いやはや、身を任せましょう。
いやはやなんとも。
いやはや、なんてこったい。
気がつくと、そこは闘技場だった。
どうやらまた、異世界に転移したらしい。
土の匂い、歓声、手には鎖。
服はドラクエ5の主人公が奴隷時代の時と同じ格好、つまりボロ布一枚である。
今、僕はどうやら見せ物になる一歩手前、奴隷の待合室的な所にいるらしい。
一つ前にいる男が、屈強な男に引きずられながら連れていかれる。
しばらくして、その屈強な男は僕の前に来ると、
「闘技場の外で寝てるとは、運がなかったな、まぁ面白可笑しくやられてくれや」
と笑いながら言った。
僕は思う、まずい。
パンツ履いてないじゃないか。と。
歩くだけでチラるぞコレ。
男のチラなんて誰が喜ぶ前にやばい。
くっ、死ぬ以前にモロはモロヤバイ。
屈強な男は僕の繋がれている鎖を引っ張る。
身体が大きく揺れる!
腰がぶるんとブレる!
このまま観衆の前に出るのか!
それだけは、それだけは!
引きずられ、とうとう僕は観衆の前に引きずり出された。
観衆の視線が痛い。
目の前には、バイク程の大きさのトカゲがいる。
側で焦げているのは、さっきの男だろうか。
歓声があがる。
同時にトカゲは火を吐き出す。
ヤバイ、止まっていたらチラないが、動けば確実に股間がヤバイ。
この観衆に、いや人としての尊厳が、いやでもこのままでは燃やされて死ぬ!
どっちも嫌だ!
だが、無常にもトカゲはこちらに歩いて来る。
僕はしゃがんだ。チラは嫌だ!
心の底から願った、その時、ふとあのサラリーマンピカチュウを思い出し、奇跡が起きた。
ピカッ!
僕の頭が光った!
観衆も、トカゲも眼を覆う。
そして、観衆のにやけ顔が、僕に最初に死んだクラシックカーを思い出させ、とっさに手を前に出した。
するとそこから、刀が出た。
あのクラシックカーの刀だ。
トカゲは脳天を貫かれ、絶命した。
眼が慣れた観衆から、ブーイングが上がる。
次の瞬間、僕はロープで四方から捕らえられ、袋を被せられた。
意識が遠くなる、どうやら毒ガスの様だ。
この体験でわかった事がある。
僕はどうやら、死んだ原因になったモノの能力を手にする事が出来るらしい。
少なくとも、禿げにショックで死ぬよりいいかと、いやはや身を任せ意識を失った。
いやはや、いやはや、主人公の能力判明回です。




