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第2話

「小説家になろう」投稿一周年記念作品

彼女たち四人は都心から少し離れた田舎の中学校に通学する仲良し四人組である。

沙織は根っから明るい能天気。翠は現実的で生真面目一本やり。二人は幼稚園の頃から幼馴染で口喧嘩で気が合った。由香はちょっと突っ張った女の子。小学校の頃に沙織とつかみ合いの喧嘩で気が合った。綾乃は読書好きの文学少女でお嬢さん。小学校の頃に転入してきてこれも沙織と言い問答で気が合った。どれも沙織が発端で良い出会いではないが長く腐れ縁で繋がっている。


「クローバー・クィーンズ・・・、って知ってる・・」

オレンジ色の夕日が空を染めたその日の学校の帰り道。綾乃が突然、前を歩く他の三人のたわいも無い話に小さな声で割り込んできた。

「えっ、なにっ!・・。なにかのロックバンド・・」

沙織が振り向いた。

「いやぁ・・・、偶然図書室で聞いた噂話なんだけど、幸せを呼ぶ四葉のクローバーっていう伝説があるの・・」

綾乃が小さく話し出した。

「なにそれ、なにそれ」

沙織が綾乃の側にやってきた。

「図書室っておしゃべり厳禁じゃなかったっけ!」

「茶化さないで!」

翠の言葉を沙織がふさいだ。

「それでね調べたの・・。四葉のクローバー伝説は遠い昔からあって世界中でいろいろな言い伝えがあるの。だけど、そのほとんどは恋の成就の為なの」

四人は立ち止まり綾乃の話を聞いていた。綾乃の声は小さく集中しないと聞き逃してしまう。

「さすが文学少女!えらいわね。そうよ!昔から女は恋のために身を削ってきたのよ!」

沙織がうなずいた。

「そしてここからが新しい伝説よ。その四葉のクローバーを見つけたら呪文を唱えるの、そうしたら四人の王女様が現れ一人ずつひとつのアドバイスをくれるそうよ。そしてその人の夢を叶えてくれるの・・。素敵じゃない」

綾乃は小さく喋りながら先に歩き出し先頭に立った。他の三人はまだ立ち尽くしている。

「だからこの恋愛ゲームを成就するために、四葉のクローバーを見つけて一人ずつ王女様の意見を聞くのよ」

綾乃はジャンプして振り向き立ち尽くむ三人に人差し指をかざした。しかしそこには力の向けたような表情の三人が綾乃を見つめていた。

「探すの大変じゃない・・・」

翠がぽつっと諦め顔で言った。

「はぁ・・・・」

全員ため息が出た。

「だ、け、ど・・面白そうじゃない。四人で協力して幸福のクローバーを見つけましょ。そして最初に見つけたものが他の三人に言って、四つの葉っぱを分け合って全員で願いを唱えるのよ」

沙織が重い空気を入れ替えるように提案を出した。

「なんで一人一本ずつじゃないのよ!」

翠が突っ込んできた。

「そんな幸福なものが何本も生えているわけないじゃない!そんなにあったら世界中カップルだらけよ!!・・・で、それから男・・いや、彼氏探しのスタートよ」

「賛成ー!」

由香と綾乃が勢いよく手を上げて大きな声で言った。

「翠もこっくりさんに聞いてこのゲームに参加したんじゃない、一緒に探しましょ」

綾乃が翠にやさしく声を掛けた。

「ばかばかしい。時間の無駄よ。昔からよくある古典の伝説が新たに都市伝説に変わっただけよ。私は自分なりに恋も受験も成就されるわ」

翠は気の無い態度でそそくさと先に歩き出した。

「ノリが悪いわね。じゃ私たちで探しましょ」

沙織が翠の後姿を眺めながら言った。

全11話。一日おきの更新。

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