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ヴァンパイア城 食卓での攻防戦③

「さっき食卓でも話したけど、

まさか君がここまで何も知らないとは想定していなかった。

この婚姻は我が一族と君の一族との血の契約。

まずは、実際の物を見て貰ってからの方が話しが早い

シルビア頼む」

「ついに本性を現しましたね!!

物を見て貰うなんて、そのコートの下は全裸で

マントを開いてモノを見せつけるのね

しかも最初からシルビアさんも交えての上級プレイ。

鬼畜、鬼畜の所業よ、鬼、悪魔!!」


「とりあえず、鬼でも悪魔でも良いから見てくれるかな?」


私はシルビアさんから手わたされた書類に目を通した。

一番右下に二人の人物のサイン

一人はお祖母様のサインね、だとするともう一人はサインの名前からして旦那様のお祖父様?


内容は、お祖母様が旦那様のお祖父様を殺す事を条件に

我が家の子孫の娘が望まない婚姻をさせられようとした際に

一度だけ、ヴァンパイア一族の子孫がその娘を嫁に迎えて助ける事?


この感じは、魔法での契約、いえヴァンパイアの血の契約って言ってたかしら

今現在発動しているって事は、この望まない婚姻をさせられ様としていたのが私。

契約の内容的に望まない結婚を強いようとしているのは、旦那様ではないわね。

私が借金の対価を嫁入りにした事から条件が発動したのね。

確かにあの条件で婚姻を望んでくるなんてロクな男じゃないか、余程の訳ありね。

旦那様は余程の訳ありの口か。


「さて、見て貰ったのは血の契約書

書いてある事に一切の虚偽はない」

「それは確かに、私にも分かります。

でもお祖母様な何でこんな契約を」


「さあ?お察しの通りに私はこれでも随分前から生きている。

君のお祖母様にもあった事があるよ。

聡明で心根がよく、容姿も美しかった。

すくなくても見た感じは君にそっくりだったよ。」


うん?なんか容姿以外は否定されました?


「少なくとも私は、お祖母様をヴァンパイア一族に殺されたと聞いて育って来たのですが」

「うん、それはあながち間違えではない、かと言って真実でもないかな。

君のお祖母様は、当時は平民の聖女でね。

きみのお祖父様が死んだ後に来た、

国からのヴァンパイア討伐の王令には逆らえ無かったのだろう。

その後我が一族の反感をかった王家とは色々あったらしいけどね」


「お祖母様が王意によってヴァンパイア討伐に向かったのは聞いています」

「平民にとっての王意が王令とどう違うかは知らないけど

決死の覚悟でこの城に来たのは確かだね。

結果は聞くまでもないだろう?

聖女とはいえ、たった一人の女性がロザリア一つで真祖ヴァンパイアをどうにか出来る訳がない

闇の中であれば、一国を相手にしてもひけをとる事は無いのだから」


「その後に私のお祖母様は殺されたんですか?」

「いや、直後ではないね、私の祖父も随分変わり者でね。

いつでも命を狙えば良いとこの城に君のお祖母様を好きな様に滞在させたのだよ。

一年くらいたった頃かな、何故か父親にではなく、私にその契約書を渡して

祖父と君のお祖母様が死んだのは」


「・・・憎しみあって殺し合って相打ちという事ですか?」

「さあ、当時は私もきかされていなくてね。

確実なのは、殺そうと思って殺せる相手ではないのだよ、我が家の祖父はね。

言ったろ?変わり者だって、恐らく望んで殺されたんだ。」


「・・・望めば殺されるものなのですか?」

「ああ、一番確実なのが従僕にする為では無く、伴侶として相手に自分の血を与えて

真祖となった婚姻相手から吸血される事、自分の血では抗体も働かないからね。

血で呪われた運命は、血によって解放されるのさ。

代償に自分の体内で毒を精製する婚姻相手も死んでしまうけどね。


「・・・呪われた運命ですか」

「ああ、そうさそれ以外の何だというんだ?

永遠の命が羨ましい?だったら不眠でずっと起きてて見ろ、気が狂うさ。

望んでも死ねない、魂の輪廻によっての救済も安らぎもない。

化け物と罵られても、永遠に悪として生き続ける以外に選択肢が無い。

これが呪いで無ければ何だというんだ!!!!!!」


彼の魂の慟哭に応える様に、ビリビリと部屋の空気が震えた。


「・・・・・・・・」

「ああ、すまない、脅かすつもりは無かったんだ、本当だ。」


「話を戻すけど、私に悪意はない。

君のお祖母様には感謝しているからね。

私は祖父に似ているのだろう、

だからこそ、その契約書を受け継がれたのだろう、今ならば何となくわかるよ」


私は彼に対して何も声をかけてあげる事ができなかった。

気が遠くなるほどの間生きて来て、苦しんで来た彼に

たった一日出会ったばかりの小娘が言える事など何も思いつかなかった。


「もう婚姻も結んだし、その契約書もその内に消えるだろう。

私は君に何も望まない、害も与えない、契約が履行されたら離婚して貰って良い。

君が一生遊んで暮らせるお金も渡そう、領地運営が不安なら人材も手配しよう

それで終わりだ。」


私は静かに立ち上がって、自分の部屋に戻っていった。

途中立ち止まって、彼に一言


「そうそう旦那様あそこまで事情をお聞きした後に

最後に旦那様がおっしゃった言葉は今日一いえ人生一酷い言葉でしたよ。

それではお休みなさい、旦那様。」


部屋に戻ってぼっとしていると、扉の外からシルビアさんの声が聞こえた。


「セシリア様、今日はお疲れになられたと思いますので、そのままお休み下さい。

お約束させて頂いた通りに、この城にセシリア様がいらっしゃる間は私はセシリア様の味方です。

あのポンコツを見返したければそうおっしゃって下さい」


私はクスッと笑ってしまった。


「そうね、その時はお願い」

「あ、そうそう、私とした事が聞き忘れていました。」

「?」

「明日の朝食にリクエストはあります?」

「ハムで」

「・・・・こだわりますね」

「ええ、逃した魚は大きいのですよ」

「はい、受けたまりましたセシリア様、お休みなさいませ」

「お休み」


そう、私はルチアお祖母様の孫にして、ヴァンパイア一族の敵であるリンドス伯爵家長女セシリア

ただ憐れみをかけられて施されるなんて冗談ではない。


逃した魚は大きいのよ、新婚初夜に私をアンアン言わせなかった事を一生後悔させてやる。


借金の対価に嫁いだ聖女と死にたがりの聖女の敵ヴァンパイア

二人の戦いはこの日この夜から始まったのだった。

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