冒険者は旅に出る日を夢見る
わたしにとってこの村は世界の全てだった。
わたしのおじいちゃんは、冒険者だった。
おじいちゃんはいつも嬉しそうに冒険の話をしてくれた。
世界はとても広く美しいと。
冒険が楽しかったと。
わたしもいつか、冒険に行きたい。
世界を見たいと思うようになった。
おじいちゃんはわたしを止めた。
「冒険にはいくことはやめておきなさい。」
「どうして?おじいちゃんはたのしかったんでしょ」
「楽しかったが、それだけではない辛いこと苦しいこともたくさんあった」
わたしの頭を撫でながらおじいちゃんは言った。
それから、10年経った。
わたしは16歳になった。
おじいちゃんは、5年前仲間に会いにいくと言って村から出ていったきり帰ってこない。
手紙もいつからか届かなくなった。
わたしは、冒険に行くことにした。
おじいちゃんの話を聞いていたわたしは、ずっと冒険に出たかった。
そして今、冒険に行くなと言うおじいちゃんはいない。
わたしを村に閉じ込めていた人はいないわたしは自由だ。
わたしは、ヘルメットをかぶりバイクに乗り走り出した。
「今日からわたしは自由だー!」
わたしの冒険は、叫びながらスタートした。
村の外に出たことがないわたしは、初めての景色に感動した。
見たこともない大きな建物。自然の雄大さに
「すごい。」
わたしは唾を飲み込んだ。
「こんなに綺麗な場所があったなんて」
建物に近づきバイクを停める。
「誰かいますかぁー」
わたしは、建物に入った。
返事はなかった。
日が暮れはじめていたのでわたしは、この建物で一晩過ごすことにした。
朝日が眩しく感じ、目を覚ますと隣で白い少女が眠っていた。
少女は、同じ人間とは思えない程に白く、美しかった。
わたしが、少女のことを見ていると
「あなたはだあれ」
と少女が話しかけてきた。
わたしは、冒険者と答える。
「ちがう、なまえおしえて」
わたしに名前はない。と答える。
少女は考えるそぶりをする。
「あたしがなまえをつけてあげる」と少女は言う。
少女は、10分ほど考え
「きめた。うでに08ってかいてあるからエイト」
少女は天使のような笑顔で言った。
「きにいった?」
名前なんて正直どうでも良かったが、どうでも良いと答える必要はないと思い。気に入った。と少女に対してわたしは答える。
「あなたの名前は?」と少女に聞く。
「あたしは、エネ」
呼びにくい名前だと思った。
「エネはここで何をしているの?」
「ここあたしのいえなの。あたしは、ずっとまってるの」
「待ってる何を?」
「ぱぱとままのこと」
エネは、俯きながら答える。
「いつから?」
わたしはさらに質問する。
「わからないの」
エネは、涙を流し始める。
「ぱぱままいつかえってくるの?なんであたしだけひとりでまっているの?」
わたしはエネに
「一緒に探さない?ぱぱとままの事」
「さがす?まってなくていいの?」
「もう待たなくても良いんじゃないかな。ずっと帰ってこないならさ迎えに行こうよ!」
「でもどこにいるかわからないよ」
「だから探すの。」
「でも、さがしにいってるあいだにぱぱとままがかえってきちゃたらあえないよ」
「じゃあさ期限を決めよう。1年探して見つからなかったらここに戻ってくる。探しに行くことを紙に書いておけば、入れ違いになっても待っててくれるでしょ。」
エネは、顔を上げうなずく。
「しゅっぱーつ!」
「おー!」
わたしとエネは、冒険の旅に出る。
1年後、ここに帰ってくるための旅に。