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o゜包o≡ 足=  作者: 〇樽小樽
ep.1飛行バイクと飛行魔法
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33

 青い空に黒い点が浮かんでいる。

 小さな鳥が飛んでいた。どこへ向かうのだろう、とぼんやりその姿を目で追う。


 「何見てるの」


 視線を下げる。

 彼女の黒い髪が風に揺れる。隊服の間はずっと括っていたので、その光景はなんだか新鮮に目に映った。


 「……思ったより、大荷物だね」


 質問に答えないリュカに楠は半眼を見せた。


 「引っ越しみたいなものだから。こんなもんでしょ」

 「そっか、それもそうだね」


 答えて、改めて実感した。アレサンドロに聞かされた時、迎えの日時が決まった時、飛行艇を出発する時、その全てで半信半疑だったのに、いざ本人を目の前にするともう認めざるを得ない。

 彼女は本当に、共に来るらしい。


 「これ乗るかなぁ……」


 ガラガラとスーツケースを引きながら楠がこちらに近付いてくる。先程まで、その音にすら気付かなかった。

 リュカは横向きに腰掛けていた飛行バイクから降り、サイドカーの方に回る。


 「ちょっと狭くなるかもね。乗り心地は悪いかも」

 「迎えがこれだって分かってたら、もう少し減らしたんだけど」

 「なんだと思ってたの?」

 「魔法陣。レオーネさんの」

 「そんなほいほいと使えるものじゃないよ」


 楠の手からスーツケースを受け取ろうとして、代わりに大きな箱を持たされた。傍には同じものがもう二つほどある。これを全部乗せてしまえば、楠が座れるスペースは三分の一もないだろう。


 「やめておく?」


 口をついて出た言葉に、楠は呆れたようなため息を吐いた。


 「はいはい」

 「……もうちょっとちゃんと聞いてくれてもいいでしょ」

 「そっちこそ、もうちょっとちゃんと聞いてくれてたら、私がなんて答えるかなんて分かるよね」


 よいしょ、と楠がスーツケースを持ち上げる。サイドカーに詰め込んで、リュカの方に手を伸ばした。

 それを躱して、箱をサイドカーに乗せる。


 「これも乗せるよね」

 「……あぁ、うん」

 「……なに」


 他の箱を持ちあげていれば、隣からはなにか物言いたげな視線が注がれていた。怪訝な表情で尋ねる。

 楠は目を細めて言った。


 「乗せてくれるんだと思って」

 「……当たり前でしょ」


 そんなに気が利かないと思われていたのだろうか。少しだけショックだ。

 そのまま箱を詰めて振り返る。

 最後の箱を持った楠が横に並んできて、それを乗せた。


 「じゃ、行こうか」


 そう言うと彼女はそのままサイドカーに乗り込む。足だけ入れて、困ったように固まった。荷物の位置をずらしだす。場所を開け、なんとか座る隙間を確保したようだった。

 それを見届けて、リュカは飛行バイクに跨った。


 「行くよ」

 「うん」

 「行くからね」

 「分かったって」


 吸って、吐く。そうして息を整えて、リュカはちらりと横を見た。

 楠が言う。

 

 「よろしく、相方さん」

 「あぁ。よろしく、シュガー」


 そして飛び上がる。

 ギルド北支部飛行艇へ、陽動飛行隊が帰還する。



ep.1 飛行バイクと飛行魔法 完

ご愛読ありがとうございました。

またいつか、ep.2でお会いできれば幸いです。

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