以前に銃を扱ったことがあるであろう?」って…はぁぁぁっ?
「なんでですか?」意味不?
「扱ったこともない者がぁっ!この距離で全弾中央へ集弾命中できる筈があるまいがぁぁぁっ!」
「なんですかぁっ!その偏見っ!
銃なんて撃つのは初めてですよっ!
こんなん弓を射るのに比べれば容易いことですからねっ!」
全く失敬なぁっ!
「お、おおぅ…本当に初めてなのか?」っから頷くとさ。
「いや、弓と銃とでは随分と違うのだが…」っとブツブツと…知らんがなぁ~
っかさぁ、早よ次ね撃たさんかぁぁぁっ!ってね。




