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虎穴に入らずんば虎子を得ず

虎穴に入らずんば虎子を得ずとは

 虎穴に入らずんば虎子を得ずとは、危険を避けていては、大きな成功も有り得ないという意味……

 




 日もだいぶ傾いてきた頃、なんとかジャネイロと村の中間にある"セイフティーゾーン"の小屋までOYAZIは辿り着いていた。


「ふぅ、とりあえずは一安心かな、しかし出発は夜になるかぁ怖いなぁ……」


 本来の予定では夕方には小屋を出て、夜がける前に村に到着しているつもりだったのだが、アーマーラビットとの戦闘後、4回もモンスターに襲われてしまい時間を取られしまったのだ。


「さてと、このまま村まで行くのに時間的余裕が無いよなぁ、ここは安全牌あんぜんぱいを切ってここでログアウトし、明日アップデート後に村を目指したほうが無難だよなぁ」


 OYAZIがここまで悩んでいるのには理由がある、どのゲームでも夜に強いモンスターが出るのはセオリーだ。そしてこのイルザォン・ヘッヂオンライン も同じで、夜になるとアクティブモンスターが増えるのだ。


 この街道で夜出るアクティブモンスターがOYAZIの不安要素になっていた。この街道では夜になると"サウンドフロッグ"と言う1㍍ぐらいの大きさがあるカエルのモンスターが出現するのだが、1匹だけならこのモンスターは簡単に倒せるのだが、こいつは戦っている最中、大声で鳴き周囲の仲間を呼ぶチェインモンスターだ。

 なので、無数の敵に囲まれる事態になりかねないので、OYAZIも悩んでいるとゆう訳だ。一応、街道上なのでそこまで大量に出ては来ないと思うが、油断はできない…


 悩みぬいた結果OYAZIは決断した。


「良し! ここは強行しよう、悩んでいるだけ時間が勿体無い! 念の為、入会キャンペーンで貰った"魔物避けの護符"をいつでも使えるように準備して、村まで駆け抜けるか!」


 そう言って自分を奮い立たせると、暗視ポーションや魔物避けの護符等を直ぐ使えるように荷物整理を手早く済ませ小屋を出た。

 空は既に薄暗く、地平線には太陽が沈みかけていた。


「うしっ! 行くか!!」


 気合を入れOYAZIは街道を駆け出して行った。





「ゲコーッ」「グゲゲ」「グエッグエッ」「ゲゴゲゴ」「グゲェェ!」

「ちくしょー、展開がお約束過ぎるだろぉぉぉ!!」


 村まで後少しという所で、OYAZIは大量のサウンドフロッグに追いかけられていた。


「このままじゃあ村には入れないし、近づき過ぎて村に被害が出たら最悪犯罪者になっちまう! くそー、ここまで来たのにっ」


 このイルザォン・ヘッヂオンラインでは、現実と同じように法律が存在する。一応、それぞれの国によってその内容は変わるものの、おおむね違いは無い。

 殺人・窃盗・恐喝・暴行要害・嫌がらせや、ストーキング行為等、現実で罪になる物は大体が同じである、無論プレイヤー同士に限っては、どのゲームでも同じでこの世界の国ではなく、GMなり運営会社に報告するのが普通だ。


 けれどこの世界の住人に対して、犯罪行為をすると……最悪アカウント停止になる、しかしそこまで悪質性の無い犯罪行為をしたものは、大体は長期間の奉仕活動や数日間のログイン不可、及び数週間のステータス低下等の罰を受けることとなる。

 無論、お金を払って許してもらえる例もある…この間の炉の爆発事件の様に悪意の無い事故関係はお金か、無料奉仕活動なんかが一般的だ。


 だから今OYAZIが助けを求めて、村に駆け込めば村に被害が出るのは明白なので、そうなると命が助かっても犯罪者として捕まった挙句、賠償金プラス無料の奉仕活動をさせられ、ステータスには犯罪者のマークが残ってしまうことになるのだ。


(それだけは、何としても回避したい! しょうがない…どうせ死んでもまたここまで来ればいいさ! 男は度胸! 自分のせいで誰かが死んだり傷つくのはいやだしな、ここはいっちょやってみるか!)


 覚悟を決めるとOYAZIは振り向き様に斧を切り上げ、背後から襲って来た数匹のサウンドフロッグを弾き飛ばし距離を取った。そして、初級ポーションEX!(バナナ味)を一気に飲み干し、サウンドフロッグと対峙たいじした。


「こいやぁぁぁ!!」


 OYAZIがそう叫ぶと、サウンドフロッグは一斉に飛び掛って来た。


「そう来る事は、分かっているんだよっ! 喰らえぇぇぇ!! ショック・ウェイブ!!!」


 『ショック・ウェイブ』と指輪をした左手をサウンドフロッグにかざして叫ぶと、指輪が一瞬キラリと光り、バスケットボールぐらいの大きさの半透明の球体が、バチバチと放電しながらサウンドフロッグ目掛け飛んで行き、奴らの体に当たった瞬間!半透明の球体は一気に膨張し炸裂した。


 すると、飛び掛って来たサウンドフロッグはその場にバタバタと落下し、ピクピクと痙攣するだけで襲いかかっては来なかった。


「ぶはっ……はぁはぁはぁ、マジでギリギリだ。はぁはぁ……うぐっうぐっうぐっ! プハー……危なかった。MP残り2って、早くレベル上げなきゃまともに戦えないぞこりゃ……」


 肩で息をし、今にも倒れそうな状態でOYAZIはなんとかMP回復ポーションを取り出すと、飲み干した。そして、マヒ状態で動けない事を確認するとサウンドフロッグ達が起き上がる前に何とか村へと逃げ込む事ができた。


 この"ショック・ウェイブ"は"錬金術師"で覚えれる、雷系の技である単体をマヒ状態にする"ショック"と"エンチャンター"の魔法系の効果範囲を広げる"ウェイブ"が合わさってできた呪文だ。

 このようにイルザォン・ヘッヂオンラインでは、違うスキルの技同士を組み合わせ、新しい技を覚える事ができるのだ。






 ようやくの思いで村に辿り着いたOYAZIは、門番に馬小屋の場所を聞き馬小屋へと向った。


「あのー、こんな明け方にすいません」

「誰だい? 何か用かね?」

「はい、門番の人に聞いて来たんですが、数日の間馬小屋の隅を貸していただけないでしょうか?」

「んー、ええよ……今は入って右側の一番奥が開いている筈だからそこを使うといい」

「ありがとうございます。」

「構わんよ、小屋にいる馬を驚かせんようにしてくれりゃあ良いさね…」


 とりあえず、馬小屋の持ち主と交渉してようやくの思いでOYAZIはログアウトすることが出来た。


「ふぅ、とりあえずこれからは、夜に村の外に出るのはそう……」


 そう心に決めて、眠りに着いた。

 今回はちょっと短めになりました。しかしランキングの上位に自分の作品が載っているのを見ると、これは実は夢なのではないかと思う今日この頃です。


 それと、日々コメントで誤字・脱字等をご指摘していただき本当にありがとうございます。今後も頑張って投稿してい行きたいと思いますので、今後もご愛読のしていただければ幸いです。

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