その4〜その6
その4
「クレヨン」 と ひとこと 言ってしまった。
そうだ クレヨンがいい。
クレヨンという名前が 似合っている
この子猫には。
その時から その三毛猫の子猫は
クレヨンという名前にして 何回か
呼んでみた。
うん しっかりくる名前で ボクは
満足していた。
名前が決まると この子猫は 「ニャー」 と
2回ほど 鳴いてから 少し弱った感じがした。
もしかして 腹が減っているのかもしれないと思い
何か エサをやらねばと 必死になって家の中を
探してみた。
だが子猫が 食べれそうなエサが
家の中に無かったので 近くのコンビニまで
行こうと思い クレヨンという名前にした
子猫を いったん段ボール箱に
戻したのだった。
その5
家を出で 近くのコンビニまで 行こうと思って
いつもの散歩コースを 通って 少しかけ足で
行った。
そして さっき クレヨンという名前にした
子猫を 拾ったところに 通りかかろうとしたとき
少女が 半べそをかきながら 何かを
探していた。
ボクは 何だか心持ちならなくて その少女に
「どうしたの」 と 声をかけずには
いられなかった。
そして その少女が言うことには 父親が
可愛がっていた 三毛猫の子猫を
勝手に捨てて しまったこと さっきやっと
父親から どこに捨てたか 聞けたことなどを
話してくれたのだった。
ボクは その話を聞いて ハッとなった。
その6
その少女の 話の中の 捨てられた
三毛猫の子猫というのは さっき自分の家まで
持って帰った クレヨンと名付けた
子猫のことじゃないかと 思って
色々と その子猫の とくちょうを
聞いてみた。
そうしたら 完全に クレヨンのことだと思って
ボクは 正直に 自分の家に段ボール箱ごと
持って帰ったことを その少女に伝えた。
そのことを聞いた 少女は 嬉しそうに
こう言うのであった。
「わたしの猫を 保護してくれたのですね
ありがとう。
もちろん すぐに 返してくれるのですね?
わたしの大切な猫なんだ」
と そう言われたので
本当は 返したくない 名前まで付けたのにと
心の中では そう思って 答えに少しの間
困ってしまった 自分がいた。