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教うるは学ぶの半ば

 教うるは学ぶの半ば とは?

  人に何かを教えるときは、半分は自分にとっての勉強にもなるという意味……

 書経しょきょうに書かれている教えの1つ。

 書経しょきょうまたは尚書しょうしょは、政治史・政教を記した中国最古の歴史書。堯舜から夏・殷・周の帝王の言行録を整理した演説集である。



 「で? ここは何じゃ?」

 「見ての通りの、訓練場だが?」

 「師匠は狩りをするための訓練じゃと、言ったではないか!」

 「戦い方を知らなければ、狩りをする前にお前が狩られるぞ?」

 「ぶっ、無礼な! 余を誰だと思っておる! 余は!」

 「残念系ロリッ子だろ?」

 「チガーウ!!」

 「はいはい……分かってるから、ね?」

 「態々わざわざしゃがんで頭を撫でるでない! 余を子供扱いするなぁー!! 余は王族じゃぞ!? 狩りの1つや2つ……」

 「ほう……じゃあ、あそこにある訓練用の人型に攻撃してみてくれ」

 「ふん! 楽勝じゃ! 見ておれよぉ……」


 そう言いながらスピネルは自分のアイテムBOXから斧を取り出すと、構えを取った。と、その瞬間OYAZIがヒョイとスピネルから斧を取り上げてしまう。


 「!? なっ、何をするのじゃ!? アレに攻撃をするのではないのか!?」

 「無論してもらう……こっちの斧でな」


 そう言ってOYAZIは、自分の斧をスピネルに差し出した。


 「うっ……」

 「どうしたんだ? 同じ斧だろ? 問題はないはずだろ?」

 「そ、それは……」

 「それとも、このとって~も軽い斧じゃなきゃダメな理由があるのかな? ん~?」

 「しょれは……その……」


 俺はスピネルから取り上げた斧を指先で摘みながら彼女の目の前で、ユラユラと揺らして見せた。


 「で、アルト……この斧はいったい何なんだ?」

 「それはぁ~、ドワーフが子供の頃にごっこ遊びをする際にもちいられるおもちゃですぅ。」

 「ほお~……という事なんだが? スピネル、これでどうやって狩りをするつもりだったんだ?」

 「あぅ……それは、その……」

 「はぁ…………まぁ、冗談はこのくらいにして……まず普通の斧に慣れろ。今回の目標は《斧》のスキルを覚えるのと、戦いの基礎を学ぶ事だ。さすがにぶっつけ本番は無理だからな、それにその斧ならどんなに使っても耐久が0にはならないから壊れる心配は無い。」

 「コレは……ち、ちと重いのではないか? う、うぅ……余はもっと……」

 「その重さに慣れろ、それに1番軽い斧でもライトメタルだからな、このおもちゃよりは重いのは確実だぞ? 普通の重さに慣れないと今後、困るのはお前だからな? しっかりと練習するように!」

 「じゃ、じゃが……」

 「ここでの最終目標は初級クラスの師範に勝つこと、これをクリアーするまでは採取も狩りもしない。自らの身を守れないのでは、話にならないからな」

 「うぅ……承知…………した。」

 「とりあえず今日、1日はここで訓練だ。それとこれから休みの時はここで訓練な、お店がある時は今まで通りだ。アルト、俺が居ない時も……」

 「承知していますぅ。OYAZI様が居ない間の休みはここに連れて来て、お仕事の日は今まで通りに指示表に書かれた内容で訓練ですねぇ?」

 「あぁ、よろしく頼む。」

 「はぃ~♪ 任されましたぁ。」


 そうしてスピネルの訓練が始まった。


 とりあえず基礎体力を上げる筋トレや運動をしていたので大きな問題は無さそうだ。ただ……


 「お前は斧を振った事が無いのか?」

 「し、失礼な! 斧くらい幼い頃より学んでおるわ!」

 「だったら何で柄の持ち方が逆なんだ? 右利きだろう?」

 「うっ」

 「それと斧を振る動作は基本的に、横なぎ、切り上げ、振り下ろしの3パターンだ。後はその応用だ。柄を持つ手の幅を広げることでより近接の攻撃をしたり、逆に柄の端を持って攻撃する事で威力を高めたりする。」

 「そ、そうじゃな……それくらい知っておるが、い、今のは師匠を試しただけじゃ! 決して知らぬわけでは……」

 「はぁ、スピネル……?」

 「う……うぅ……」

 「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と言ってな、知らない事を素直に分からないと答えるのも大事なことだ。」

 「じゃ、じゃが……」


 俺はスピネルの頭を優しく撫でながら、言った。


 「王族として知らないってのは恥ずかしいのだろ? でも、ここには俺とアルトしかいない。何を恥ずかしがる? 最初から全てを知っている人なんていないんだ。皆、時間をかけて覚えていくものだから……城では『え? 王女なのに知らないの!?』って目に晒されてきたと思うが、今は学ぶ時だ。いっぱい恥をかいて色々な事を学ぶんだ。」

 「……分かった…………その、教えて……ください……」

 「うん、よく言った! それじゃあまずは……」


 そして俺はスピネルに付きっ切りで斧の使い方を教えていった。


 別にやましい事なんてなんにも無いよ? ホントだよ? これは所謂いわゆる、親心に近い愛情というか……そう! 父兄愛なんだよ! だから決してロリコンという訳ではない! うん、断じて違う。

 俺はノーマルでオッパイ好きの普通のおっさんだ。だからロリコンではない! たぶん、恐らく……まだ……


 そう心に言い聞かせながらOYAZIは、邪念を振り払いながらスピネルを指導していった。






 「で? これは何なのじゃ?」

 「何なのじゃって、どう見ても服だろう? 見て分からないか?」


 スピネルを訓練場で指導し始めて数日が経った頃、マイハウスを出る前にOYAZIはスピネルに服と防具を取り出し、彼女の目の前に差し出していた。


 「それは分かっておる! じゃからどうして、服を余に差し出しているのか聞いておるのじゃ!」

 「そりゃ……着替えさせるために決まっているだろう?」

 「じゃから、それが何でじゃと聞いておる! 余は服を着ておるし、そのような安っぽい服などは……」

 「お前なぁ、その格好でOKだと思っているほうがどうかしているぞ?」


 OYAZIは深いため息を吐きながらスピネルの服を指差して言った。


 そう……彼女が普段から着ているのは、ヒラヒラのレースがたっぷりと付いたいかにも高級そうな、ベルラインドレスを着ているからだ。

 ベルラインドレスとは、スカートの部分が鈴のようにフワリと広がっている形状の物を言い、プリンセスラインと呼ばれる物よりもスカートの広がりが小さく、ウエストに返しがついているのでよりウエストを綺麗に見せるドレスなのだが、勿論こんな服でまともに動けるはずがない。

 だからOYAZIはアルトからスピネルのサイズを聞き出し、こうして動きやすい服を用意したのだ。


 「最初はさぁ、俺も王女だからその服に何かしらのアドバンテージかエンチャントがされている装備なのかと思っていたから口出ししなかったが、ここ数日訓練をしていて不審に思いアルトに聞いてみたんだ。そうしたら……ただの何の効果も無いドレスだって言うじゃないか! しかもお前が履いているハイヒール! 毎回、生まれたての小鹿のように足をプルプル震わせているじゃないか!」

 「こ、これは淑女としての嗜みで……」

 「戦いの際に淑女の嗜みなんていらん! マイハウスでは汚れるからといって服を着替えさせて、ついでに訓練もしていたから分からなかった。だがお前は毎回、外出する時はその格好だから、俺はてっきり……はぁ……」

 「良いではないか! 余はやれるぞ! 大丈夫じゃ!」

 「どこからその自信が湧いてくるんだ? まったく……アルト、ヤレ…………」

 「承知いたしましたぁ♪」

 「止せ! 止めぬかアルト……イヤ…………あっ、あぁぁぁー!!!!」


 スピネルの抵抗虚しく、目にも止まらぬ速さで服を剥ぎ取るアルト……そして数秒後にはプレイヤーが着る初期装備に近い皮の胸当てや、膝当てに手甲を安っぽい布の服の上から着せられて、その場でグスングスンと泣きながらヘたれこむスピネルの姿があった。

 

 「ふむ、皮のブーツも良い感じだな、きつくはないかスピネル?」

 「うぅ……余は……余は…………」

 「聞いちゃねぇな…………ところでアルト、聞きたいことがあるんだけど……」

 「なんですかぁ?」

 「成人の儀式の時って、装備品の扱いってどうなるんだ? 今、着せたのは俺が買ったやつだから……これってダメなのか?」

 「いえいえ、そんな事はありませんよぉ。無論、減点対象の1つではありますが、これくらいならなんの問題もありませ~ん」

 「あ、やっぱり減点対象なんだ。」

 「えぇ……だって、金に飽かして高級な良い装備を整えさせればぁ、誰だって簡単に採取とかできてしまいますからねぇ、でも装備まで自分で作れるのであれば、そもそも儀式なんてする必要はないですしぃ」

 「そりゃあ、そうだな……」

 「ですから、過剰すぎる装備は減点対象ですがぁ、これくらいのレベルの物なら問題ありませ~ん。」

 「そっか……」

 「しかし意外でしたぁ。」

 「何が?」

 「てっきり私はOYAZI様が作ったかとぉ……」

 「あぁ……まぁ、最初は作ろうと思ったんだけどな……時間が無いのもあるが、まだ納得のいく物が作れなくてな……だから今回は買ってきたんだ。」

 「なるほどぉ……」


 少し寂しそうな表情をしながらOYAZIはアルトにそう言った。


 実際にアルトやスピネルが寝ている間や、店に行っている時に訓練用の素材集めの空いた時間を使いコツコツとスピネル用の装備を作ってみたものの、彼自身が納得できる物は作れないでいた。

 このゲームで1番大変だと言われている生産系職業が装備品……特に防具関連が難しくて大変なのだ。何故ならば、このゲームにはご都合主義のフリーサイズ防具など存在しない。

 前に練習用に作っていた皮のエプロンなんかは問題ないが、いざ鎧や胸当て等になるとその難易度は跳ね上がる。


 体に着ける防具はブカブカでも困るし、ピチピチでも困るのだ。だからどの装備も基本的に全てオーダーメイドとなる。

 それゆえに作る時間もかかるし、何回も着心地を確認してもらい修正していかなくてはならいのだ。武器などは重さやの長さを調節するだけだが、そういた細かな調節が必要なために防具職人は大変だといわれるのだ。

 だから今回は泣く泣くNPC……この世界の防具職人に依頼をして、肩や腰のベルトで調節可能の胸当てタイプの防具を用意してもらった。


 (本来なら俺が作ったのをプレゼントしてやるのが良いのだろうけど、やっぱり難しい……評価4まではなんとかできたけど、やっぱり上手くできないんだよなぁ……まぁ、せめてアッチ・・・の方はしっかりと作ってやらないとな……)


 そんな事を考えながらOYAZIは落ち込むスピネルを抱えて、今日も訓練場へと向った。

 少し短めになってしまいました。すみません……。

 ここ最近、ようやくゴタゴタしていた事が落ち着き、時間にゆとりを持てるようになったのですが……どうもやる気が起きなくなってしまいました。

 物事に集中できず、アニメのARIAやヨコハマ買出し紀行、ひだまりスケッチ等のゆったり系アニメをダラダラ見て時間を浪費してしまっている今日この頃です。

 やっぱりちょっとぐらい忙しい方が、私には丁度いいのかもしらませんね……では! ノシ

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