水彩の中の四角いあめ玉
白く塗りつぶされた背景に
黒ずんだ染みみたいな曲線が波打ってる
色とりどりのキューブ
摘まんで口に含めば甘いのかな
いつも遠くを見なさいって言われてた
近くばかりを見てると目が悪くなるからって
大人になっても
いつも遠くを見るようにしなさいって言われてる
近くばかりを見ていると行き詰まってしまうからって
昔は写真のように鮮明だった景色が
今は水彩画のような色調で
それはそれで味があるのかもしれないけど
足りない部分は想像するしかない
代わりに
手を伸ばさなくても届くものが増えた
自分の目で見て、直接触れて
そんなことをしなくても
見えなかったものが見えてくる
どんどん遠くの景色はぼやけてるんだよ
こうして外を眺めてると
目の前に映された景色を見て
遠くを見ている気になってるから
いつの間にか見えなくなっていたりしないのかな
遠くに見えてるあめ玉みたいな小さな光
摘まんで口に含んだらどんな味なんだろう
そんな好奇心は
見えていても見えてなくても
関係ないものかもしれないけど