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ストーリーメーカーは誰が使うか

 『ストーリーメーカー』マジ凄い。

 もう一本別なの考えてみたんだけど、何日、あるいは何週間とうんうん悩んでも書けなかったプロットが、半日でさらっと(というにはエネルギーと心と時間を使うけど)書ける。


 もちろん、完成したプロットの出来は相当いい(気がする)。

 欠点は、出来上がった内容があまりにも満足できすぎて、小説にせずにプロットのままさらけ出したくなることぐらいかな。


 あと、オリジナリティはちと低めになる気はする。

 そりゃそうか。


 まあ要は、普段は自分の脳内で漠然と設問を作って、それに自分で答えようとしているからふらふらっとしてしまうんだけど、このガイドラインに沿って考えると、設問があらかじめ固定されているから、その設問から逃げようがない。

 問いかけの仕方が正しいから、多少詰まっても、数分程度考えると出てくることが多い。

 大塚英志……恐ろしい人……。


 ただまあ、人間には当然の忌避感として、そんな機械的に作られた型に嵌った小説が面白いわけがない、むしろ面白くあってはいけないという本能的拒絶のようなものがあって、多分小説の中で「ストーリー」というものを最も重要な要素だと考えている作者さんは、これを利用したがらないと思う。


 ただ、「物語とは欠如の回復である」ぐらいの常識を礼賛(これ「らいさん」って読むんですね。「れいさん」だと思ってた)している程度の書き手は、多分これを使った方が、いいと思う。

 これを使ってみて、そこから少しだけ逸脱させてみるもまたよし。


 そして、そんなものは無視して、誰もが正しいと言うような創作理論も全部蹴とばして徒手空拳に巨人で挑むような気概のある人は、我が道を進んだほうがいいと思う。

 それが負け戦にしかならないかどうかは、試すための素晴らしい場が、ここにはあるので。


 僕は『少女騎士と姫様の~』の結果を見て、あ、こりゃダメだなと確信。

 まあ、これを見ているキミは頑張りたまえ、とソファにふんぞり返って言うのである。

 さあ、キミのロックを、世界に見せてやれ。




 ところで、なろうではテンプレっていかにも強大な力を持った巨人のように見えるけど、これまでの歴史の中で積み重ねられた古典的創作論、言わば「創作の正解」に反逆しているという点では、ある意味でチャレンジャーであるのだという気もしてくる。

 主人公と読み手にストレスをかけない、山も谷もなだらか……なんて作品に人気が出ているのは、ちょっと創作の歴史でも例を見ない一大事のような気がする。


 僕らは意外と、新たな創作論を生み出す偉大な一局面に立ち会っているのではないか、という気もしてくるのだ。



 さ、それはともかく、書こう書こう。


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