第6話
「小説家になろう」投稿一周年記念作品
ふたたび園芸部、温室・・。
「くださいなぁー、幸福のクローバー!」
三人は園芸部の温室の扉を一斉に開けた。
「あれ、沙織どうしたの?」
園芸部の妙子が奥から顔を出し沙織に声を掛けた。
「お知り合い?」
綾乃が沙織に聞いてきた。
「わたし顔広いから」
沙織が答えた。
「ついでに顔も大きいわ」
由香がぼそっとつぶやいた。
「大きなお世話よ!」
「今日の朝は変な花ありがとう。だけどあれどっかいっちゃって。ごめんなさい。せっかく貰ったのに」
妙子が奥から歩いてきた。
「そんなのいいのよ。ところでクローバーある?」
沙織が目を輝かせながら言った。
「あることはあるけど、さっき大きな声で言ってた幸福のクローバーは残念ながら無いわ」
妙子が三人にクローバーが植えてある場所に案内した。
「わぁ!どれも大きい!三つ葉ばっかりだけど」
三人は驚いた。
「いま理科研究部と共同で品種改良の実験をしているのよ。だけどうまくいかないわ」
妙子は残念そうに言った。
「すると例のブツを持っているのは翠だけね」
沙織がぼそぼそ言った。
「えっ、なに!」
妙子が耳を傾けた。
「ううん、なんでもない。それより部長さんはどこ?」
沙織がいやらしい顔になった。
「えっ、わたしがそうよ。知らなかった」
妙子は直ぐに答えた。
「????」
三人はきょとんとした表情になった。
その日の学校からの帰り道・・。翠の話で持ちきりだった。
「図書室で調べたんだけどここ二年は園芸部に男子はいないそうよ。あとあの温室だけど出るらしいわよ・・」
綾乃の情報源は図書室だ。
「じゃ、翠ってお化けに恋をしたってこと!」
沙織がびっくりしていった。
「やめてよね。そんな季節外れな話・・」
由香は怖がりだ。
「学校の七不思議ってどこにでもあるじゃない。うちの学校にもないとおもしろくないわ。それに昔から伝わる日本の怪談話は意外と恋愛物語よ」
綾乃はこんな話が好きなようだ。
「他の男子生徒のいたずらよ」
由香は否定的に言った。
「どっちにしても興味津々ね。翠が心配だわ家に寄ってみましょ」
沙織は翠の家の方向へ足を向けた。
「心配なんかしてないくせに。あんたは先に翠に男ができるのが気がかりなんでしょ」
由香が沙織の後についていきながら言った。
「失礼ね。そんなこと無いわよ。また怖い話するわよ!」
全11話。一日おきの更新。