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こちらは第3話となっています。
どうか少しでも楽しんでもらえますように。
それでは。GOODLUCK。
男は、風が吹く中、最寄りの駅へとむかっていた。その風はまるで、この男の胸の内を表しているような、冷たいものだった。
男は歩きながら、また昔のことを思い出していた。こうなったのは自分のせいだ。当然の報いだ。と、男はその度にいつも思ってきた。
男は、振り払うように回想をやめて、歩むペースを上げた。
朝日がようやく姿をみせはじめた。そのおかげで、人影がなく、閑散としている大通りの先までもがずっと見通せる。
まるで、昨日までとは違う世界にでもきたようだな。と男は考えていた。
駅に着くと、上着のポケットから小さいメモを取り出した。内容に目を通して、駅にある路線図で確認すると、もう一度ポケットにしまって券売機へとむかう。
改札口をぬけると、ホームへおりた。
電車で約30分。11つ目の駅がアナウンスされて、ようやく電車を降りる。
男は、また住宅街のなかを黙々と歩いた。
太陽は完全にその姿を現して、街全体を照らしていた。
やがて、住宅街をぬけると、肌色をした建物が見えてくる。裏には小さい山があって、とても静かで穏やかな所に立地していた。
男は表札を確認すると、建物の裏へとまわった。
裏山の斜面を少しのぼって、全体を見れるところを探す。やがて、男は位置を定めて、建物の方を眺めた。
すると、三階の一番右の部屋のカーテンだけが、閉まっていることに気づいた。男はそのまま監視を続けた。
やがて、薄い黄色のエプロンをつけた女性が、部屋のカーテンを開けるのがみえた。おかげで、部屋全体の様子がうかがえる。
一人、部屋のベットに横たわっているのが分かった。起きている様子はない。
エプロンをつけた女性は、寝ている患者に、何か話しかけながら、部屋の中を片付けはじめた。
男は、そこまでみると、間違いないだろう。と確信した。同時に、誰かはしらないが、相変わらず"仕事"をするのが早いな。さすがだ。と思った。
男は山をおりると、今度は建物の入り口の方へもどった。そのまま中に入っていく。
受付では、30代前半くらいの女性が、ひとりでパソコンをさわっていた。
「あの、すいません。」
その事務員は顔をあげて答えた。
「はい?」
「実はここに・・・」
男はうつむくようにして、上着のポケットから取り出した紙をちらりとみて、目線をもどす。
「富山文江さんがいると聞いたんですが・・。」
「富山文江さんですね。確認しますので少しお待ち下さい。」
事務員は、パソコンに向き直って何やら打ち込む。やがて、彼女は顔をあげた。
「はい、いらっしゃいますね。すみませんが、富山さんとはどういったご関係で?」
「知り合いの、お母さんの具合がちょっとよくないと聞きまして。ちょうど近くを通ったので寄ってみたんですが。」
「そうでしたか。」
受付の女性は、大して疑ってもないようだった。
「三階の一番奥の部屋の九号室になりますが。お会いになられますか?」
やはりそうだったか。と男は思った。
「いえ。気を遣われて、余計からだに障ると大変ですので。また今度にします。ありがとうございます。」
男は、そのまま建物を出ると、また駅の方へとむかった。
明日、また確認だけしに来ればいい。男はそう思うと、どこかで酒でも飲んで、今日という余った時間を過ごそうか。などと考えていた。
□■□■□
「ピピピッピ・・カチッ」
僕は、すぐに時計へと手をのばす。
今日は、目覚ましが鳴る前にすでに起きていた。
僕は、朝のいつもの日課をおわらせると、準備をして、いつもより15分早く家を出ることができた。
僕はこのところ、学校に行くのが楽しみになっている。といっても、それはもちろん下校のときの楽しみがあるからだが。
通学路は、時間が早いせいか、生徒の姿があまり見えなかった。
ちょっと早すぎたかな。そんなことを思いながら歩いていく。
しかし、僕は葉月に会うことが一番の楽しみではあるけれども、学校のことに関しても少しばかり、気は楽だった。なぜなら今日から、体育大会の練習がはじまるからだ。
たしかに、練習は暑くて、めんどくさいところもあるが、眠くて退屈な授業などと比べれば、僕にとって、まだいくらかましなように思えた。
僕の横を黒い軽自動車が走っていった。学校のすぐ前の交差点を左に曲がって少しいった所で、車のウインカーが点滅し、停車した。
僕は、気づけばまた、ぼーっと彼女のことを考えていた。葉月は、どこの学校から転校してきたんだろうか。前の学校では、かなりモテていたにちがいない。
しかし、よく考えてみれば、いまは9月の少し入ったところ。なぜ、こんな中途半端な時期に、彼女は転校してこなければならなかったのか。理由は何だかよく分からないが、かわいそうだな。と思った。
そのとき、僕はあっと驚いた。
葉月がいま確かに、正門をくぐるのがみえたからだ。
僕はよく分からないまま、しかし内心ドキドキしながら彼女の後を、急いで追った。本当に葉月だったのか。
しかし、近づけば近づくほど、彼女だと確信できた。
僕は心の中で、すごく嬉しくなりながら、彼女が一体いつ、どこから自分の前に姿を現していたのだろうか。と不思議に思っていた。
やがて、もしかして・・。あの軽自動車から降りてきたのかもしれない。と思いはじめる。
しかし、そうだとすると、なぜ車で来たんだろう?と僕は考えた。
・・ひょっとして、家がかなり遠かったりするのだろうか。
僕は思い出した。昨日、彼女に家の場所を聞いたとき、はっきりとは答えてくれず、病院の近くだとしか教えてくれなかったことを。
しかし、理由は何であれ、思ってもいなかったこと、朝から彼女に会えたことに僕は喜んでいた。今日はすごいラッキーだ。これから毎日早起きしようかな。などと考えていた。
僕は彼女に追いつくと、少しウキウキしながら声をかけた。
「葉月!」
「!?」
葉月は、名前を呼ばれて、驚いて僕の方をみた。僕は、想像していたよりも、目を見開いて驚いている様子の葉月をみて、すごくかわいい。と思ってしまった。
「今日は車で来たの?」
しかしなぜかそれを聞いた途端、葉月に落ち着きがなくなったようにみえた。
「・・あっ、うん。そ、そうなの。お母さんが車で送ってくれるっていうから。」
「へー、そーなんだ。」
「う、うん。・・じゃあまた。」
葉月はなぜか逃げるように、生徒玄関へとむかっていった。
僕は、あまり何が何だか理解できないで、ただ、彼女に避けられたようだ。ということには気がついた。
急に、僕は天国から、地獄に落とされた気がした。何が彼女の気を悪くしたのか。考えてみるが、よく分からない。僕の気持ちは重く沈んだまま、教室へとむかった。
□■□■□
暑いグラウンドで、スピーカーで音量が大きくなった先生の指示が飛び交う。
僕は、体育大会の練習にいまひとつ、集中できていなかった。
どうしても、朝のことが頭をよぎってしまう。
しかし、いくら考えても、結局、これだろうという答えの理由は見つからなかった。
学校がおわると、僕は彼女を探さず、すぐに家へと帰った。
今日の朝までは、あんなに楽しみで一杯だった学校は、いまはもう何にも感じなくなってしまっていた。
このまま、もう葉月と話すことはなかったりして・・。何ともいえない不安が脳裏をかすめる。
僕は、そんな暗い気持ちを、必死で胸の中に閉じ込めようとした。
今日は、何かを作る気にもなれなかったので、冷凍食品と残り物で、ご飯をすませた。さっさと家事をすまして、風呂に入ることだけを考えていた。
夜の間に洗濯機をまわすため、洗濯物を中にいれていく。
ふと、玄関にかかってあった、父親が最近ずっと使い続けて、汚れている上着のことを思い出して、取りに行った。
上着をハンガーから取り外そうとした、そのとき。
何か小さい紙が、ヒラリと床に落ちた。
僕はそれを拾い上げる。
『中本町駅 下本町 介護老人ホーム「ひかりの里」 富山文江』
と、そこは書かれてあった。
この度も、読んでいただいて本当の本当にありがとうございますm(。_。)m
いかがでしたでしょうか。正直、僕は今とても疲れているので、この後書きがテキトーにならないか、とっても心配です(;´_ゝ`)
また、投稿頻度の話をしておきますと、・・うーん。そうですね。これもまたテキトーなことをいって、後で焦るのは嫌なので・・。ズバリっ!目標3日で1話!クリアするべしラインは、1週間で1話!です。(だ、大丈夫かな~(-_-;))ただ自分の本業は学生なので、やはり多少不定期になる点、どうかご勘弁をいただきたいですm(__)m
あと、話の展開のことをちょっぴりだけ、しておきますと、少しずつファンタジーなところも今後入ってくるはずです・・。(一応、ジャンルが恋愛ファンタジーですし。)
それでは。次話もお楽しみにしていただけていると、僕は幸せですヽ(´▽`)/
また会う日までごきげんよう。GOODLUCK(-_-)/~~~