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四月七日――――夕食

「よし、それじゃあ――」


 今は五人となった家族で手を合わせて、


「頂きます」


 感謝の言葉を口にする。ちなみに、咲紀さんはあれから気持ち悪いくらい上機嫌になった。……本当に女心ってやつは分からん。


「ん……今日も美味いな」


 飛鳥さんが口に含んだ蒸し鶏を粗食しながら呟く。何で美味いって感覚からあの料理が出来るんだろう。……本当に女心ってやつは分からん。


「そういえば、明日は土曜日ですけど部活はあるんですか?」


 運動部である飛鳥さんと千春に訊く。明日明後日の部活の有無で、俺が密かに企んでいる計画が左右される。


「ん……アタシは日曜だな。千春は……明日だっけか?」


「うん」


「に、日曜!?」


「どうした圭兎。何をそんなに取り乱している」


 俺が企んでいる計画……それは――、




 ――飛鳥さんの誕生日を盛大に祝いたい。




 普段この橋﨑家を支えてくれている飛鳥さんに、何とか日ごろのお礼がしたくて思いついた事だ。飛鳥さんの誕生日は明後日の日曜日。もう準備は整っている……が、部活があるのか……。


「い、いえ……えっと……部活って何時から何時までですか?」


「……十二時から十六時までだな」


「そ、そうですか」


 良かった……被らなかった! それにしても、今のでバレたんじゃないだろうか。


「どうしてだ?」


「い、いやぁ~……えっと……久し振りに遊べないかなぁ~なんて」


 咄嗟に嘘を吐く俺に、飛鳥さんは疑いの目を浴びせながらも「構わないが」と言ってくれた。よしっこれで後は明後日になるだけだ。


「……圭兎君、明日は暇ですか?」


 安堵の溜め息を吐いた俺に、横から遊びの誘い。――稟香さんだ。こういうのは決まり文句みたいになっているからな。稟香さんの場合。


「えっあぁ……暇です」


「じゃあ、私と遊んでもらっても?」


「はい、大丈夫です」


「では……明日の九時にショッピングモールで」


「へ? あっはい」


 わざわざ待ち合わせ場所を決めるのは……デートっぽく見せたいからか。何か稟香さんってこういう時ばっかり細かいんだよな。良い意味で。


「じゃあ、待ってます」


 食器を台所に運びながら口にする稟香さん。普段は食事中だからという理由で口を開かない人だが、今日は何かあったんだろうか?

 ……明日の九時にショッピングモールって事は……買い物かぁ。きっとバカみたいに多く荷物持たされるんだろうなぁ、この間下着姿見ちゃったし。事故だけど。

 ど、どうしよ……下着売り場とか連れてかれたら……俺、社会的に抹殺さっれる気がしてならないんだけど。

 そんな俺の心配を他所に、稟香さんは食器を片付け終えて二階に上がろうとリビングの扉の取っ手に手を掛け――



「飛鳥さんには……絶対負けませんからっ……」



 ――何かを小声で呟いた。

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