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死神のエスコート  作者: き
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 こちらは二話目になります。

初心者である僕の作品ですが、少しでもお楽しみいただけたらと思います。それでは、GOODLUCK。







 

 「ピピピッピピピッ」


 アラームが僕を起こす。


 今日は土曜日だ。なので、もう一度布団にもぐる。布団の中で、僕は昨日の出来事を、ぼんやりと考えていた。


 彼女の顔は、忘れることができない。今でもあの清楚溢れて、白い肌をした顔立ちを、鮮明に思い出す。


 特に、彼女がため息を吐いていた、小柄な後ろ姿の風景は、どこか印象的で、記憶に残っている。


 「・・・・」


 僕は起きることにした。


 洗面所で顔を洗うと、台所の方へむかう。


 ふと、小さなメモ書きが置いているのを見つけた。


 『今日も仕事。朝飯は冷蔵庫に入れておいた。』


 父親からの置きメモだった。どうやら、今日も出勤らしい。


 内心怪しまざるをえなかった。本来なら休日のはずの朝、父親の姿は様々な理由で既に見えず、夜遅くに帰ってくることが多々ある。


 でもあまり気にはしていない。


 休日くらい、父親の自由に過ごさせてやろうと思っているからだ。


 冷蔵庫を開けると、サンドイッチとクロワッサンがのった皿を見つけた。これをテーブルに運ぶと、席についた。


 サンドイッチを食べながらテレビをつけると、訪ね歩く旅の番組をやっていた。テレビに写っている景色は、それと分かる古い木造建築の平屋が並んでいる。


 その風景をぼんやり眺めながら、今日の昼ご飯は何にしようか。楽して買ってこようか。なんて考えながら、朝食を食べ終えた。


 今日は、父親がでかける前に洗濯物も干していったようで、特にすることがなかった。


□■□■□




 


 

 昼前頃、僕は自分の部屋で寝転がりながら、図書館で借りた本を読んでいた。


 「ピンポーン」


 家の呼び鈴が鳴った。


 僕は玄関の方へむかった。ドアを開けると、両手にビニール袋を持った中年の女性が立っていた。


 「おはよう。ひさしぶりね、じゅんくん。」


 「中野さん、おひさしぶりです。」


 中野さんは、たまに訪ねてきてくれる。


 詳しくは知らないが、中野さんは死んだお母さんの同級生で、二人が学校を卒業して別々になっても、ずっと仲が良い友人だったらしい。


 また、僕のお母さんが亡くなってから、まだ小さかった僕と父親の面倒をよくみてくれたり、気にかけたりしてくれていた。


 今では、僕も大きくなって、ある程度自分で面倒をみれるようになってきたので、月に一度ほど様子を見に来るくらいに世話をしてくれている。


 「お邪魔するわね。」


 中野さんは家の中へと入ってきた。


 台所に大きいビニール袋を二つ置くと、


 「野菜と果物とか買ってきたんだけど、あるかしら。」


 「いえ、ちょうどきれていたところです。助かります。」


 「それはよかったわ。ちょっと手洗わしてもらうわね。」


 そういうと中野さんは、洗面所の方へむかった。


 僕は、どうやら今日の昼ご飯を買いに行く必要はなくなりそうだと思った。


 「朝ご飯はもう食べた?」


 「はい、食べました。」


 「あれ、お父さんは?」


 「今日も仕事みたいです。」


 「・・そう。」


 彼女は、少しさびしそうな顔を見せた。


 中野さんがここ最近、ずっと父親に会っていないせいだろう。同じ家に住んでいる僕でさえ、あまり会わないのだから、彼女が会えていないのはむしろ当然だろう。と思った。


 少し遠くをみるような目をしていたが、やがてこっちをむいて、また話しかけてきた。


 「じゅんくん、ちゃんと食べてる?」


 「はい、大丈夫です。食べてます。」


 「そう。なんか困ったこととかあったら何でも言ってよ。」 

 

 「はい、いつもありがとうございます。」


 中野さんは、二人の子供を抱えるお母さんで、隣町に住んでいる。たしか、中野さんも普段は働いていて、看護師さんとして働いているはずだ。


 仕事と家庭の両立で日々忙しいはずの中野さんだが、こうして僕たちのことを気にかけてくれるのは、本当に感謝している。


 「お昼、大したものじゃないけど作ってあげるわ。台所借りていい?」


 「はい。ありがとうございます。」


 

 

 やがて、一人前分の野菜炒めが皿に盛られて、僕の前におかれた。


 「いただきます。」


 作りたての野菜炒めを口に運んだ。


 普段は、自分で作るか買ってきたものを食べることが多い僕にとって、他の人が作ってくれたご飯を食べるのは、数少ないことだった。


 洗い物をすませた中野さんは、


 「じゃあ、今日は帰るわね。また、くるから。お父さんによろしくね。」


 といって帰っていった。


□■□■□


 

 


  


 


 「ピピピッピピピッ」


 今日は、月曜日。


 昨日は家でテレビを見ながら、ゆっくりと一日を過ごしていた。そういえば父親は、午前中は家にいたが、午後になるとまたどこかへ出かけていった。姿はそれきりみていない。


 「うぅぅー。」


 大きくのびをしながら、起き上がった。


 昨日見た天気予報によると、今日は昼過ぎから降水確率が40%らしい。


 広くない部屋一杯に洗濯物をつるすと、除湿器のコンセントをいれて、スイッチを押しておく。


 今日の朝食は、前に買ったドーナツと中野さんが持ってきてくれたりんごのメニュー。


 テレビを見ながら、朝食を食べ終えると、準備をして学校へむかった。






 教室に入ると、自分の席にむかった。


 一時間目の授業の用意をすませると、机に頭を伏せた。


 内心、早く終わって下校時間になればいいのに。と思っていた。


それは学校がめんどくさいというのもあったが、やはり葉月しおりのことが、気になる。ということが一番の理由にあった。







 待ち望んだためか、とても長く感じた最後のチャイムがようやく鳴った。


 外は、見事に予感が的中し、雨が降っている。


 僕はカバンの中から折りたたみ傘を、取り出して開くと、帰り道を歩いていった。


 彼女の姿を探してみる。だが見当たらない。


 もう先に帰ったのかな。とそんなことを考えては、いや、自分は授業が終わってすぐに出てきたから、それはないだろう。と一人で思案する。


 そんなことを考えているうちに、正門のところまで来た。


 どうしようか。少し待ってみようか。そう決めると、門のすぐ側で待ってみる。


 しかし、10分経っても現れない。


 そろそろ、諦めて帰ろうか。どうしようか。と真剣に考えはじめて、そわそわしはじめる。


 そのとき、頭にタオルを被せてむこうから小走りでやってくる少女がみえた。


 まさか・・・。その少女は、段々こっちに近づいてくる。


 僕の前を通り過ぎた瞬間、タオルの隙間からその顔が見えてドキリとした。葉月しおりに間違いなかった。


 どうやら、彼女は傘を持ってきてなくて、立ち往生していたようだ。だが、一向に雨がやむ気配がしないので、仕方なくタオルで我慢して、走ってきたんじゃないか。と思った。


 彼女は、僕に気づかずそのまま駆けていく。僕は思わず声をかけながら後を追った。


 「お、おーいっ!」

 

 彼女は僕の呼ぶ声に気づいたようで、走るのをやめた。


 「葉月ー!」


 僕は彼女のところまで駆け寄った。傘を片手に持っているので、走りづらかった。


 葉月は、雨にうたれたまま、呆然とこっちを見ている。やがて、僕のことを認めたようで、表情に笑顔が浮かんだ。


 「川上くん!」


 「う、うん。」


 「どうしたの?」


 「あっ、あのさ、傘、持ってないんだよね。ぼ、僕の傘に入りなよ。家まで送るし。」


 「え。・・いいの?」


 「うん。」


 「ごめんね、ありがとう。」


 こうして、葉月は僕と同じ傘の下にはいった。


 元々折りたたみ傘のため、サイズが大きくなく、二人で入るとほとんどくっつくようなかんじになる。


 そのために、僕は葉月との間の距離は、わずか5cmしかあいていなかった。


 僕はかなり緊張しながらも、この予想外の展開に、とても喜んだ。


 降水確率40%、当たってくれてありがとう!


 心の底から、そう思った。


 家はどの辺なのか。と聞くと、あまりはっきりとは答えてくれなかった。ただ、病院の近くだと教えられて、見送りは近くまででいい。といわれた。


 僕らはいわれた通りの方向へむかっていく。


 歩いている間、それほど話したわけでもなかったが、彼女と一緒にいるだけで楽しかった。


 こんな時間がずっと続けばいいな。なんて考えていると、


 「お母さん!」


 葉月が叫んだ。


 自分達の正面に、一人の女性が立っている。その女性は、落ち着いた雰囲気を持っているが、さすがは葉月のお母さんというほど、綺麗な印象の人だった。


 「・・しおり、大丈夫だったの?」


 葉月のお母さんは、僕のことをじっと見た後、すぐ隣にいる葉月を見た。


 そして、僕はいま葉月のお母さんに、少なからず誤解されたんじゃないか。ということに気づいた。


 一つの傘の下に、男女が入っている状況など、カップルだと誤解されてもおかしくないはずだ。


 「うん、川上くんが傘にいれてくれたから、大丈夫だったよ。」


 なるほど、葉月のお母さんの、傘をさしていない方の手には、もう一本傘が握られている。ようやく、状況が飲み込めてきた。


 どうやら、傘を持ってない娘が困っているのではないか。と思った葉月のお母さんは、娘を迎えに来たらしい。


 「・・そうだったの。川上くんだったかしら、はじめまして。」


 「あ、はいっ、はじめまして。」


 葉月のお母さんに話しかけられて、少し緊張する。


 「しおりを助けてくれてありがとう。これからも、しおりのこと、よろしくお願いね。」


 「は、はい。こちらこそよろしくお願いしますっ。」


 葉月のお母さんが、何をどう思ったのかは分からないが、とりあえずお願いをされたようだ。僕としては、願ってもいないお願いであったが。


 「傘、入れてくれてありがとう。それじゃあまたね!」

 

 「う、うん。」


 葉月はそういうと、お母さんの方へ歩いていった。

 

 二人は傘をさして、歩いていく。


 僕は、二人の姿が見えなくなるまで、見送っていた。


 やがて、自宅へと歩きだしながら、心配して、わざわざ傘を持ってきてくれるなんて、とても優しいお母さんだな。と考えていた。

 

 


   




  

 二話目も読んでいただいて本当にありがとうございます。m(。_。)m少しでもお楽しみいただけていると幸いです。

 今回は、昨日一日を使って、かなり頑張ってやりましたっ(*´-`)正直、時間をかけて、まだこんだけしか進んでないやん!とか、思うことが多々あります。

 まだまだ実力不足の僕ですが、何とかやっていこうと思っているので、暖かい目でみてもらえれば、嬉しいです。

 また、本作の完結は、何話くらいか。ということを話しておきますと、まぁ正直自分でもはかりかねるところはありますが(なんやねーん)、大体10話くらいでしょうか。20話かな・・・。

 いつまで続くのかは、はっきりとわかりませんが、ご愛読していただけたら、大変嬉しいです。


 それでは、また近いうちにお会いできるよう、頑張ります( ´_ゝ`) GOODLUCK。


 

 

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