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西旅045.シュパング大使館っすか?

ガードナーが呼んでくれたエアタクシーにてシュパング大使館へな。

なんでも爺さんが裏から手を回したらしく、一般人の俺でもエアタクシーが格安で使えるんだとさ。


っかさぁ、知らない間に呼んでんじゃねえよっ!

ビックリしただろーがよっ!


当然、庶民はである俺はバスと電車を乗り継いで向かうつもりだったんだがな。

実はエアタクシーの乗車賃の方が安いって…いや、訳が分らんし?


ガードナーに問い質したところ、爺さんが俺用に手続きしてくれていることがな。

しかも、元々シュパング人には特典を、しかも学生に対しては割安となっているのだとか。


なんでもな、シュパングとの交易が重要視されている関係上、シュパング人を優遇する制度を設けているらしい。

ってもな、仕事以外でシュランプってぇかユーロッパへ来るシュパング人の旅行客は稀。

なので、滅多に使われない制度らしいな。


いやな、来ても高いエアタクシーは使用せずにバスや電車を使う旅行者が多いらしい。

出しても普通のタクシー止まりってな。


あんなぁ、シュランプ政府。

俺ぁっ、そんな制度があるなんて知らなかったんだが…

当然、俺以外のシュパング人が知っているとはな。

知らなければ使用する訳ねぇじゃねぇかよっ!


って、ことでな、爺さんとガードナーのお陰でさ、俺は目出度く利用できたって訳さね。

いやなぁ、限られた者の特権にて高額使用するエアタクシーを低額料金使用って…なんてぇ贅沢なっ!


宙を行く訳でな、当然、ゴチャゴチャした道を無視しての移動な訳よ。

そらさぁ、早いわな。

アッちゅう間にシュパング大使館前へと到着さね。


いやさぁ、ググったら1時間半以上は掛かるって。

しかも、順調に到着してだから、下手したら2時間は掛かる道程だった訳だ。

それが十数分で到着ってさぁ…便利だぞっ、エアタクシーっ!


シュパング大使館へ着いてエアタクシーから降りた俺は守衛さんへと来訪を告げた訳なんだがな、さほど待つこともなく大使館員がな。

いやな、俺の来訪をガードナー経由で予め知っていたんだろうがな。


「いや、なんで伊藤さんが?」ってぇっ!知り合いかよっ!

「あんなぁ、龍覇庁の役人は全大使館へ配備されてるんだぞ。

 むろん…分るな?」

ああ、龍覇庁へ配属されるのは龍覇剣士と決まっているからなぁ。


「とにかく、今は仕事中でな。

 諸々の手続きするから、先ずは入れ」っとね。


この伊藤さんは龍覇剣士でな、他流派の高弟ではあるんだが合同鍛練なんかで何度かお世話になったこともな。

最近出会わないと思ってたら、こんな所へ来ていたとはなぁ。

合う筈がない訳だぜっ!


俺は伊藤さんに連れられて大使館へとな。

門前の守衛所での手続きに続き、館内へ入った所の受付で再度、入館手続きを。

何度も何度も面倒なことだ、これだからお役所仕事ってぇヤツはさぁ…


手続きも終わり、伊藤さんにエスコートされて大使館内部の客室へとな。

っとぉ、客室ってぇよりはだ、密談スペースった方が良いか?


完全に龍覇結界が施されてんじゃんか。

部屋内部は完全に外部と隔離された空間と言うべきだろうな。

防音もだけどさ、熱源なんかも伺うことはできねぇってね。


万が一、盗聴器なんぞを仕込んでた場合、盗聴器は粉砕されるだけではなく、盗聴しているサイドの機械が過電圧にて暴発だろう。

まぁ…此処へ盗聴器自体を仕掛けるなんざぁ至難の技だろうがな。


「行き成り密談スペースっすか?」ってぇ訊くとな。

「当たり前だ、龍覇術に関する情報は機密だからな。

 っと言うことで、悪いが封印させて貰っている訳だ」

「まぁ、仕方ないでしょうね」っと、肩を竦めてみせる俺を困ったように見るんだが…なんぞ?


「早速、西洋被れか?この厨二ボーイ」

「はぁっ!?既に厨二は卒業したしっ!」ったくぅ、ウッサイよっ!


そうそう、ガードナーは現在、龍覇術で別情報を見せられている状態だ。

だからさ、俺達の話す内容を把握できてないってね。


これは龍覇術に関わるシュパング国の重要機密を話す上で必要な処置なんだよ。

許せ、ガードナーっ!


「しかし…なんで、お前さんは、こんな所へ来てまで鍛練したがるかねぇ」っと。

「じゃぁ、伊藤さんは鍛練休んでんっすか?」ってぇ訊くとな。

「んな訳あるかっ!鈍ったら帰国時に豪い目に遭うわっ!」


ま、そうだろな。


「しかしシュランプなんかに旅行なんて物好きな…

 碧海周辺なら只で彼方此方へ行けっだろ?

 もしや、俺みたいに外交官狙いか?


 龍覇庁の外交官は不足してっからな、歓迎だぞっ!」

「いやいや、俺は、まだ大学生っすからねっ!

 まだ就職なんてぇ考えてないっすよ」


さり気無く勧誘すなっ!

ってもな、確かに龍覇庁へ入れるのは龍覇剣士のみ。

そして龍覇剣士の存在は限られてっからなぁ。


そんな龍覇剣士の大半が警察か軍へと。

それか一般サラリーマンだな。

龍覇庁、特に海外へと派遣される大使館員は人気がないことで有名だ。


まぁ龍覇剣士として鍛練するにはシュパングが一番だからなぁ~

なにせ多くの龍脈が交わり龍力が満々ている地なんぞ、シュパング以外には有り得ないんだからな。


「シュランプへ来たのは母さんの薦めってのもあるんだけどさ、どうせ旅行するなら普通は行かない地が良いかなって思ったんだよ。

 タカシ伯父さんからもシュランプのことは良く聞いてんでね」

「ああ、小林さんの…

 あの人はシュランプ交易の立役者って言われてっからなぁ~

 あの人のお陰でシュパングからの食物輸出量が増えてるんだよ。


 今では海外からの輸入品に押されて後継者も減った農家の利益が増している程だぞ。

 此方ではシュパング食材は高級品扱いてぇのに年々輸入量が増え続けてるかんな。

 大したもんだ」っとね。


へぇ~、タカシ伯父さん…ヤルじゃん!


「っと、そんなことよりもだ。

 シュランプ軍への体験入隊だったか?」

「ええ、成り行きでね」って、俺は昨日の経緯をな。


話しを聞いた伊藤さんは、マジマジとガードナーを見て…

「大丈夫なのか?コイツ?」ってな。

「さぁね、けどさぁ、結構便利だし、愛嬌ある感じで気に入ってはいるんだよ、これ」

そう告げ、俺は顎でガードナーを指す。


「まぁ、画一的な代物よりは面白いやもしれんな。

 何かあっても俺達、龍覇剣士に仇成すことなんぞ、普通は無理だろうさ。


 しかし、体験入隊とは言え軍への入隊だ。

 衣服も靴も違う品となるだろう。


 だから、特製の封印具を配給しておくぞ。

 ただな、結構キツイ仕様だから、1日に10分程度は外す時間を設けとけ。

 まぁ着けぱなしでも良いが、精神的にハイになるらしい。


 まぁ、どれ程かは知らんがな」って、俺へ封印具を放る伊藤さん。


っか、投げんなっ!


ネックレスタイプの封印具を嵌めたらさ、ガクッと力が…


「阿呆、今嵌めたら装着済みの封印具との相乗効果で、そうなるのは当たり前だろが」って呆れられたよ。

しかし…これだけ強い効果なら、他の封印具を外しても大丈夫だろうな。

まぁ、リストバンドとフットバンドはしておくことにするけどさ。


その後は、借り受けた封印具の貸し出し手続きなんぞを行い放免ってな。

伊藤さんに送って貰い大使館の外へと。


カードナーが何時の間にか呼んでいたエアタクシーにて移動を。


「エアタクシーって…なんつぅ贅沢を…」って、絶句する伊藤さんに制度のことを告げると…

「ちっ!そら旅行者特別制度じゃねぇかっ!俺達のように常駐している者には使えねぇよっ!」だってさ。

そら、ご愁傷様です。


そんなことを思いつつエアタクシーへと。

さて、宿へ一度帰るかね。

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