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第3話

「小説家になろう」投稿一周年記念作品

その日の夜・・。


「あの子、学校から帰ってきてから部屋にこもりっきりで、夕食に出てきたかと思えばろくすっぽも食べずまた部屋に入っていったのよ」

「受験勉強で忙しいんだろう」

「お父さんからも何か言って頂戴」

「まぁ、いいじゃないか。勉強に集中させてあげなさい。ところで今日のハンバーグ中が生だったよ。いつもは真っ黒なのに。その所為じゃないの?」

「初めて出会った頃あなたは私の料理が出来ないところが、好きだって言ってくれたじゃないの!」

「お母さんの手料理は我が家一だよ!もうひとつおかわりもらおうかな」


翠の家では下の階で両親がそんな話をしている頃、部屋では黒いマントに身を包み勉強ではなく怪しげな儀式に翠は集中していた。

「#%$&=!)→*:+;・・・悪魔様、我を四人の中で一番の幸福に導きたまえ!男は最初に私がいただきよ!」


そのころ他の三人は学校から少し離れた山の中にいた。


「一緒に探そうとは言ったけど別に今晩じゃなくてもいいじゃない!毎週観ているドラマが始まっちゃうでしょ!」

沙織は腕時計を見た。

「録画してきているんでしょ。帰ってから観れば」

由香が気だるく言った。

「もちろんしてきてるに決まってんでしょ!そうじゃなくて何故今日見つけなくちゃならないか聞いているのよ!」

沙織が腹立たしく言った。

「エネルギーが高まっているからです」

ひとり懸命に探していた綾乃が小さく言った。

「この前の図書室で調べて分かったことなのですが、今宵は月から放出されるエネルギーによって効力が抜群だそうです。ちょうど今夜が晩秋の名月です」

「古い言葉よく知っているわね。何の効力が抜群なのよ!まるで子供だましだわ!」

綾乃が説明しているのを沙織が茶化しに割り込んできた。

「どうでもいいけど、この山に生えているの?」

屈んで探していた由香が顔を上げた。

「急に顔を上げないで!ヘッドライト眩しいわよ!」

沙織は不機嫌だ。

「この山は昔から"関係者以外立ち入り禁止”でして、私が思うにパワースポットじゃないかと・・。これで見つかれば効果覿面です」

綾乃がきっぱり言った。

「またなんの効果が覿面なのよ・・。そういえばフェンスが張ってあったわね。よじ登ってきたけど・・。もしかして宇宙人の基地があったりして!」

沙織がわくわくしながら言った。

「宇宙人はあんたよ!」

由香が気だるくつぶやいた。

「しかし、やっぱりこれだけ探してもありませんね・・。遅くなりそうだから、もう帰りましょうか・・」

綾乃が諦め顔で言った。

「そうだな、また次にしようか・・」

由香が立ち上がった。

「諦めるの!ここまで来て無駄足じゃない!」

沙織が引き止めた。

「あんたも観たいドラマがあるんでしょ」

「もう始まっているわよ!それに録画しているからいいの!じゃこうしましょ、ここに来た証に記念になるもの見つけて帰りましょ!」dfws


・・・数十分後。三人は離れ離れで“いいもの”を探していた。


「見-つけた!ー」

一番乗りは綾乃だった。

「私もよ!ー」

次に由香

「なになに!ー」

沙織はまだ何も見つけていない。

「秋の味覚!」

由香と綾乃が声を合せて言った。

「いいなぁ・・、私も何か見つけよ」

沙織はがっかりしながら奥へと歩き回った。

「霧が立ち込めてきたよー。早く帰ろうー」

後ろから綾乃の呼ぶ小さな声が聞こえる。

《あっ、きれいな花。これに決め!》

沙織もようやくいいものを見つけた。

「まってー!いま行くー!」

全11話。一日おきの更新。

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