表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

第1話

「小説家になろう」投稿一周年記念作品

秋の夕暮れが近づいた放課後。少し肌寒さを感じる教室の片隅で四人の女生徒がひとつの机を前に顔を見合わせていた。

「そういえば私たち来年で卒業ね」

沙織が思い出したかのように先手を切って喋り出した。

「喋らないで集中して!」

翠が睨み付けた。

「そう言えばそうね、私たちこんな事してていいのかしら」

由香が気だるい声で言った。

「・・・・」

綾乃はみんなの表情を伺っている。

「いろいろあったけど、3年間同じクラスだったし私たち運命の糸で繋がっているのよ」

翠が落ち着いた声で言った。

「そこよ!運命的な出会いってものがなかったのよね・・」

沙織が声を張り上げて言った。

「何よ!私たち以外の運命的な出会いって!」

翠が強い口調で言い返した。

「分かっているくせに。男よ男!」

沙織がいやらしい表情になった。

「・・・・」

綾乃は沙織の表情を見てにんまりした。

「なに言ってるのよ。私たちこれから受験よ。そんな暇ある?」

翠がため息を付きながら言った。

「じゃ、こんなことやっている暇は何なのよ!どう競争しない?この中の誰が卒業までに男を見つけるか」

沙織が目の前の翠に身を乗り出し言った。

「ばっかばかしい・・・。こっちにこないで椅子に座りなさい」

翠が沙織をなだめるように言った。

「面白そうじゃない。乗った!」

由香が気だるく微笑んだ。

「そうよ、中学生生活最後の思い出になるわよ。この仲好し四人組の誰が一番最初に男を見つけるか!」

沙織が目を輝かせた。

「男、男って言葉が悪いわよ。せめて彼氏といいなさい」

翠が注意した。

「綾乃も参加するよね。このまま本だけが恋人って嫌でしょ」

沙織が目を輝かせたまま綾乃の顔を見た。

「・・・・」

綾乃はにんまりしたまま小さくうなずいた。

「これで決定ね!いいわねそこで条件がひとつ。男・・いや、彼氏は理想のタイプで無いといけない事。・・で、ロマンチックに射止めることよ!だって女の子だもん」

沙織がはしゃいだ。

「ひとつじゃないじゃん!」

由香が笑って言った。

「私は何も言ってはいないわ!」

翠ははっきり言った。

「じゃ、翠はどうなのよ・・・。そんな気はないの・・・」

由香が気だるく翠に顔を向けた。

「・・・・」

綾乃は翠の顔を覗き込んだ。

「どうなの!」

沙織が最後に顔を付き合わせた。

「私は・・・、これで決めます・・」

翠が集中した。他の三人も集中した。

「こっくりさん、こっくりさん・・・」

教室の窓から彼女たち四人にオレンジ色の秋の夕日が差し注いでいた。

全11話。一日おきの更新。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ