努力する死神
死神それは、安らかなる死を与える者
の筈なんですが?
私は自殺志願者である。
理由はそんな難しい事ではない。
会社を首になったからだ。
借金もあり、妻と子供に苦労させない為には自殺するしかなかったのだ。
私は元自分が勤めていた会社のビルの屋上で靴を脱いでいた。
靴には遺書を入れて私が飛び降りようとした時、目の前に鎌を持った一人の少女が居た。
私は少女の足元を見るが、どう見ても空中に浮かんでいた。
少女の足の下に手を伸ばすが、何も無い事を証明しただけだった。
悩んでいるとその少女が話しかけてきた。
「自殺するんですよね?」
嬉しそうに聞いてくる。
私も変だと思いながらも頷いた。
「そうだが、君は何かね?」
それに対して少女は名刺を差し出してくる。
その名刺には死神と書かれていた。
「新米なんで、これが初仕事なんですが頑張らせて頂きます」
頭を下げられてしまった。
そして死神はじっと私を見る。
暫くそうしていたら少女が不安げに声をかけてきた。
「もしかして自殺するの止めるんですか?」
私は慌てて首を横に振ると、死神は手を叩く。
「解りました。自分が死んだ後の事が心配なんですね?」
そう言うと、死神は背負ったリュックから一枚の鏡を取り出す。
そしてそこには数人の美男子に囲まれた妻の姿が映っていた。
「これは?」
死神は手元を覗き込みながら言う。
「えーと貴方の生命保険を元手に株をして大儲けして、ホストクラブを買占めした時の映像です」
……幸せならば良い筈である。
次に、娘が映し出された。
何故かウエディングドレスを着て、隣には社長の息子さんが居た。
「貴方の死の責任を感じ、社長の息子さんが家に日参している間に恋が芽生えて結婚したみたいです」
かなり複雑である。
その表情を読み取ったのか死神が言う。
「自分が生きていたらもっと幸せに出来ると思って居るんですね?」
そう言うと、鏡の映像が変わり、私と妻と娘が一緒に暗い部屋の中で震えていた。
「借金取りの取立てに恐れて縮こまって居る所みたいです」
それを見た時、私の中で何かが弾けた。
「私はそんな情け無い未来を作らない。絶対だ!」
私は遺書を切り裂き、死神の見せた未来を覆す為に歩き始めた。
「何が行けなかったんでしょうか? 前回は家族の幸せそうな未来を見せただけだともっと幸せに出来ると死ぬのを止めたから、一番不幸な未来を見つけて来たのに。でも諦めちゃ駄目。頑張るぞ!」
そして少女の死神は新しい自殺志願者の所に向かうのであった。
何故か絶望した人に生きる気力を与えてしまう新人の死神。
ドジっこ属性もちですかね?
これには、後、3パターンありますので、見たい人は、コメントをお願いします。




