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西旅006.空中遊泳!? いえ、水中遊泳です。

浅い部分から深い場所へと向かうと、プール底の材質が変わって行くのが分る。

浅い場所は色付きだったのが徐々に透明度が増していっている感じなんだよ。

一番深い場所では完全に透明になっている感じでな、しかも結構な広さが。


プールの中央部で水深は3mほどか?

うん、船底だね。

船の底部が超強化プラスチックかなにかで造られているようで、そこから良く晴れた空からの景色が良く見えるんだ。

眼下に広がる地上を水に浮いて眺める…丸で空中に浮いているかのような錯覚を覚える。


これは…シュパング人である俺でも感動を覚えるほどだからさ、他国の者には堪らんだろうな。

シュパングは転移国家であることは知られている。

道路の基点、基点にて転移ポイントが存在し、転移ポイントからシュパング内の行きたい基点へと自由に転移移動可能なんだ。


取り敢えず物資を運ぶための自動車は存在している。

だけどな、物を運ぶ時以外で扱われるケースは稀なんだよ。


なにせ、自宅付近には転移基点ポイントが存在しているため、簡単なカート形式の運搬機を使用すれば個人の荷物なんかは持ち運び可能なんだ。

龍結晶と飛空石を用いた浮遊型の個人カートを利用すれば買い物した物を持ち運ぶなんて苦労じゃないからね。

長距離でも転移基点ポイントを用いれば楽々と。


そんなシュパングの暮らしについてはメディアにて紹介されはしているそうなんだけど、公共の公園レベルの話しは余り知られてはいないらしいんだよ。

シュパングの公園へは普通に転移陣が敷かれていたりするんだ。

これは他所へ転移するために使用される代物ではない。

では、なんのために?


それは、この転移陣によって公園内で自由に転移可能とするためなんだよ。


言っている意味が分からない?

う~ん、そうだろね、だけどさ、平面でなく立体的に転移可能って言ったらどうだい?

そう、連続的に断続的、小刻みな転移が上空へと行えるとしたら…


そう、つまりはだ、空中に転移にて浮かぶことが可能って訳なんだよ。

シュパング人にとって公園での空中遊泳なんてぇのは子供の頃から日常的に行って来たことだからな。

飛空挺底部プールを利用した擬似的空中遊泳なんてのは初めてだけど、空地遊泳自体は珍しいことではないんだよ。


まぁ、面白くはあるんだけどさ。


そうそう、シュパングの公園には雨は降らないんだぞ。

なにせ転移陣にて降る雨を転移させてっからさ。


ただし植物へは定期的に水が転移掛けされているんだ。

だから油断して水遣り後の芝生に腰掛けて濡れるってこともね。

人が居る場所へは水遣りは行われないけれど、人が居ない場合は行われるんだよ。

だから水遣り後に知らずに腰掛けて被害に合う外人さん達もね。

シュパング人達には常識だからさ、座る場合に濡れているかを確認するのは常識なんだけど…ま、知らない人はねぇ。


ついでに言うとさ、道路なんかには雨が降ることはないからな。

道路上空へと振る雨は転移除去されるのが常識なんだよ。

まぁ、街路樹なんかには転移水掛されるんだけれども、人や車が通る場所には雨が降ることはないんだよ。


ってもさ、街中や舗装された道に限りって但し書きが付くんだけどさ。

爺ちゃんが住むド田舎なんかは流石に舗装も行き届いてないかんなぁ~

転移基点ポイントは流石に設置されてはいるけど数が少ない。

だからアチラでは歩く距離が自然と伸びることになるんだよ。


そんな(らち)もないことを思いつつ擬似空中遊泳を楽しむ。

俺クラスともなれば数分は楽に潜ってられるからな。

しかし…水が光をキラキラと反射させる水中からの眺めは格別だね。

思わず飛空にて流れ去る地上景色を眺めるという擬似的な空中遊泳を楽しんだんだ。


そんな所へと誰がが接近して来たね。

この景色に気付いたようで興味を持ったようなんだけどさ。


いや、ちょっと!様子が変じゃないか!?


短いフリルスカート風な飾りが付いた赤い水玉ワンピースを来た女の子。

いや、少女と言って良いのかな?

金髪を水泳帽子にて押さえる感じで被った感じで水泳ゴーグルを嵌めているな。

成長し始めた感じで女性的な特徴が出始めた感じの()で幼さが抜けきってないかんじだろうか?


そんな彼女がプール底の光に惹かれて潜って来たんだけどさ。

途中で何かに気付いたように慌てた素振りをね。

バタバタと慌ててたんだけど…あれ、絶対にパニックになってるよなっ!


俺は慌てて彼女の側へと泳いで向かう。

完全に溺れ掛けている状態なので前からは近付かないように気を付け、後ろから支えて一緒に浮上を。

水上へと出ると、プール監視員達も気付いたようで慌てて救助に向かって来たよ。


女性の監視員が居たので、彼女を託してから俺はプールサイドへと。

あ~、驚いた。


「何があったのですか?」っと監視員の1人が尋ねて来た。

だから俺は水底であった出来事を説明することにな。


「いや、地上の景色を楽しんでいたら、あの子が潜って来たんだ。

 そしたら途中で慌て始めてパニック状態になったからヤバイって思ってね」


そう告げたらな、監視員が困ったように…


「それは助かりました。

 ちょうど交代していてプール内から目が離れていたんですよ。

 まさか、そのタイミングでですか…

 これはシフト交代の際での取り決めも考え直す必要がありそうです」っと。


いや、どう言う意味?

俺が思わず首を傾げると、監視員が困ったようにな。


「いや、この船底を強化資材にて透明化させたプール遊泳は飛空挺の売りの1つとなっているんです。

 ですが、空から落下している感じに襲われてパニックとなる方が偶におられましてね。

 だから警戒するようにしていたのですが…」


ああ、偶々目を離したタイミングで、ねぇ。


俺が、もし潜ってなかったら手遅れになった可能性もあると言う訳か。

確かに素晴らしい景色だけどさ、安全性って…大丈夫なのか?


まぁ、どんなアトラクションでも場合によっては危険が付き纏うからなぁ。

周りも気を付ける必要があるけど、本人の注意も必要か。

何にしても大事にならなくて良かったぜ。

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