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四月六日――――午後・玄関

 四人全員から返信メールが帰って来たところで、本格的に勉強を再会する事にした。俺だって学生だ、学生の本分は勉強勉強。

 勉強開始から、およそ一時間程で予習は終わった。流石に勉強が始まる初日って事で授業が少なかった事もあってだけど。


「さぁて、何をしたもんか……」


 部屋の中を見回してから、とりあえず勉強道具を元在った場所に戻した。まだ夕食の準備をするには早い時間だし……。

 そんな事を思いながら椅子に乗ってグルグル回っていた時の事――


 ――ガチャガチャッ。


 下の階から、そんな音が聞こえて来た。

 ど……泥棒? いやいやいやいや、まさかね。こんな白昼堂々と泥棒なんて……ね。

 警戒しながら、階段をゆっくり静かに下りて行く。一段一段下りて行くと、玄関の全貌が徐々に明らかになって行く。

 そして玄関に居たのは――


「――あれ……稟香りんかさん?」


 ――稟香さんだった。何だか疲れた様な表情をしているけど……学校はどうしたんだろうか?


圭兎けいと……君……学校でちょっと熱が出てしまって……早退して来ました」


 少しだけはにかんで見せる稟香さん。慌てて近寄り、おでこに手の平を当ててみたが、こんなのちょっとどころの熱じゃないはずだ。


「ちょっとって……何度ですか?」


「三十七度七くらいです。寝れば治りますから……休ませてもらいますね」


 平熱三十五度台のくせに。何がちょっとだ。


「鞄は良いですから、横になってて下さい」


 鞄を受け取る……というか奪うようにして、背中を押す。早く寝ていてもらわないと、つらいだろうからな。

 階段の方に押してやると、稟香さんは「ありがとうございます」と言いながら階段を上り始めた。

 俺の方は、一旦リビングに引っ込んでソファに座った。どうせ今行っても稟香さんは着替えてるだろうしな。

 二分くらい黙って座っていた時――


 ――ガタンッ!


 そんな音が二階の方から聞こえて来た。



「稟香さんっ!」



 嫌な予感がして、全力で階段を駆け上がった。

 稟香さんの部屋の前まで来て、問答無用で扉を開け放った。さっきの音……まさか、稟香さんが倒れたのか?

 ……目の前に倒れていたのは、いつも稟香さんが着ている制服が掛けてあるラック。

 良かった、倒れたのは稟香さんじゃなかったのか。……ん? 制服が掛けてある……だと?

 視線を段々上に向けて行く。目に入って来るのは、スラッとした生足に、黒い――パンティーとブラジャー。



 ……俺は多分、殺されるだろう。




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