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君と俺と彼女と  作者: 旋律
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俺の始めての感情

初めて恋愛ものというものを書いてみました。

異世界渡航記もがんばって続けるので、呼んでいただければ幸いです。

 俺は東条とうじょう 涼斗りょうと、いたって普通の高校一年生だ。

 容姿的には悪い方じゃないとは思ってはいるが、人生の中で一度もモテた経験など無い、世間一般で言う普通の顔の持ち主だろう。

 そんな俺にもついに春が来て、いや、春はまだ来てはいないが、好きな人が出来たのだ。

 今の季節は冬、草木が眠り、暖かい風が吹くのを今か今かと待ち構えているこの季節に、俺の心臓は突然吹いた春の風に驚き飛び起きたのだ。

 その風は暖かいと言うには熱すぎ、俺の身体を一瞬で焼きつくした。

 それからの俺の行動は早く、彼女と仲良くなるために様々な作戦を実行した。

 朝は出来るだけ挨拶を交わしたし、偶然を装って途中まで一緒に帰ったりもした。

 その作戦のほとんどは成功したが、一番行幸だったのが同じクラスだったという事だろう。

 そうした幸運をも味方につけながら、俺は彼女と仲良くなり、今ではクラスで普通に話したりする程度には仲良くなれたのである。

 そして俺は今、彼女と会える唯一の場所である学校に胸を高鳴らせながら進んでいる最中という訳である。

 --あともう少し、そこの角を曲がれば学校が見える。--

 ふと学校に向かうのってこんなに楽しいものだっただろうかと思いながら高まる鼓動に静まれと念を送っていると、不意に俺の肩に手が置かれる。

「よっ、おはよう!涼斗!」

 今俺に声をかけてきたのは、俺の幼い頃からの親友である藤原ふじわら 秀人ひでとだ。

 彼は俺が一番信頼している人間で、今までどんな人に知られたくない事でも彼になら話せた。

 それほど俺は彼のことを信頼しているし、必要としているのだ。

 しかし、今の俺にはどうしても彼に言い出せないでいることがある。

 そう、俺の胸中の大半を占める感情の事である。

 その理由というのが、この事を話すには彼は不適任だと思ったわけでは決してなく、心の表面にある羞恥心からくる躊躇いがそうさせるのである。

 そんな自分の不甲斐なさに少し罪悪感を覚えつつ、胸を支配するモノが徐々に大きくなっていくせいか、なんだお前かと彼に対して素っ気無い態度を取ってしまうのである。

「なんだって何だよ。お前がいつも朝はテンションが低いのは知っているけど、ちょっとひどくないか?」

 そう彼が笑いながら言うと、ほんの少しだけ心がすっきりした感じがして、胸の支配が解かれた気がしてくるから不思議である。

 しかし、目の前に迫る門をくぐったとき、また俺の心臓は急激に加速し、前へ前へ進もうとするのである。

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