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人の七難(しちなん)より我が十難(じゅうなん)

 人の七難より我が十難 とは

  他人の欠点は、目につき気づくけれども、自分の欠点には、なかなか気づかない、という意味……


 「それで? 俺を探していた理由ってのが、弟子にしてほしいってこと?」

 「そうではない! 余を弟子にさせてやろうと言っておるのだ!」

 「……いや、だから弟子にしてほしいんだろ?」

 「違うと言っておる! 弟子にさせてやろうと言ったのだ!」

 「「…………」」

 「……はぁ……分かった。」

 「おぉ! 分かってくれたか、ならば早く工房へと案内せい!」

 「全力でお断りします。」

 「!? なんじゃと!? 余の申し出を断ると言うのか!?」

 「あぁ」

 「ふぇ!? しっ、至高の存在であるである、この余を弟子にできるのだぞ!?」

 「いや、俺は君のこと知らないし……」

 「余は、ドワーフ王国の第四王女と言ったじゃろ!」

 「いやいや、そういう事じゃなくてだね……」

 「では、どういう事なのじゃ!? 余を弟子にできるという事が、どれだけ名誉ある事だと思っておる! 余はな……」


 彼女は自慢げに、如何に自分を弟子にすれば良い事があるのかを、その小さな手をバタバタと動かしながら一生懸命に説明し始めた。


 (はぁ……見ているぶんには面白くて、可愛らしいんだがなぁ、そもそも……ドワーフの国がまだ未実装なのだが……これはイベントなんだろうか? それともただの偶然? 確かに年明けに大型アップデートの噂はあるけど、公式発表ではないし……う~む、分からん。まぁ、なんにせよ絶対面倒事なのは間違い無いよなぁ、良し! ここは全力で回避していこう。)


 そんな事を考えながら俺はつたないながらも、どうにか自分の威厳を保ちつつ、俺の弟子になりたいのかを話す彼女の姿を眺めていた。


 俺はこの数日間、彼女をからかいながらも、ジャネイロの町をけっこう真剣に逃げ回っていた。もちろん異常状態が治ってからは、フィールへ出かけたりもしたがジャネイロに戻ると、どうやって嗅ぎつけたのか……彼女は必ず俺の前に現れた。

 勿論、俺も5つもあるジャネイロの出入り口を変えて出入りしていたのだが、必ず発見されるのだ。だから盗賊のスキルで気配を消したりして逃げ回っていたのだが、今日……終に路地裏に追い詰められてしまったのだ。

 

 この数日の事を見て分かるように、何でも信じちゃう天然な上に純粋で面白い子だとは思うけど、俺自身、弟子を取るつもりなんてさらさら無いし、俺が選ばれた理由が分からない。

 だって俺より優秀なプレイヤーは多いし、何より今の俺のレベルではNPC……町の職人の方が優秀なのだ。それなのに彼女は俺を執拗しつように追いかけてきた。

 まったくもって理解できない。単に顔が好みとかでは、流石に無いよなぁ? こんなおっさんを見て『カッコイイ!』という人はまずいないだろうし……まさま幼女に好かれるフェロモンでも出てる?


 いや……アニスと彼女だけでは理由にはならないか……そういえば彼女は見た目通りの年齢なのだろうか? 一応、外見的には8~11歳くらいに見えるけど、まさか俺より年上ではないとは思うが……う~ん……ドワーフだからなぁ、見た目ではっきりとした年齢が分からないな……

 もしかしたら、彼女は所謂いわゆるロリババアとか合法ロリなのか……? 


 彼女の話を話半分で聞き流し、そんなどうでもいい事を考えていた時、不意に前方の彼女の背後から声が聞こえた。


 「姫様ぁ~…………はぁはぁはぁ、ようやく見つけましたぁ……ふぅ、まったく何処に行っていらしたのですか? 随分ずいぶんと探したんですよ?」

 「遅かったではないか、アルト!」

 「ふぇ~ゴメンなさぁ~い……」

 「ふんっ、まぁ良い……それで、余が頼んだ物はどうした?」

 「売り切れでしたぁ~」

 「バカモノ! 何が売り切れじゃ! 作っている者を探し出して、とっとと買ってこぬか!」

 「きゃうっ!? イタタタッ! 痛いですよ姫様ぁ~」


 そう痛がり、声を上げるメイド服の女性……


 俺の目の前では王女と名乗った少女が、後からやって来たメイド服の女性の豊満な胸をムギュッと鷲掴みにして、強く引っ張っていた。

 なんと、うらやま……じゃなかった。けしからん状況に困惑しつつも、俺は冷静な態度で話しかけた……。


 「えっと、貴女は?」

 「イタタタタッ、エッ? 私は……って痛いですよ! いい加減に放してください姫様ぁ! …………ふぅ、っと恥ずかしい所をお見せしましたぁ。私は姫様……スピネル様の専属メイド兼、護衛兼、見届け役を仰せつかりました。アルト、と申しますぅ。」


 そう言うと『以後、お見知りおきを……』と彼女はポヤポヤした感じはではあるが、優雅に気品溢れる感じで深々と、礼をしてきた。


 「はぁ……こちらこそよろしく。……で、その……ドワーフの方ではないですよね?」

 「はい、私はハーフリングと人間とのハーフですからぁ……ドワーフではないですねぇ」

 「ハーフリング……確か人間の子供くらいの大きさくらいまでしか成長しない、好奇心が強い種族ですよね?」

 「はい、そうですよぉハーフリングは主にドワーフの国に暮らしていますぅ。」

 「ほぅ……てっきり特定の国には住み着かない種族だと思っていました。」

 「確かにそういう人も多いですねぇ、でもぉドワーフさんだけでは国を支えられませんからぁ」

 「? そうなんですか?」

 「はい、ドワーフの人たちは基本的に職人気質の方が多いですからぁ、商売とか畑仕事とか苦手なんですよぉ」

 「へぇ……」

 「だから、共生って事なのかなぁ? 販売や店員、農民なんかはハーフリングがこなして、ドワーフの人は物を作ったり、研究したりする人が多いんですよぉ」

 「ほほぅ……そういう風になっているんですねぇ、ではメイドもハーフリングの方が多いんですか?」

 「んー、どちらかといえば……ハーフの方が多いですかねぇ、ハーフドワーフとかハーフハーフリングとかですねぇ」

 「ハーフハーフリングとは、また言いにくい……」

 「くすっ♪ そうですねぇ、でも今のは遭えて言ったんですよ。普通は種族名を言う事はないですよぉ? 基本的にどの種族でもハーフって言いますし、だって片親だけの種族を言ってもおかしいじゃないですかぁ」


 「そう言われればそうだね、ハーフヒューマンなんて聞いた事が無いし……」

 「でしょぉ? それに外見がどう見ても人間でも、親のどちらかがエルフだったとして、自分はハーフエルフなんだぁ~って言われても見た目でエルフって分からないでしょ?」

 「確かに、どういう具合に姿に両親の面影が残るか分からないものな、耳が尖っていれば分かりやすいが、そう事ばかりな訳はないからな」

 「だからハーフの人の事は、どんな血が流れていてもハーフとしか呼ばないんですよ。」

 「なるほどな……だから君もハーフリングの血が流れていても、彼女より大きんだね」


 そう言いながら、どうしても彼女の胸へと目線が行ってしまう……。巨乳……いや、爆乳と言っていい程の大きさのあるその胸は、彼女が動くたびにプルンプルン……いや、バルンバルンと動くのだ。

 そちらに目線が行くのは止む終えないだろう? 男として当たり前だよな? 俺、間違っていないよな? しかも彼女、ハーフリングとのハーフということもあり、わりと童顔なのだ。

 身長も隣にいる王女よりは大きいものの、せいぜい150cm未満といったところだ。そんなロリ巨乳とはいかないが、少女のような背格好と容姿をもちながら、その胸にはバスケットボールもビックリな胸があるのだ。目が釘付けになるのもしかたがないだろ?


 そんな風に、王女がアルトと呼んだメイドの女性の胸をチラチラ見ながら話す俺に、王女がいきなり斧を何処からとも無く取り出して、構えた。


 「貴様! よもやアルトの胸を見て、言っておるのではないだろうな!」

 「いっ、いや!? 全然! し、紳士でナイスガイな俺がそんなはず……」

 「そうですよぉ姫様ぁ、そんな事を言ってはダメですよ。弟子にしてもらうのですから、師匠となる人を疑っては……」

 「違う! 弟子にしてもらうのではなくて、させてやるのだ! 間違えるでない!!」

 「おぉ、その事が知りたいんだ。このお姫様だと話が進みそうも無いからさ、アルトさんだっけ? 君から説明してくれないかな?」

 「えっと、まだ何もご存知ないのですかぁ?」

 「あぁ、ここ数日は口八丁で煙に巻いていたからな」

 「分かりましたぁ、では僭越せんえつながら私からお話いたしましょう。」

 「こら! 余を無視して、勝手に話すでない!」


 俺はバカ王女……おっと、スピネルを無視しながらアルトの話を聞き始めた。






 先程、申し上げたとおり……私は姫様の侍女であり護衛である上に"見届け人"という立場になります。この見届け人とは姫様の成人の儀式が正常に行われたかを見届ける役目を負っているのです。

 成人の儀式とはドワーフが一人前として大人の仲間入りをする大事な儀式なのですが、実を言うと姫様はこの儀式を7回も失敗しているのです。


 本来、成人の儀式は12歳以上のドワーフを対象としたものであり、普通のドワーフであるならば遅くとも18歳の頃には儀式を終えて大人として認められるのですが、姫様は儀式を成功させる事が未だにできないのです。

 姫様は見ての通りの見栄っ張りでプライドが高くて、その上……怠け者ですので自分で努力をするという事をしなかたのです。

 しかし姫様はドワーフ国の王女です……。王女である者が未だに成人の儀式を成功できないなどあってはならない事です。なので姫様のお父上であらせられますドワーフ国王は、こう宣言なさったのです。


 「スピネルよ……お前に最後の警告を言い渡す! あと3年以内に成人の儀式を成功できないのであれば、その身分を剥奪し、お前を廃嫡はいちゃくさせる! さらに、その3年間は城に住むことを禁止する! よいな!」


 と、宣言なされ姫様はこうしてドワーフ国から出て、世界を旅しているという事です。


 そう先程とは打って変わって、落ち着きある面持ちで説明してくれたアルトを見ながら、いくつか疑問に思ったことを聞いてみた。


 「その……成人の儀式っていうのはどういう物なんだ?」

 「えっとぉ~成人の儀式はですねぇ、儀式を受ける者が自らの力だけで指示された物を1から素材を集めて作る儀式なんですぅ。」


 (ありゃりゃ……口調が戻っちゃたよ。まっいいか……)


 アルトの口調に戸惑いを覚えつつも、俺はさらに質問を続けた。


 「ふ~ん、で? お題は?」

 「今年は、確かぁ剣でしたね」

 「ん? 今年は? 毎年違うのか?」

 「はい、儀式は1年に1回行われいてぇ、次の年のお題が発表されるまでに完成させて、見届け人に見せれば合格になるんですぅ。」

 「なるほどな……しかし7回も失敗したって事は、彼女は19歳?」

 「そうですよぉ~長寿のドワーフとしては、50歳くらいまでは子供な年齢ですけど、流石に25歳までには成人の儀式を成功していただけないと……」

 「25歳って、何か意味があるのか?」

 「それがドワーフの国に伝わる、最年長の成人の儀式の記録ですのでぇ……これでも姫様は王族なので、王様としてはせめて22歳くらいまでには成人してほしいのだと思いますぅ。それくらいなら、まだ言い訳ができますからぁ」


 「そういうことか……だいたい分かったが、1番疑問に思っている事が分からないんだが……なんで俺の弟子に?」

 「…………それは余が話そう」


 先程まで、自分の恥ずかしい事も含め洗いざらい話されてしまい、落ち込み膝を抱えて泣いていたスピネルが涙を拭きながら、話し始めた。


 「余がそなたの弟子に……うっ、な、なりた……いと言ったのはな……」

 (歯を食いしばる程、なりたいと言うのがイヤか!? どんだけだよ!? まぁ、自分の口から言っただけマシか……)


 苦渋に満ちた表情で、今にも泣き出しそうなのを必死に堪えながら彼女の話は続く……


 「そなたが、グランド・ダッシャーを使ったという噂を聞いたらじゃ……」

 (そういえば、最初広場で見かけた時にそんな事を言っていたな……あのオーバースキルに何か意味があるのか?)


 俺は疑問に思いつつも、彼女の話に耳を傾けた。

 遅れて申し訳ない。

 予想外にお姫様の反応が良くて、知り合いからこういう感じで! と色々と案を出されて、元々短いエピソードのキャラのつもりでしたが、思いのほかイメージが湧いたので、修正していたら投稿が遅くなってしまいました。


 お姫編、ちょっと話が長くなるかと思います。 ノシ

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