主人公をプラスにするのが難しい
「主人公は常にプラス」にするのが難しい。
「主人公は常にプラス」というのは、『荒木飛呂彦の漫画術』に書かれている内容で、(少年)漫画のストーリーは、「起承転結」とともにこの「主人公は常にプラス」を守ることが、面白い漫画を書くための黄金の道だという。
主人公の気持ちや置かれている立場が、スタート地点から常に上がり続けることが大事だというのが、「主人公は常にプラス」の考え方だ。
ストレスフリー型の作品なら、まあちょびちょび上がり続けるだけでもいい。
苦難がなく、楽しいことをしていたらちょっとずつでも主人公が上がり続けるというのは、読んでいて楽しい。
なろう的なレベルとステータスっていうのもこの点で強くて、上がっていることが読者に数字で分かるというのは、なかなかに面白い仕掛けだと思う。
ただ、問題はストレスデケー型の作品のほう。
主人公が幾多の苦難に見舞われて、心身ともにボロボロになりながらも頑張って頑張ってその苦難を乗り越えてゆくというタイプの作品の場合、主人公には最終的に、「支払った苦難や代償に見合うだけの成果」が与えられるべきと思うのが、おそらくは読者感情なんじゃないかと思う。
これが読者の期待しているものよりも低いと、読者はがっかりしてしまい、作品に不満を持つんじゃないかと思われる。
今考えているのがそのストレスデケー型のストーリーで、主人公はすごい苦難に見舞われる。
のだけど、その苦難を乗り越えた後に得られる「それに見合うだけの成果」が思いつかない。
欠如して回復してプラスマイナスゼロ、という『荒木飛呂彦の漫画術』で言うところの「ダメなパターン」になってしまっている。
だからこそ、「行って帰る」物語のあとには、主人公は変化(成長)していなければならない、というのだと思う。
そうじゃないと、骨折り損のくたびれ儲けという印象を、視聴者(読者)に与えてしまうのだろう。
でも多分、ラノベ読者層は、苦難に対する見返りの期待度が高い気がする。
こんなに苦労したんだったら、このぐらい報われなきゃいけないと考える報われ度が、多分相当大きいものじゃないと満足してもらえない。
主人公を苦難に陥れた時点で、微増じゃ満足してもらえない。
九割方まで満足できるプロットができているのに、この最後の一押しが満たせない。
思いつかないので、もう見切り発車するしかないかなぁと思っているけど、もやもやする。
何か天啓でも降ってきてくれないものか。