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小話  作者: 鈴神楽
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現実主義な占い師

占いに対する私なりの解釈です。

「占いなんて非科学的よ」

 恋愛占いで彼との相性が最悪とでた彼女、友原(トモハラ)幸恵(ユキエ)は、周囲の人間に同意を求める。

「世の中には、科学では解らない事があるのよ!」

 クラスメイトで、占い大好き少女、高山(タカヤマ)美由紀(ミユキ)が反論する。

 その二人の言い争いは、クラスの女子を二分にする大きな騒ぎになった。



 問題の中学のクラスの転任して来たばかりの担任、海田(カイダ)智子(トモコ)が大きく溜息を吐いた。

「何でこんな事になったんでしょうか?」

 周りの教師も苦笑いするだけだった。

 そんな中、彼女のクラスのクラス委員、野々村(ノノムラ)法子(ノリコ)が職員室に入ってきた。

「失礼します」

 法子は、プリントを智子の机に置く。

「ありがとうね」

「いえ、クラス委員の仕事ですから」

 眼鏡を直しながら法子が返事をすると智子が言う。

「野々村さんは、どちら派なの?」

 法子は、肩を竦めて言う。

「ナンセンスです。どちらも間違っています」

 その言葉に智子が驚く。

「どちらも間違っているって占いを信じるかどうかの話しでしょ?」

 法子は、首を横に振って言う。

「幸恵達は、そもそも間違った論点で話をしています」

 首を捻る智子。

「間違った論点?」

 頷き法子が言う。

「あたしも、そろそろ是正すべきだと思いますので、次のホームルームの時間を頂けますか?」

 智子が戸惑いながらも頷く。

「あの問題を解決して貰えるんだったら助かるけど」



 その日のホームルーム、先生の代わりに法子が教壇に立っていた。

「皆さんに訂正したい事があります」

 ざわめくクラスメイトに法子が告げる。

「占い、特に今回の問題になった本の占い師の占いは統計学です」

 頭に?を浮かべるクラスメイト達に法子が言う。

「過去の実績から集計した結果を元に占いと言う結果を出しています。詰り占いはある種の科学であり、数式が成り立つ物です」

「そんな馬鹿な事がある分けない! 生まれた日によって人の性格や運命が変わるなんておかしいじゃない!」

 占い非科学派の幸恵の言葉に法子が答える。

「植物は、生まれた季節によって、成長の仕方が変わります。周囲の温度等に関係にありますが、人間も無関係ではありません。一部の例外を除き、生まれた時、季節イベント、その他の要素が絡み合う事で、生き方にも影響が出ます。詰り、生まれた日によって、多少の人生の違いが発生するのは、当然です」

 占い超常現象派の美由紀が反論する。

「それだけではこんな高確率な予知は出来ないよ!」

 それに対して法子が本を数冊の本を取り出して言う。

「同じ占い師の本ですけが、違う結果になっています。生まれた日だけではなく、読んだ人間の嗜好も計算されています。人の趣味は生き方に大きな影響を与えます。それで、予測率を上げる事に成功した結果です」

「なるほどね」

 智子は思わず頷く。

 しかし、納得できないのは幸恵である。

「そんなの、信じられない。同じ趣味で、同じ生年月日の人なんて幾らでも居るじゃない。それがみんな同じ予測結果になるなんておかしい!」

 法子が頷き続ける。

「最後の仕掛けはそこです。占いは実は誘導性があります。いい占いが出ればその可能性に意識が向く様に、悪い占いが出れば、その可能性に意識が向きます。例えで言えば、アイスの当りがあった後、そのアイスを落した場合、いい占いが出た人は、当った事に気が行き、悪い占いが出た人は、アイスを落した事に気が行きます。詰り結果が同じでも受ける印象が違うだけの場合があり、逆に適合性を無理に見つけ出す事があります。ここに至ってはもう心理学の領域の研究結果と言っても良いでしょう」

 思わず幸恵も納得する。

 そして法子が言う。

「最後に、人の一生を数式で表せないって言う人は居ますが、違います。数式で表す事は出来ます。ただ、その為に必要な数値が無いだけの話です。そしてその必要な数値を補助するのが統計学による占いという事です。しかし、統計学の結果は、一番有り得る仮定値でしかなく、外れる事もありますし、どんなに頑張っても近似値の結果しかでません。占いを道標にしても構いませんが、最終的に判断は自分でするのが正しいです」

 思わず智子が拍手をするとクラスメイト達も拍手をした。

 こうして、クラスを二分にした占い騒動は終結した。



「本当に助かったわ、野々村さん」

 数日後、智子が法子に言うと法子は一言。

「ああ言って置けば、お母さんの本を皆が買ってくれますから良いのです」

 固まり、問題の占い師の名前を思い出す。

「まさか、占い師、バルゴ野々村って野々村さんのお母さん!」

 頷く法子であった。

「お母さんって霊感は、ゼロですが、勉強熱心な人ですから、比較的有効な道標になると思います」

 何も言えない智子であった。

血液型占いを馬鹿にする人が居ますが、流れる血液が違うという事は、車で言えばオイルが違うという事、十分行動に差が出る筈です。

だから、占いが絶対という訳ではなく、法子が言う様にある程度の道標位に考えるのがベストですよね。

例えば、寒冷地用のオイルだからって絶対真夏の砂漠を走れない訳ではないのですから。

でも、寒冷地の方が合っているのは、確かなのである程度は行動指針には、すべきかもしれませんね。

占いもそうですが、虫の予感は、ただ単に言葉に出来ない、違和感(ほんの少し物の位置がずれている等)から、通常と異なる事を察知する能力でしかありません。

人によっては、湿度の違い、相手の行動の不自然さ等、色々ありますが、そういった予感は、今までの経験から導き出される物なので、有る程度、意識しておいたほうが、良いです。

違和感があったから、安全チェックを二度する等、やっておいて損はありません。

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