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一難去ってまた一難

 一難去ってまた一難 とは

  1つの災難をのがれて、ほっとしているところへ、別の災難がやってくるという意味……

 




 ゴリゴリとすり鉢で何かを磨り潰す音だけが聞こえる。


 (うぅ……飽きた…………。もうポーション作りたくない……。でも作らないとお金がない……。くそぉ、本当なら今頃には異常状態も解けて何かを狩に行けるのにぃ……あぅ……。)


 あのクエイク・マーチ騒動から、1週間が過ぎようとしていた。けれどグランド・ダッシャーを使用した際に受けた異常状態は、未だ治ってはいなかった。

 本来であるなら彼の異常状態はとっくに治っているはずなのだ。リアルでのおよそ3時間くらいがこのイルザォン・ヘッヂ・オンラインでは1日となるので、いつもの彼のプレイ時間で考えるのならば長くても見積もってもリアルで3日程で治っているはずだったのだが……


 泣きっ面に蜂というべきか、それとも踏んだり蹴ったりというのか、ともかく不運に不運が重なり結局あれから一週間も経っているのにもかかわらず、俺の異常状態は治ってはいないのだ。

 なので今は異常状態が治るのを待ちつつ、やる事も無いので延々ポーション作りに精を出しているのだった。


 まったく……何で今更になって資料を統一データ化しなくちゃならんのだ! 資料管理課は俺以外には3人しか人がいないんだぞ!? しかもその内2人は、退職間際のパソコンがろくに使えない爺さんだし、結局は俺ともう1人でやるしかなくて……本当に地獄だった……。

 紙媒体なのはまだ良い……問題なのはFDフロッピーディスクとMO(光磁気ディスク)の読み込み用の外部接続ドライブユニットを、探して買わなくてはならず。

 後は映像資料がVHSやベータマックスがでて来たのも大変ではあったが、1番大変だったのは8ミリフィルムと、LDレーザーディスクが大問題だった。


 俺と、もう1人……同僚の大橋と2人して『何処のどいつだ! 映像をコレに残そうと考えたのはっ!! てか、創立5周年の映像なんて撮っておく価値なんかあるのかよ!?』と半ば自棄やけになりながら叫んで仕事をこなしていた。

 結局、映像媒体の殆どを外部の映像会社に委託してデジタル映像化加工をしてもらった。そして約一週間、毎日、深夜に及ぶ残業をして、なんとか全ての資料をデータ化を完了し終え、こうしてゲームを再開しているのだ。


 まぁでも、左遷されて以来……同僚となった者たちと、ろくに会話もしていなかったが、こうして地獄のような仕事を乗り越えたお蔭で、かなり仲良くなれたと思う。

 なにより大橋とは友人関係になれて、一緒に仕事帰りに飲みに行くまでにはなったのは大きい。


 少しずつではあるが、俺自身のメンタルケアも進んできているのもあるのだろう。


 と、まぁ……そんなこんなで現在にいたる、という訳だ。


 「はぁ……ポーション作りに飽きたけど、他にやる事も無いんだよなぁ……異常状態が治るまであとこっちの世界で6時間弱か……うーん本当にどうしよう。」


 そう言いながらも結局やる事が無いので、ただただステータス画面を開いては残り時間を確認しては、またゴリゴリとすり鉢を回すのを繰り返していた。


 (別にさ、無理をしなければジャネイロ周辺なら十分に狩りも素材集めもできるんだが、現在ジャネイロには結構な数のプレイヤーが集まっているからなぁ、素性がバレてまたチャットの嵐になるのも嫌だしな……はぁ、どうしてもんか……)


 実を言えば、現在ジャネイロは再びアップデート直後のような活気を取り戻しつつあった。まず1つ目の理由がディザスター・ボアの発見だ。元々、王都アリエス周辺の草原にしか出現しなかったディザスター・ボアがジャネイロでも出現すると聞いて多くのプレイヤーが来たことが大きい。


 確かにここに出現するディザスター・ボアは王都と比べて、半分くらいのレベルなのでドロップするアイテムの質は落ちる。

 けれどその代わり、狩りやすいというのが大きな要因になっているのだ。本来であれば中級のプレイヤーでも狩るのが難しいのに、ここでは中級どころか上手くやれば初級プレイヤーでも狩る事が可能なのが人気の理由だ。


 もちろんディザスター・ボアはレアボスなので、そうそう出てはこないが各パーティー、スタンピード・ボアだろうがディザスター・ボアだろうが、一度ボスを狩ったら別のパーティーと交代というようなプレイヤー同士のルールが設けられた。

 そのお蔭で、ボアが出現するエリアには複数のパーティーが常に順番待ちをしている状態だ。


 そして2つ目の理由が温泉だ。あの村、何だか最近では物凄い発展を遂げているようで、その規模は旧ジャネイロと同じくらいの大きさまで拡大しているらしく、多くのプレイヤーが訪れているらしい。

 なので、村に向うための中継地点であるジャネイロにも多くのプレイヤー、NPCを問わず人が訪れているのだ。


 そうそう、それとどうやらあの村にも名前が付いたらしい……。その名も"アグアス・テルマィス"日本語に直せば温泉だ。

 俺はそれを聞いた時(何て安直なっ!?)と思ったものだ。まぁ、名前といっても通称のような物らしい。なので地図を開いて見ても、村の表記は変わらず"村"と記されている。

 しかも俺もその新しい名前を聞いた時に知ったのだが、元々あの村にも名前はあったらしい。それは"ヴィラ"…………和訳すれは"村"となる。

 村の名前が村って、安直過ぎるだろぉ運営!? と運営のやる気の無さが垣間見えた気がした。


 ちなみに、炭鉱の町"フェヴェレィロの近くにある村は森林という意味になる"フロレスタ"、王都の近くにある大規模農場&牧場がある村は"ファゼンダ"というらしい。

 運営よ。何でもかんでも横文字にしたら格好良いと思うのは間違いだぞと、名前を決めた奴に言ってやりたい今日この頃でもある。


 あぁ、それと……こういった村の情報は定期的にアニスからの手紙で聞いたことだ。え? 手紙なら読むのではないのかって? 何をおっしゃるウサギさん。ここは天下のファンタジー世界ですよ? 

 手紙も紙媒体な訳あるわけないじゃないですか、音声を記録する魔道具があってそれを俺のマイハウス宛に送ってきてくれるんだよ。

 まぁ、魔道具といってもそれ程、大層な物でも無い。木の板や紙等に筆写師のスキルを使い、魔石を砕いたインクで魔法陣を描くことで使える、使い捨て式の魔道具の一種だ。


 それにアニスはまだ、ろくに字が書けないので手紙ではなく音声となっているという訳だ。一応、文字を読む事はかなりできるようになったらしいのだが、偶に頑張って書いた感じが垣間見える手書きの手紙が添えられている事もある。

 あぁ、それとこの世界では一応、魔道具でも紙に文字が書かれた物でも"手紙"と呼ばれている。運営のQ&Aいわく、筆写師のスキルで紙等に描かれた魔道具なので手紙なんだとか、かなり言い訳くさいけどね……


 それと、この魔道具を作っているのは、アニスではなくて村の誰かだとは思う。筆写師も、どんなスキルでも簡単に覚えてしまうスライム族のローズマリーさんに教えたので、彼女か彼女から教えてもらった村人の誰かが作った物だろう。

 まぁ、船を作る時や修繕の時にも必要になるスキルだから、何人かには覚えてもらうようには伝えていたから、今頃は彼女以外も覚えている頃だろう。


 しかし、こうやってアニスとのやり取りをしていて気になった事がある……。


 最初の頃は、今まで通りのたどたどしい口調だったのだが、徐々に普通の喋り方になっていった。

 その時は(アニスも頑張っているんだなぁ)くらいの気持ちだったのだが、しかし今はまるで大人の女性の様な色っぽい声なのだ。

 声を聞く限り、間違いなくアニスなのだが……つまりは前にセリさんが言っていた通りにアニスが成長したんだろうが、一抹いちまつの不安を拭いきれない。


 もしアニスが俺の元を尋ねてきたら、俺はどう対応すれば良いのだろうか? いままで通りに妹のように、子供に接する感じでか? それとも普通の大人の女性として?

 しかもセリさんの話を聞くかぎり、アニスは俺に恋をしているわけで、彼女はまだ13歳だ。それにゲームの中のキャラであるわけだし……


 うあぁ! 本当に俺はどうすれば良いんだぁー!!


 等と暫くの間、ジタバタと悩んでいたOYAZIであった…………。





 「はぁ……起きてもいない事を悩むのは止そう。精神的に良くないからな……ふぅ、さてと! ここは気分を変えるために町へ出るかな、足りない素材も買いたいしな!」


 そう無理やり考えることを止めたOYAZIは、とりあえず作ったハニーラビットの毛皮のフード付きコートを着て、顔を隠しながらジャネイロの町へとくり出した。


 (えーと……とりあえず果物と、野菜を少々……それと瓶かなぁ)


 必要な物を頭の中でリストアップしながら町の商店が多く並ぶ繁華街に差し掛かった時、何やら人だかりができており、大きな声が聞こえてきた。


 (ん? 何だ? 珍しい町中で……PVPプレイヤーバーサスプレイヤーでもしてるのか?)


 俺は暇つぶしになるかと思い、叫んでいる声をよく聞きもせず、野次馬根性でフラフラと人だかりへと近づいて行った。

 そしてその人だかり間から何とか中を覗くと、そこに居たのは尖った耳をした小さな女の子だった。


 (ん? エルフの子供か? いや……ドワーフか?)


 そんな風に考えていると、彼女が叫んでいる内容を理解した瞬間、俺は後ずさりするようにその場から逃げ出していた。

 その彼女が叫んでいた内容は……


 「誰か! この間、この町の南門で特殊なスキルを使った者を知らぬか!? 多くのモンスターの突進をその一撃で葬った者だ! 本当に誰も知らぬのか!? 知っている者が居るなら教えてくれぬか? 余はどうしてもその者と会わねばならぬのだ!」


 取り囲んでいるのは殆どプレイヤーのようで、『可愛い……』『スクショ撮っておこう』『ハァ……ハァ……ロリッ子の王様口調……萌え~』等と言いながら、色々と質問したり、SSスクリーンショットの撮影会のようになっていた。


 (間違いない……俺の事だ。………………うん! 係わり合いになるのを止そう。そうだ、その方がイイ! 君子危うきに近寄らず、だ。)


  そんな事を考えながら、OYAZIはそそくさとその場を離れた。


 そして、何とか人通りの少ない裏路地まで来れたので、俺は深いため息を吐きながら隅っこに座り込んだ。


 (はぁ……やっぱり、まだ俺を探してスキル詳細を聞き出そうとする人がいるのかぁ、しかしこっちの世界の人が何で……まぁ、深く考えてもしかたがないか、やっぱり別の町か王都に行こうかな……まぁ、お金が貯まらないとどうにもこうにもできないけど、とりあえずは明日からは素材集めしつつ防具でも作る準備でもし始めるか……人の噂も75日っていうし、装備を整えている期間でこの騒ぎも落ち着くかもしれないし、ここは時間が解決してくれるまで何処かでひっそりと……)


 そう思っていた矢先に、裏路地に声が響いた。


 「見つけたぞ! お主であろう? あのグランド・ダッシャーを使こうたのは、余の目は誤魔化せんぞ!? お主がコソコソと逃げ出したのを、余はしかと見ておったわ! さぁ! 観念せい!!」

 「…………あっ、人違いです。、善良な冒険者なんで、まだここ着たばかりで右も左も分からないんですよ。」

 「なんと!? そうであったか、すまぬ……とんだ人違いをしてしまったようだな」

 「いえいえ、誰にでも間違いってありますよね、それじゃはこれで……」

 「うむ、ではな!」


 俺はニッコリと笑いながら会釈をし、内心(チョロ甘!? 何この子!?)と思いつつ、その日はなんとかその場を後にしたのだが……


 次の日…………


 「貴様! 余をたばかったな! 町の者に聞いたぞ、グランド・ダッシャーを使こうたのは、渡り人の冒険者が初めに来ている装備で、斧を持ったふけ顔の男だとな!」

 「いや~、それではないですよ。実は、斧使いじゃなくて魔法使いなんですよ。ほら、魔法使いの持っている指輪を装備しているでしょ? この斧はただの採取用に持っているだけなんで」

 「なんと!? そうであったか、すまぬなぁ……何度も何度も間違えてしもうて……」

 「いえいえ、はなんとも思っていませんから」

 (うわ!? この子、信じちゃったよ!? どんだけ純粋なんだ。)


 さらに翌日……


 「きっ、貴様! 何度も余を謀りおって! もう容赦せんぞ! 町の者からさらに話を聞いた。何度、聞いてもお前しかおらぬ! さぁそこに直れ! この……」

 「あっ、初めまして、ところで貴女は誰ですか?」

 「貴様! まだ余のことを謀ろうと……」

 「いえ、は貴女と初めてお会いしますよ? ほら、の装備は初期装備ではないでしょ? それに斧も持っていないですよ?」

 「ほっ、本当じゃ……そうか別人じゃったか……すまぬ余は、また間違いを……」


 (装備外しただけなのに、本気で信じてる!? ヤバイ……なんかこの子面白いわ)


 俺は内心、彼女をからかうのが面白くなってきていた。そしていつものようににこやかに笑いながら、その場を後にする。


 「構いませんよ、それじゃあはこれで……」 

 「ふむ、すまなんだな!」


 で、またまた翌日……


 「貴様ぁぁ!!!! 手討にしてくれる! そこに直れぇぇぇ!!!」

 「ワタシ、コトバチョトワカリマセン! ユクリト、シャベツテクダサイ」

 「そのような世迷言で、もはや余を騙せると思うな!」

 「ふむ、やっぱり無理があったか……」


 (流石にこれ以上は無理か……ならば、アレをやるしかあるまい!)


 「余を散々、コケにしおってからに……もはや許してはおけぬ!」

 「あっ!? 空にピンクのカバが飛んでる!」

 「なんじゃと!? 何処じゃ? 何処におるのじゃ? なぁ♪ …………って、しまった!? 逃げられたぁ!!!」


 そんな事を繰り返すこと更に数日、終に俺は彼女に追い詰められていた。


 「はぁ、はぁ、はぁ……もう逃げられんぞ!」

 「あっ、後ろに赤いアフロヘアーの赤と白のボーダー服に、黄色いつなぎ服を着たピエロが!?」

 「その手は、食わん! 散々、余をもて遊びおってからに……」

 「いやぁ……なんか、反応が面白くてつい……」

 「つい、だと!? ふざけるな! この余を誰だと思うておる!?」

 「いえ、知りません」


 そう俺が答えると、怒っていた彼女の顔は急にキョトンとしたものへ変わった。


 「…………ん? そういえば、余はまだお主に名乗っておなぬかったか?」

 「えぇ……まぁ……」

 「そうか、それはすまぬ…………では、心して聞くが良い! 我が名はスピネル・ド・アマルガム! ドワーフ王国の第四王女である!」


 そう彼女は高らかに言い放った……。


 (うわぁ……絶対これは厄介事だ! ようやくボアの件がなんとか沈静化してきていたのにぃ~、もういやだぁ!!)


 と、心の中でそんな悲痛な叫びを上げつつも、OYAZIは迫り来る波乱の波に飲み込まれていくのであった。

 はぁ……のんのんびよりが、終わってしまう。秋の新作には、特に興味をそそられる作品が無いんだよなぁ、気になるのはルパンとおそ松さん、うたわれるものくらいかなぁ……

 何か旧作のアニメを掘り返そうか悩み中……ロードス島でもまた一気見でもしようかな? それとも不思議の海のナディアにするか……う~ん、プラネテスも捨てがたい……どうしようかなぁ


 まぁそんな俺の事はさておき、季節も秋に変わりだんだん涼しくなってきたので、皆さんも体調に気をつけてください! でわ! ノシ

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