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異世界建国記  作者: ガクト
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忠誠を誓う八種族

玉座の間の扉は大扉だ。

まるで巨人の扉。

何故こんな大きな扉にしたのかと問いかけたくなるほど大きなものだった。

しかも鉄製。

開けられるの?って思ったら自動で開いた。

変なところでハイテクである。

扉が開けば先程と見た光景と全く同じ数多の臣下が平伏していた。

私は真ん中の花道をセバスの先導で歩く。

なんとなく、猫背にならないよう、意識して背を伸ばして歩き、玉座に座る。

セバスは一段低い場所の端にその身を寄せて周りに合わせて平伏した。

「陛下、お戻り頂き誠に有難うございます。

陛下がいない玉座の間の寒々しさは極寒の冬の如く、お戻り頂き春風が吹いております」

レイが言う。

表情とその喩えから喜んで貰えているのはわかるが、大袈裟だと思う。

てか、春風って。

やっぱり寒いじゃねーか。

まあ、空気をよんで突っ込まないけど。

「ありがとう。それよりも、皆に聞きたい事があるんだけど、いいかな?」

私は王様なんだし、玉座に座ってるし、もっと厳かな口調で語った方がいいのかなともおもったのだが、私の語彙力じゃ遅かれ早かれボロが出るだろうし、何よりさっきまで下着同然の格好した奴が何格好つけてんの??ププってな感じなので、私は普段通りの口調でいく。

「は!なんなりとお聞きください!」

レイが膝をついて頭を下げる。

「ありがとう。………実はね……国がないんだよね。

なんか知らない?」

ざわっ

私のぶっちゃけに臣下達が騒めく。

「静粛に!」

レイが声を張り上げると皆が口を閉ざした。

すげー、完全に手綱握ってるぅ。

「陛下、どういう事でしょう?」

「さっき、天守閣から国を見ようと思ったら周囲に何もなかったんだよね。」

「はい?何かの間違いでは?」

「私一人ならそれもあるけど、セバスも一緒にいたからねぇ。」

ざわっと周囲が再び騒めき皆の視線がセバスに集中する。

セバスは何食わぬ顔で平伏していた。

レイも冷ややかな目でセバスを睨むも、すぐに私に視線を戻す。

「それは一体どういう事態なのでしょう。」

「一言で言えば異常事態。だから兎に角情報が欲しいんだ。」

「情報でございますか?」

「そう、何故国がないのか、いつから国がないのか、前兆はあったのか、ここ最近何か変わった事はなかったか…なんでもいい、誰か思い当たる節とかない??」

私の言葉に臣下達は何やら近くの者たちとやりとりをしている。

しかし、私は特に大声で話している訳でもないのに何故声がきちんと届いているのだろう?

「陛下」

騒めきの中、ひとりの女性が前に進み出て膝をつく。

鮮やかな着物を着た狐耳と尻尾を持つ妖狐だ。

妖狐は名前を覚えている。

名前は玉藻。

彼女はバトルで捕らえて配下に加えた獣人だ。

「玉藻、久しぶり」

私の言葉に玉藻は切れ長グレーの瞳を大きく見開き、平伏する。

「ああ、我が君、私の名前を覚えていてくださったのですね。」

「勿論」

実在する妖狐伝説から取った名前だ、忘れるはずもなし。

ちなみに後日ガチャで別の妖狐を手に入れた時につけた名前はゴンだった。

メスだったけど容赦なくゴンにしたのは狐にはこの名前だろうという拘りがあったのだ。

それはともかく。

「何か知ってるの?」

「申し訳ありません、私ども妖族は誰一人としてこの未曾有の異変に気付くことはありませんでした。」

言って彼女は平伏する。

妖族とは妖狐や鬼など知能の高い和風の魔物の総称である。

ゲームでは和服や刀を持っていたら基本妖族と思っていい。

「どうぞ、無能な妖族に罰を与えてください」

「いやいや、問題ないから」

「しかし……」

「知らないってのも重要な情報だよ?」

「……!ありがとうございます!」

華奢な体をプルプル震わせて彼女は額を床に擦り付けた。

……そんなに私って怖いの?

「……次は余が報告させて貰おう」

そう言ったのは浅黒い肌を持ち側頭部から捻れた漆黒のツノを持つ男だった。

男が膝をつき、真っ直ぐ私を見つめる。

「……」

「……」

これは……報告するとか言ってしないのは名前を言って欲しいのか……

ええ!?10年ぶりだぞ!?

基本覚えてないから…!?

いや、まて、自分の事を余とか言う奴確かにいた!!

名前……名前……そう、種族から連想していって……

「元気そうね、シューベルト」

パァーッと花が咲いたような笑顔を見せた。

よっしゃ、当たった!!私は内心ガッツポーズをする。

一方彼は一瞬で元の不遜な態度に戻る。

「余の事を覚えていたか。

そうだな、レイの事も玉藻の事も覚えていたのだ、余の事を忘れるはずもなかろう。」

ごめん、今の今まで忘れていたよ。

「そのことは評価するとして、例の件だが、我ら魔族も国の消失に関して何も感じてはいなかった。」

魔族→魔王→音楽→シューベルトってな具合で名付けられた偉そうな性格の魔族。

ちなみに魔王ってのは単なる連想でしかなく彼は魔王でもなんでもない。

しかし偉そうなのは魔族の種族的特徴だ。

その中でも一番偉そうなのがこいつである。

だって自分の事を余とか言うんだぜ?

しかしこいつこんなプライド高そうなのになんで私に跪いてるんだろう?

あれか、ガチャキャラの宿命か。

「ほ、報告致します……」

次に進み出てきたのは幼女だった。

10歳にも満たなさそうな小柄の少女。

しかし、その背には一対の白い翼がついていた。

彼女こそ発生確率激低の種族『天使』だ。

彼女を引き当てた時は狂喜乱舞したものだ。

今ならそんなんいいから旦那様を当てたい。

ちなみに、彼女によく似た堕天使族という翼が黒い種族もいるがこちらは天使族の亜種であり目測は獣人の次くらいによくガチャから出てくる残念賞だ。

「も、も、申し訳…ご、ございましぇん」

あっ、噛んだ!

プルプル震える天使ちゃん。

「おちついて、テンテン」

「は、はいぃ!」

よし、レアキャラだもの名前だってちゃんと覚えてる!

天使当てた時友達に自慢タラタラ名前を伝えたらなんつー名前つけてんだと大層怒られたという記憶もあったし、この子は問題ない。

「な、な、名前…お、覚えてて……くださった……」

ボソボソとテンテンが言う。

「ほ、報告します…!

えっと……私は元より堕天使達も何も知らなかったようです。」

「よく言えました!」

「は、はい!あ、ありがとうございます!」

褒めらて嬉しそうに羽をパタパタ動かすテンテン。

…ふと、隣のシューベルトを見ると不服そうに私を見ているが、可愛いは正義なのだ、私の対応は間違ってない。

「大将!報告するぞ!」

次に前に出てきたのは金の髪と髭を持ちライオンの耳と尻尾を持つ鎧を着込んだ壮年の男だった。

「俺ら獣人族も何が起こったのかさっぱりわからん。

事前に察知した奴もいねぇ。

俺ら獣人は他の種族に比べて鼻も耳も聞くのに情けねぇ」

頭をガシガシ掻きながら言う。

「獅子丸、そんなに責めなくて大丈夫。

皆一緒なんだから、皆で纏まって対処すればいい。」

「そう言って貰えると嬉しいねぇ。

だけど、外に情報収集する時は俺達獣人族をつかってくれよ?」

ニヤっとどこか悪どさを感じる笑みを浮かべる。

「偉大なるお方よ……」

霞が集まるようにしてぼやけた何かが現れた。

「我輩達死霊も何も知らず見えず感じず……。」

消え入りそうな声で報告してきたのはおそらくゴースト。

ゴーストやゾンビ、スケルトンなどの総称が死霊だ。

…….だけど、こいつの名前は……思い出せない……。

ゴーストなんて靄でしかなく、見分けもつかない。

寧ろこうやって喋ったことに驚きだ。

だめだ、幾ら考えても思い出せない。

ゴースト…ゴースト……そういえば当時日本の超有名ホラー映画がハリウッドでリメイクされて流行ったよな。

確かそのタイトルが……

「リング」

「我輩の名を覚えていてくださり感謝致します」

そう言って靄が消えた。

多分、見えないだけでどっかにいる。

てか当たっててよかった。

他の死霊の名前であった可能性もあっただけに運に助けられた。

「主人よ」

一頭の巨大な狼が現れた。

「我もそのような不可思議な現象を事前に察知などしておらぬ。」

彼は魔獣フェンリル。

魔獣も天使並に出現率が低いのだが、こいつは運営の不手際で迷惑を被った際にお詫びの品として受け取ったキャラである。

「やっぱりねぇ」

そして次は誰かと視線を向ければ膝をついたのはレイだった。

「陛下。申し訳ありません、我ら自然の声をきくエルフもこの事態には全く気づいておりませんでした。」

「陛下、我ら人間も同様。

…と、いうより人間の耳目でどうにかなるレベルを超えているように思います」

そう述べたのはセバスだった。

これにてこの場にいる全種族が報告を終えた事になる。


妖族玉藻

魔族シューベルト

天使族テンテン(堕天使族代表も兼ねる)

獣人族獅子丸

死霊リング

魔獣フェンリル

エルフ族レイ

人間族セバス


以上八種族各々の代表が彼らのようだ。

しかし、こいつらにそんな役目与えたかな?

よく覚えてないなぁ。

まあ、代表がいた方が話が通りやすくていいだろう。

私は彼らを見渡した。

「なるほど、やっぱり皆知らないのね。

ならば、情報を手に入れる為にも一度外へ出てみる必要があるわ。」

「大将!是非その任務を俺達に任せちゃくれねぇか!?」

そう真っ先に名乗り出たのは予想通り獣人獅子丸だった。

「獅子丸、控えなさい。外がどうなっているのか全く不明な以上ある程度知恵が回る者でないと任務は果たせませんよ?」

冷ややかにレイが獅子丸に言う。

「ああん?それは何か?俺ら獣人にゃ任せられないって意味か?」

「そう言ってるんですよ」

ツンとした物言いのレイ。

田所の声がイケボだから冷たいレイも素敵なのだが今は仲違いしてる場合じゃない。

て、いうかエルフと獣人って仲が悪いの?

初耳ですよ?

「二人とも喧嘩はダメ」

「申し訳ありません!」

「こいつが喧嘩を売ってきたんだ」

レイは素直に謝罪するが獅子丸は憮然と抗議の声を上げてレイにまた睨まれる。

「こら、レイ。睨まない。……獅子丸も挑発しない」

私の注意に再び頭を下げるレイにあっかんべーをする獅子丸。

ってかいい歳してあっかんべーとか…ガキかよ。

「で、外への情報収集だけど。

…….とりあえず、一番最初に立候補してくれてたし獅子丸達に任せる。」

「おっしゃ!野郎ども!俺達獣人族が大将のご指名で勅命を賜ったぞぉ!!

我こそは手柄を立てて大将のお役に立つと言う奴!名乗り出やがれ!」

獅子丸の煽りを受けて獣人族達が全員すっくとその場に立ち上がる。

「おお!全員か!!よし!では!この俺についてこい!!」

「「「おーー!」」」

「それでは御前失礼!」

そう言うと獅子丸は獣人全員を引き連れていってしまった。

本当に大丈夫なのかなと心配になるが、まあ平気だと信じよう。

私は天にも祈る気持ちで彼らの背を見送ったのだった。




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