西旅017.部屋に帰りたいんだよ、俺はぁっ!
「ううむぅ、確かに濡れそぼった感じになってしもうておるが…それは汗なのかえ?」
いや、この空間に水場はないでしょうに…
「ええ、汗ですよ。
しかし、軽い運動だったんですけどね。
此処って少し空調が悪くないですか?」
いやさぁ、耐えられない程じゃないんだけど、ちと暑いかもね。
「いやの、ちとばかり暖気してあるのじゃよ。
その方が怪我をし難いでな。
じゃが、暑いと言うほどでもあるまい?」
「閣下、それは我々が動いてないからであります。
動き回れば暑く感じるのは当然ですからなぁ。
リュシュ殿が動かれた後なれば、暑く感じられるのは当然かと。
そうそう、リュシュ殿。
この扉の左側にある扉からシャワールームへ行けますよ。
ですが…流石に着替えはないですからなぁ」
中佐殿が困ったようにな。
龍覇剣士ってバレたから、いっそのこと龍覇術にて乾かすか?
いや、そもそも龍覇術自体が海外には知られてはいない筈。
違うか、シュパングでも一般人には秘匿されている情報だったな。
うん、龍覇術で乾かすのは拙いだろう。
けど…一瞬で乾かせるのに出来ないジレンマ…早く分かれたいぜっ!
そんなん思ってたんだけれどもさ。
「ほうかえ、しかし早く着替えた方が良かろうて。
なれば着替えを用意させるでな、儂の部屋へと戻ろうわえ」
いやいや、なんで、そうなんねんやっ!
「いえ、自分の部屋へ戻りますので」って断ろうとしたんだけどさ。
「若者が遠慮するものではないわえ」って。
いやいや、遠慮とかではですねぇ!
でぇ、結局は押し切られてしまいましたってね、グッスン。
最上級船室にて貴賓室たる爺さんが借受し船室へと移動し、風呂を借りたんだけどさぁ。
同じ船に乗船していて、此処まで差があるんですね、分りました。
バス付きの風呂でさぁ、足付き風呂桶なんてぇ代物ぉ、映画なんかのメディアでしかお目に掛かったことねぇんだが…
なんでアータ、俺の前に鎮座なさってんの?
しかもシュパング風仕来たりってことで、バスタブにはお湯が張られてんぞ。
いや、有り難いんだけれどもさ、しかも入浴剤入りって…
しかもさ、洗い場が別に設けられてんだけど。
映画なんぞのメディアではバスタブにてシャワーを使てるシーンしか見たことがないんだがな。
ここの風呂場は完全にシュパング風になってんなぁ、どゆこと?
俺的には嬉しいから良いんだけどね。
シャワーで汗を流し、シャンプー、リンス後にボディソープにて体を清めてサッパリと。
その後はバスタブにて入浴よ。
う~むぅ、男の入浴シーンって誰得?済みませんねぇ~、って、誰に謝ってんだ?俺?
「ふぅっ、はぁ~~~」
うん、出るよねぇ~、バスタブへと入るとさぁ、思わず声が…
いやさ、仕方ないじゃんね。
でも、これが良いんさね、これを我慢する風呂なんてぇ、あ・り・え・ねぇっ!ってな♪
思わぬ風呂堪能にて上機嫌って感じとなった俺は風呂を後にして脱衣所へとな。
ううむっ、俺の衣服は回収されたのか無いんですが。
でな、下着としてトランクスとランニングシャツ、指あり靴下が用意されていたよ。
う~ん、全て白ですか、さいですか。
大昔の歌舞伎者漫画を読んだシーンを思い出す。
歌舞伎者が別の歌舞伎者を揶揄うシーンがね。
その連れが「何故揶揄ったのか」っと聞くと…
「上着は如何に歌舞いておっても構わん。
だが、下着はいかん、アレだけは駄目だ。
"ふんどし"は、漢が死に際まで、最後まで纏う装束。
なればこそ、最後の装束となるべき装束たる"ふんどし"は白でなくてはならぬ。
輝くまでの白、そうでなくては」ってシーンね。
いやさぁ、別に俺は武士でも侍でもない訳よ。
下着に対して拘りがあったりさ、白に拘りもない訳。
ま、"ふんどし"が用意されてないだけ有り難いと言えば有り難いんだけど…
「なんで、浴衣やねんなっ!」
そう、着替えで用意されていたのはさ、男物の浴衣だったんだよっ!
しかも、靴まで回収されてんぞっ!をいっ!
まぁ…リストバンド、フットバンドは残っている。
他の代物にはな、俺の龍力が感知できなくなった時点で軽量化される術式が刻まれてんからな。
あれが施されてないと重くて持ち上がんねぇかんさぁ。
まぁ、素材自体も重いんだけど、俺の龍力にて重量増し増しってぇのが真相だったりする。
だからさ、残った品以外は回収可能なんだが…地味に貴重品だから返して欲しいんですけど。
そんな事を思いつつ手首、足首にバンドを嵌めてから浴衣を纏う。
んっ?これって…下着も浴衣も[マキエ]ブランドの品じゃんね。
母さんデザインの品だよ。
どうして、これをチョイスってか、良くあったなコレ。
着替え終わってから脱衣所から出るとメイドさんが待っていたよ。
「リュシュ様、衣服は現在クリーニングしております。
終わりましたらお返しいたしますので」
だってさ。
「しかし、衣服全てが[マキエ]ブランドとは驚きましたわ。
ユニバーサルブランドにて入手困難な品と有名でございます。
既製品でも、そうで御座いますのに、全てがオーダーメイド品とは…」
そんなん言って来る彼女に俺がな。
「へぇ~、母さんの[マキエ]ブランド品がねぇ」って呟いたら大層驚いてな。
「えっ!アノ、カリスマデザイナーたる[マキエ]様の御子息様ぁっ!」って。
口を両手で覆い御目目パチクリ大目玉、うん、零れ落ちるんじゃね?流石にないかw
そんなん話してたら爺さん登場。
「おお、リュシュよ、上がったかえ。
では、コチラへ来るが良え」って。
いや、"君"が抜けてっぞ、爺さん。
どうなってんな?
うや、メイドさん…爺さん登場にてソソクサって去ってったよ、お達者でぇ~ってな。
折角メイドさんと話してたのにぃ~、ぐっすん。




