小説家になろうの編集者は人気タグ作品以外を没にする
小説家になろうというサイトは、編集者を通さず、いきなり読者の評価を問える恐ろしいサイトである。
バクマン読んでいるとホントそう思う。
雑誌で作品を連載する場合、一度編集者を通さないといけないから、自分が書きたい作品、書くべきと思う作品を書けなくなる可能性がある。
作者が直面する雑誌編集者が常に「当たり」とは限らず、世に評価を問えば大ヒットしたかもしれない作品が、編集段階で没を喰らって世に評価を問えない、なんてことがありうる。
それがないという点で、小説家になろうという場は、作者にとっての楽園だと思う。
しかしながら、なろうには実質的に、作品に没を出すや否やを決める編集者みたいな存在がいる。
それは、作品をランキングに上げるか上げないかを決める人たち──すなわち、毎日熱心に人気タグで検索をして、そのジャンルの新作をひとつひとつチェックして評価している人たちである。
彼らの眼鏡に適う作品を書かないと、本誌掲載──日間総合ランキングへの掲載とはならない。
そう考えると、彼らこそがその作品に没を言い渡すか言い渡さないかを決める、実質的な編集者であると言える。
彼らの嗜好が偏っているのか否か、と言えば、偏っているのかもしれない。
ただ、小説家になろうというサイトを仮に出版社だとして、そういう読者層をピンポイントに狙った出版社であると仮定すれば、この読者たちのフィルターはかなり精密であり、優秀であるとも考えられる。
彼らの眼鏡に適った作品は、高確率で、彼らと同じような嗜好を持った大多数のなろうユーザーから評価されるだろう。
これに対して、「小説家になろうは面白い作品が正しく評価されない」などと嘆いていても、まあ仕方ないと思う。
それは、持ち込む出版社を間違えていると判断すべきな気がする。
だから例えば、なろうで爆発的な評価を受けなかった作品でも、一般の出版社に持ち込めばGoサインが出るなんてことは、十分にありうると思う。
僕の個人的な見解では、連載作品で人気タグ(ワード)を使わず、ブックマークが話数×2~4ぐらいのペースで付いている作品には、十分見込みがあると思っている。
1話更新するごとの話別1話へのユニークアクセス(新規読者数)が20人として、そのうちの5~10人に1人からブックマークを付けてもらえる程度の作品なら、見込みはあるという判断だ。
(5人に1人というのが、なろうにおけるマックスに近い評価だという件に関しては、拙作エッセイ『連載作品は5人の読者につき1件のブックマークがあれば最高クラスの評価』を参照のこと)
たださすがに、何十話と連載しているのにブックマークが0件とか、1桁前半なんていう作品に関しては、書籍化を狙うならばその作品は諦めたほうがいい気がする。