結婚初夜の籠城②
私を迎え入れる日に我が家に迎えに来てくれた馬車は
「王族の馬車ですか?」と見紛う程に立派だった。
しかも私が乗る馬車の他に二台の荷運び用の馬車が用意されていた。
自慢ではないが長女の自分を自分から身売りを決意させる程に我が家は貧乏である
こちらが要望した倍近い支度金を頂いたが
ありがたく領地運営資金の蓄えにさせて頂いた。
用意して頂いた馬車は、一応当家の事情を鑑みて少なくしたみたいだが
私が用意した荷物は手荷物を鞄に幾つかと
既製品のドレスが数枚、肌着や小物の類だけ。
あえて高価なものは、身に付けている先祖代々のロザリアのネックレスのみ
荷馬車半台で事足りる、
何であれば私自身が荷馬車に乗れば一台で済んで、とてもリーズナブル。
私のぎこちない笑顔で全てを察してくれたのか
執事長を名乗る初老の男性は、
荷運び用に連れて来ていたであろう使用人に素早く指示を出して
私を馬車にエスコートしてくれた。
この執事プロだな?
・・・当たり前である。
だが我が家は家族経営でアットホームを売りにしている。
怪しい企業の募集の様だが失礼である。
お手伝いに日中来てくれる近所のおばちゃんには
きちんと報酬は出している。
うちの家はうちの家
よその家はよその家
このスタイルで行こう。
私は馬車に乗って嫁ぎ先の伯爵邸に向かった。