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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

一生ニートになりたい

作者: 町田美平

あなたは、一生365日働いて究極な金持ちになるか、一生ニートで暇すぎる毎日、どちらを選びますか?


一生ニート最高。

営業マンが、事故にあって、片足切断になって、ニートになる話。

あなたは、一生365日働いて究極な金持ちになるか、一生ニートで暇すぎる毎日、どちらを選びますか?



今日も出社する。毎日6時に起きて営業に行く。17時に終わっても、仕事の連絡が止まらない。


「もしもし?大丈夫?」

彼女からの電話だ。

「大丈夫」

「週末会えない?」

「あー、今週は無理だ。最近忙しくて。」

「わかった。」


仕事のLINE返さなきゃ。お風呂入ってはやく寝たい。洗濯物もたまってるし、彼女にかまってる暇はない。


ブーブーブー。

大音量の目覚ましで起きる。

やばい。遅刻しそう。


なんとか間に合った。

「おはようございます。」

今日は外回り3件と帰ってきたら、報告書書いて、ってか暑すぎる。

ぶっちゃけ辞めたい。けど、そう簡単にはやめられないのが現実。


渚からLINE貯まってる。あーもう無理。

渚とは付き合って2年だけど、仕事が忙しすぎて会えてないし、だらだらと付き合ってるって感じ。


「大林くん~、今月大丈夫?全然ダメじゃないか。もっと気合入れて」

「すいません。」

「今日、契約取ってこい絶対。」

「・・・はい。」


車に乗って、外回りに行く。国道沿いの大通り。車の中が暑すぎる。

信号が赤になったとき、LINEの通知音が連続でなった。


(たつき?)

(なんで連絡返してくれないの?)

(付き合ってる意味ある?)

(ねえ)

(もう嫌)

(別れよう)


あー―――――――。

めんどくさ。

ぎくしゃくして。頭混乱してきた。


(わかった)

たった一言それだけ返した。こっちは暑すぎる中、仕事してんだよ。


信号が青になった。

ブー――――――――――――――――――――。

ガッシャン


そのあとの記憶はない。

目が覚めたのは、病院だった。

そして。あることに気づく。


足がない。


片足が切断されていたのだ。


骨盤骨折、首、重症だった。


でも、思った。

これで会社に行かなくて済む。


幸せだあ。

死んでもよかった。毎日毎日疲れて働いて一生人間は働いてお金貰わないといけないし。入院生活楽しもう。


痛いし動けないけど。


意識が戻って、家族が来た。おかんとおとん、妹、弟。

「たつき?」

「目が覚めたのね。」


家族が泣いている。


ダメだ。眠い。苦しい。



しばらくして、リハビリの病院へ移った。


リハビリの病院は天国だった。

前の病院では、記憶がないし。大変だったけど、痛くてスマホもテレビも見れないし。



「こんにちは。社本です。これからリハビリ担当します。宜しくお願いします」

「お願いします。」


社本さんはドラえもんのドラミちゃんみたいなひとだった。


妹が貸してくれたipadとスマホとテレビ、

病院食はおいしいし、家族が持ってきてくれる、お菓子食べ放題。


一日3時間のリハビリ。

はじめはほぼマッサージだった。

「社本さん、車いすって乗れますか?」

「乗れますよ。義足をつければ、頑張れば歩けるようになりますよ。

頑張りましょう。」


一番困ったのは、トイレだった。


おむつだし、かわいい看護師さんだと恥ずかしい。

おばちゃん看護師さんがいい。


1日の始まりは、朝ごはん食べて歯磨きして、リハビリまでテレビみて、お昼ごはん食べて歯磨きして、リハビリして、終わったら、アマゾンプライムで映画見て、夜ご飯食べて歯磨きして、寝る。


最高すぎる。これがやりたかったんだ。

おかんがアイスを大量に差し入れしてくれるし、

毎日、妹か弟が会いに来てくれる。


しばらくして、退院の話が出てきた。


25歳の俺は、実家に戻ることになった。

高校生の妹と中2病真っ盛りの弟。


おとんとおかんもいて、騒がしくなりそうだ。


義足を作ってくれる人がいて、なんとか、トイレは行けるようになった。


退院日。

「社本さん、ありがとうございました。」

「たつきくん、退院おめでとう。がんばってね」


久しぶりの実家だった。

「たつき、しばらくゆっくり休みなさいね」

「俺、一生ニートだから」

「お兄ちゃん、おかえり」

「おう、花恋ただいま」

「翔也は?」

「二階にいる」


最高のニートライフ。

好きなだけ寝て、食べて、テレビみて、最高すぎる。

入院してだいぶ痩せたから、おもいっきりマック食べまくった。

貯金もあるし、ゲームに課金したり、アマゾンプライム、ネットフィリックス、Hulu,

ありとあやゆる、サブスクに入った。

家事もしなくていい、ごはんはおかんのおいしいものが食べれた。

なんて最高なんだ。

好きなだけ寝れるって幸せ。

朝から優雅に朝ごはん食べれるって幸せ。

二度と働きたくない。

てか。足が無理だし。

俺は一生ニートがいいんだー--!

一生この生活がいい。

あー最高すぎる。


眠い。寝よ。

起きたら、夕方の5時だった。





「ただいま」

花恋が学校から帰ってきた。


「疲れた。暑すぎる。」

「アイスあるよ」

「うそ!食べる」

「梨もあるよ」


「お兄ちゃん、具合どう?」

「すぐ疲れるかな。ずっと横になってないときつい」

「そっかー。昨日のドラマみる?」

「みる」


3か月経った。


暇だ。



暇すぎる。



外に出かけたくなってきた。


あんだけ一生ニートがいいと思ってたが、暇すぎる。


花恋が彼氏と花火大会だとさ。

いいな。


ああー、どっか行きてぇ。


入院中いろんな夢を見た。

渚と付き合ったばっかの時は楽しかった。

最悪な別れだったけど。


2020 東京オリンピック

パラリンピックの水泳選手を見て驚いた。


両手両足なくても、泳げてる。


「すげー」

俺は片足だけなのに、この人たちは一生懸命だ。


障害があってもあきらめずに生きてる。


何か目標があるって素晴らしい。


俺も目標が欲しい。







詠んでくれてありがとうございました。

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