会うは別れの始め
会うは別れの始め とは
『大乗涅槃教』(だいじょうねはんぎょう)、『遺教経』(ゆいきょうぎょう)、『法華経』(ほけきょう)等のお経に書かれていた言葉。
この世で出会った人とは、いつか必ず別れが訪れ、出会いは必ず別れをもたらすという世の無常を表しており、 別れの悲しみや、愛の儚さ、人生の儚さを表すが、それは出会う喜びがあったからこそで、始めがあれば終わりがあり、楽があれば苦があるのと同じように訪れるものなのだから、別れがくるまでの時間を大切にすることが大事だという意味……
「…………平和だなぁ~」
現在OYAZIは晴れ渡る青空の下、麗らかな日差しに包まれて村の側を流れる小川の土手に座り込み、のんびりと釣りを楽しんでいた。
「釣りなんて久しぶりにしたが、結構いいもんだなぁ……」
そんな事を呟きながら釣り糸を垂らしているOYAZI……あれ? 被服師と皮師のレベル上げは? というかロイはどうしたの? っと突っ込みを入れたくなるが、実は皮のエプロンを作り始めた翌日……OYAZIがとある技を覚えた事により、サウンドフロッグをスムーズに狩ることができるようになった。
その為ロイが予想していた日数より早く素材を集める事ができたので、既にロイは既に王都へ帰ったので、村にはいないのであった。
あの日……あの夜、うっすらと地平線が明るくなってきた夜明け前、次の戦闘を終えたら村に戻ろうとロイと相談しながら休憩していた時だった。
OYAZIは先程の戦闘で斧スキルのレベルが上がった時、覚えた技がネットの攻略サイトには載っていない技だったので気になって確認するためステータスを開いていた。
するとそこに載っていたのは、初めて見る技だった。
アースウェイブ・スマッシュ
:渾身の一撃を大地に振り下ろすことで、一定の範囲にいるモンスターに対して衝撃波を打ち出し、距離に応じてダメージ及び怯みの効果を与える技。
(技の発動時に呪文名を追加することで、呪文の効果も追加ダメージを与える事ができる ※発動できる呪文は低級魔法か、詠唱破棄を装備品に登録している呪文に限る)
「ロロロロ、ロイさん。何か凄い技覚えちゃったんですが!?」
「凄い技? あぁ先っきの戦闘でレベル上がったもんな、何覚えたんだ? 斧ならブレイク・スマッシュくらいか? それとも樵の唐竹割りかな? どっちも威力はあるけれど、動きの早いのには当てにくいし、MPの消費が激しいから……」
「ちっ違います! とりあえず見てください!!」
OYAZIは、ステータス画面をパーティーメンバーにも見えるように設定を変え、ロイに新しく覚えた技を確認してもらった。
「……なっ、何だこの技!? 初めて見る技だ。ちょっと待って、サイトで調べてみる!」
そう言って、ロイは慌てていくつものサイトを確認したが"アースウェイブ・スマッシュ"と言う技は何処にも載っていなかった。
しかし何故OYAZIもロイもこれほど驚いているのかというと、魔法以外で範囲攻撃を行える技は基本的には上級のスキルでないと覚える事が出来ないからだ。
しかも魔法で範囲攻撃が出来るといっても、それはエンチャンターの技の魔法効果範囲を増幅すことができる"ウェイブ"という魔法で発動できるのであって、それ以外だと中級スキルの司祭で覚えられる"オール・ヒール"等の回復魔法や、魔法使いのスキルで覚えられる補助魔法等くらいで、戦闘向けの範囲攻撃というのは上位スキルでようやく覚えられるものなのだ。
一応、普通の攻撃や技でも密集している所で攻撃すれば複数のモンスターを巻き込んでダメージを与える事は可能だ。
しかし、それで巻き込めるのは攻撃範囲内のモンスターだけだから、やれたとしても数匹が精々で、確実に広範囲にダメージを与える事はできないのだ。
無論、こちらの技や攻撃で吹き飛ばされたモンスターが他のモンスターにぶつかり、ダメージを与える事はあるがそんな事を狙ってできる者は稀である。
なのでパーティーメンバー募集では、魔法使えるスキルを取っていてサブにエンチャンターを取っている人は初心者でも引っ張りだこなのだ。
そんな理由もあってロイとOYAZIの2人は、ここまで驚いているという訳なのだ。
そして2人は威力検証を兼ねて、この技を試してみることにした。念の為、完全に日が昇って周囲にノンアクティブモンスターばかりになってから、数匹に石を投げつけチェインさせ試してみることにした。
結果は、2人の想像以上だった。おおよその範囲は"アースウェイブ・スマッシュ"発動させた中心点から半径5㍍以内のモンスターに対して中心からの距離に応じてダメージが変化するものだった。
チェインさせたモンスターが低レベルのもあってか、正確なのは分からないが中心から1㍍以内ならモンスターは即死で、おおよそ30㌢間隔で威力は減少しているみたいだった。
怯みの効果も同様で、中心点から遠くなればなるほど効果時間は短いようだ。5㍍ギリギリで3秒程で、30㌢近づく毎に効果が約1秒くらい伸びる感じだ。
無論、消費するMPの量は激しく1回使う毎に休憩を挟まないととても戦える状況ではないし、水分と食事をしっかりとらないと3回使っただけで渇水と空腹状態になってしまった。
しかし今後レベルを上げれば、消費MPは減少するしMP消費軽減のアイテムを装備すれば、解決する問題なのでそこまで気にする必要性はなさそうではあった。
そして、この検証し終わるとロイは、何やら難しい表情をしながらOYAZIと話し始めた。
「ふーむ……恐らくだけどその技は、複数の用途の違うスキルを取得しているからこそ覚えられたモノだと思うんだ。」
「と、言うと?」
「たぶんだけど、この"アースウェイブ・スマッシュ"は鍛冶師で覚える地面にハンマーを振り下ろしてモンスターを叩き潰すクエイクハンマーと、斧のスマッシュ、錬金術師の衝撃波を飛ばすエアーショック、とか様々な技や魔法の集合技だとは思う、他の人はOYAZIさんみたいにこんなに幅広くスキルを取っている人はいないと思うから、誰も下位のスキルで範囲攻撃を覚えられるなんて知らないんだ。」
(まぁ、そりゃそうだろう。普通1人で何でもかんでもやろうとする人は少ない。いや……しようと思う人はいるだろうが、現実的に誰もが諦めるのだ。戦闘系スキルならまだマシだろう。武器を変えて只管戦うだけだ。
新しい武器スキルを取って戦ったとしても身体強化系のスキルや補助スキル等の他のスキルレベルが高ければレベル上げはしやすい、俗に言う『レベルを上げて物理で殴ればイイ』だ。
けれど生産系は、他のスキルレベルが高くてもそれが新しく覚えたスキルに反映される事はあまり例が無い、同系統のスキルなら多少は恩恵があるが基本、生産系スキルはそれ単体で完結するものだ。
いくら木工技師のレベルが高くても、鍛冶師には関係の無いスキルだから補助効果が得られるはずが無い、だから生産系スキルを複数取得する者はいないのだ。ただでさえ製作工程を短縮できる技を覚えるまでに、延々と同じ作業を繰り返してレベル上げをするというM仕様なのに誰が好き好んでそんな事をやりたいと思う人がいるだろうか。
せっかくのファンタジー世界に来ていて、冒険も然程もせずに町に篭もって只管レベル上げ、普通の人ならやりたいと誰も思わないだろう。というかそんな事をしている自分が言えた義理ではないのだが………)
OYAZIがそんな事を考えていたが、さらにロイの話しは続いていた。
「だからこそ、OYAZIさんここはじっくり考えるべきだと思う……」
「考えるって、どういう事ですか?」
「この技をネットに上げるか否かって事だよ。この情報が公開されれば一種の革命だ。上位のスキルでしか覚えられなかったのが下位の、しかもかなり低レベルで覚えられると知ったら、誰もがこぞって万能型を目指すだろう……。」
「そうですかぁ? だってレベル上げは、かなりの苦行ですよ?」
「だとしても、世の中には廃人プレイヤーは結構数がいるよ。情報が公開されれば、このイルザォン・ヘッヂオンラインは上を下への大騒ぎになるのはまず間違いがないと思うよ?」
(確かに……そう言われて冷静に考えてみればそうだろう。いくら苦行のレベル上げだといっても、殆どのレベルが20以下で覚えれたのだから、他のスキルとの組み合わせを探せばこの技以上の凄いのが発見される可能性は十分にある。それを考慮すれば大騒ぎになるのはまずまちがいないだろう、しかもやろうと思えばたった数日でここまでにはできるプレイヤーはいるだろうからな……確かにこれはしっかり考えた方が良いのかもしれないよなぁ……)
2人はどうするか話し合うべく、いったん家まで帰りこの技を公表するかしないのかじっくりと話し合いをした。結果は公開しないことで落ち着いた。
「それじゃあ"アースウェイブ・スマッシュ"は公開しないって事で良いわけだね?」
「はい、現状でも新しく覚えた技を秘匿しているプレイヤーは多いですし、それ以前に自分がどんなスキルを取っているかや、どれくらいのレベルなのかは基本誰も言いませんからね」
「確かにそうだね……年に1回、武闘大会もあるし公開してしまったら強みが無くなるからなぁ」
「ははは……さすがに武闘大会に出るつもりはありませんが、もしもPvPを挑まれた時に不利になりますからねぇ、それに俺はポーション騒動で目立ちましたから……これ以上目立ちたくはないんですよ。」
「フフッ……確かにこの情報を公開したらOYAZIさんの名前は知れ渡るだろうし、十分目立つからギルド勧誘が凄いことになりそうですもんね、了解しました。僕もこの技の事は誰にも言わないと約束するよ。」
「ありがとうございます。あっ、でもロイさんがこの技を覚えたいなら別に万能系になっても構いませんよ」
「ハハハハハ、それこそやらないよ。皮師と被服師で辛かったのに、それ以外の生産系をやろうとは思わないよ。」
そう笑いながらロイは、"アースウェイブ・スマッシュ"の情報を他人に口外しないと約束してくれた。そしてこの技のお蔭でたった2日あまりで、サウンドフロッグの皮は集め終わることができ、ボスエネミーのノイズフロッガーは、ロイが初めに言っていた通り簡単に倒す事ができた。
なのでノイズフロッガーがリスポーンする間、適当にモンスターを狩ったり皮師や被服師のレベル上げを手伝ってもらったりしながら時間を潰し、4日経たずして予定分の素材を集めきったのだ。
「しかし心苦しいな、レベル上げに付き合うって言っておきながら数日しか教えられなくて申し訳ない。しかし本当にこれ以上教えなくて大丈夫かい? 別にコスプレ衣装の発表には、まだ期間が結構あるから暫く教えられるよ?」
「それこそ、こっちが心苦しいですよ。家のレンタル料金も払っていないのにまだ3ヶ月近い期間があるんですから、お礼しきれないですよ。」
「そうかい? 何だか心苦しいがOYAZIさんがそう言うなら今回はお言葉に甘えさせてもらうとしよう。それじゃあ僕はこれで!」
「はい、色々とありがとうございました。」
「お互い様さ! 僕は暫くジャネイロの町にいるから、何かあったら何時でも連絡してくれ!」
「はい分かりました! それじゃあまた!」
「うん、また今度!」
素材を集めきった翌日、ロイは村長の家へ赴き貸家の契約の移譲を行い、身支度を済ませると村を出る準備を済ませた。
OYAZIとロイは村の入り口へ来た。そして互いに笑顔で話し手を振り合いながら別れを済ませると、ロイは使い捨てマジックアイテムを取り出しジャネイロの町へと転移していった。
「ふぅ……行っちゃたか、ちょっと寂しいかな……リアルだとたった4日の出来事だけれど、楽しかったなぁ…………うし! それじゃあ頑張って皮のエプロンを作っていきますか! 素材は大量にあるんだしな」
OYAZIは寂しさを誤魔化すかの様に、大きな声を出し自らに言い聞かせながら貸し家へと戻っていった。
という事があったのが10日前の出来事である……。そして現在OYAZIは村の側に流れる川で釣りの真っ最中、周りにはノンアクティブモンスターが昼寝していたり仲間でじゃれあったり、草を食べたりしていてのんびりとした空気が流れていた。
しかしどうしてOYAZIが釣りをしているのか? それは……単純に皮のエプロン製作に飽きてしまったからだ。
いや飽きたと言うより、行き詰った。と言うべきかもしれない……ロイに勧められて作っていたこの皮のエプロン、OYAZIなりにもっと評価が高いものができないか? と試行錯誤をしてみたが、大した物は作れなかった。
皮を鞣す方法を変えたりしてみたものの、いくら試しても評価5以上の物は作れないでいた。
(鞣す方法は3つしかないから、それを変えても変化がたいして無いって事はやっぱり素材の品質かそれとも、もっと別の方法があるのか虱潰しにやってみるしかないよなぁ)
皮を鞣す方法は、3種類存在する。1つ目が古代からのやり方で"タンニン鞣し"というやり方だ。これは草や木を煮詰めてタンニンを多く含んだ汁に漬け込み皮を柔らかくする加工方法だ。
この"タンニン鞣し"はタンニンを含む濃度の異なる基本3種類の液に順番に浸すことで柔軟で痛みにくく、80℃~90℃の温度まで耐えれようになるやり方だ。
2つ目が"クロム鞣し"と言われる方法で、塩基性硫酸クロム塩という薬剤を溶かした水に漬け込み柔らかくする方法。
これは現代で一番ポピュラーな加工方法でタンニンとは違い、110℃まで耐えれる様になる方法だ。しかしタンニンを使う方法より加工の工程が多いのが難点でもあり、この塩基性硫酸クロム塩が錬金術師のスキルでしか作れず、薬剤の値段が高いのだ。
だからタンニンに比べて価格が上がり、もとが取り難い方法でもある。
3つ目が混合鞣しと言われる方法で、これは1つ目と2つ目のそれぞれの液に漬けてやる方法で、漬け込む具合によって皮の性質が変わるので皮に合った漬け込み時間を変えていかなくてはならない方法だ。
これは、タンニンと塩基性硫酸クロム塩に漬ける度合いで性質、品質共に変化するので素人がやるには難しい方法でもある。
この3つの方法意外にも現実には多数の皮の鞣し方法が存在するが、このイルザォン・ヘッヂオンラインにはこの3つの方法しかない、一応油を使って皮を鞣す方法を実践してみたプレイヤーがいたみたいだが、高レベルで"上位皮職人"と言う今のところの皮師の上位スキルを取っているプレイヤーが実験してみたらしいのだが、上手くできなかったらしい。
無論、皮の加工は鞣し意外にも乾燥させたり、スモークで炙ったり、叩いて皮自体を伸ばしたり、水で優しく揉んだり洗ったりと、工程は様々だ。
今回のサウンドフロッグの様な滑らかな皮だとしないが、毛皮等では毛先の長さを揃えたり、毛が抜けてしまわないように薬剤を塗布したりと加工方法も変わる、なので扱う皮の用途にあった加工方法が存在するため、実に難しいスキルである。
もちろんレベルが上がれば、作業短縮という技を覚えるので一度作った品物は材料さえ揃っていれば、あっと言う間に加工できてしまう。
しかし、この作業短縮は1度作った品物の評価も変わらないので、もし高品質な物を作ろうと思うと技を使わず1から加工しなくてはならないのが難点だ。
なので、ロイ曰く出来るだけ最初作る時に評価が7以上の物を作れるまで試行錯誤を繰り返した方が、後々楽なんだとか…だからOYAZIは出来る限り試行錯誤を繰り返していたのだが、どんなにやり方を変えても評価が5以上にならないので、村での買い取り価格も安いままなのである。
なので実験用に町まで戻って何か使えそうな素材を買ってこようと思っても、足代にも届かないのでこうして気分転換も兼ねて釣りをしているという訳なのだ。
「町まで帰るには、馬車か馬か徒歩の三択…馬車なら片道2千クート、馬だと借り代が1日1500クートで町に預ける料金が1回200クートで1日預かってくれて、借主にもしもの時の保険料が5千クート……う~ん馬は無理だなぁ、何も無かったら5千クートは帰ってくるけれど現在の手持ちが無いから無理だ。後は徒歩だけど往復で最短2日、余裕をみれば3日~4日……ただの移動にこれだけの時間を掛けるのもなぁ」
(結局のところ、今の評価5の皮のエプロンとポーションでちまちま稼いで馬車か馬で町に行くのがベストなんだろうけれど、このままだと町での買い物分の費用を考えると後1ヶ月はこの村で只管皮のエプロンを作り続けるのか、それはそれでかなりの苦痛だよなぁ……はぁ)
そうやってがっくりとうな垂れながら釣りをしていると、竿に何ら反応があった。
「おっ!? キタキタキター! フィッシュオン!!」
先程までの陰鬱な気分は何処へやら、グイグイと川面に引っ張られる手製の竿をOYAZIは嬉しそうに引いていた。
そして数分の格闘の末、釣り上げられたのは…………
アブラボテ コイ目 コイ科
水の澄んだ河川、用水路等に生息している、主に単独で生活しおり縄張りを形成している。稚魚は群れを形成し、水草等の間に潜み生活しており 食性は雑食で、小型の水生昆虫や甲殻類、藻類等を食べる。観賞用の魚として人気があった魚で、その身は苦く基本的に食用とされることはない。さらに肝吸虫等の寄生虫を保持する可能性があり、生食は薦められない。
「…………アブラボテって確か準絶滅危惧だった筈だぞ? それにこいつ観賞用の魚じゃん! しかも寄生虫がいるじゃん! それに美味しくないみたいだし、この川さっきから釣れる魚おかしくないか!?」
OYAZIは驚きながらも魚に付いた針を取り、手製の木のバケツにピチピチと跳ねるアブラボテを入れた。そしてバケツの中で泳ぎまわるアブラボテの周りには、同じように泳ぐ今日のOYAZIの釣りの成果たちがいた。
ブルーギル スズキ目 サンフィッシュ科
フライパンに収まりやすい魚=“パンフィッシュ”とも呼ばれ、湖や池といった止水域や流れのごく緩やかな河川に生息し、生存可能な水温水質の幅は広く溶存酸素が不足していなければ水質汚濁にも比較的強い魚で、雑食性で水生昆虫・甲殻類・貝類・小魚・魚卵などいろいろな小動物を捕食するが、餌料生物が少ないときには水草も食べる繁殖力の強い魚である。
ワタカ コイ目 コイ科
湖岸などの浅い水草の茂った所やヨシ場などで、河川の下流域など流れがあまりない水路などにも多く見られ、幼魚はミジンコ類や水生昆虫・付着藻類を食べるが成長するにつれて水草などを好んで食べるようになり、成長すると雑食性で成魚は小魚なども食べる。ワタカの身は小骨が多くてあまり美味しくはなく、食用にされる事はほとんどない。
等々……これ以外も釣れた魚は、食べても美味しくないと言われている物か、絶滅危惧種だったりする魚ばかり釣れているのだ。
因みに"釣り"スキルは趣味スキルと分類されるスキルの1つで、Expポイントを消費せず取得する事ができるスキルである、無論上位のスキルにアップする時はExpポイントは必要だが消費するポイントが他のスキルに比べて少なく済むのだ。
しかしこの趣味スキルに分類される物は、基本的に戦いに使える技を覚えないので本当にゲーム内でやる趣味の1つとして取る物とされている。
さて、釣り上げる瞬間まで生き生きとしていたOYAZIであったが、今日釣れた魚を確認していたが何やらブツブツと喋りながら膝を抱えて、座り込んでしまった。
「最初はお約束どおり、長靴とか藻とか釣れたけれど、ようやく魚が釣れはじめたと思ったらブルーギルだし、釣りのスキルレベルが上がるにつれて釣れる魚は絶滅危惧種ばかりだし、なんなのこの川! と言うか俺がおかしいのか? そうなのか? これはやはりレベル上げから逃げた俺への天罰で……」
そんな事を口走りながら悩んでいると、隣から何やらピチャピチャと音が聞こえてきたので気になって振り向くと、そこには真っ青なスライムがバケツに入れておいた魚たちを、ムシャムシャと食べていた。
「!? なっ、えっ……おっ、俺の魚ぁぁぁ!?」
OYAZIは驚き、そう叫ぶとスライムはビックリした様子で飛び跳ねながら慌てて草むらに駆け込み、その体をプルプルと震えていた。
「うっ、あぁ……その……す、すまない……ちょっと驚いてしまって大声を出してしまった。驚かせるつもりも、怒ってもいないから出てきて大丈夫だよ。」
そう優しく声を掛けると、スライムは草むらからそっとその体を出し、こちらを見ているようだった。
(危ない危ない……確かスライムはこの世界では魔族に分類される種族だったな、危うくモンスターだと思って斧を取り出すところだった。ふぃ~ギリギリセーフ……)
そう、このイルザォン・ヘッヂオンラインの世界ではスライムはモンスターではない、しっかりとした種族なのだ。
分類としては魔族の1つにされ、主に森の中に10~20人? 匹? どちらで言うのが正しいか分からないが、それくらいの人数で村を形成し住んでいる。
無論、魔族が治める国に多く住んでいるのだが、稀に他の種族の国で暮らしている事もあり、OYAZIもジャネイロにいた時にスライムの冒険者を見たことはあった。
外見としては、体の色は様々で半透明のゼリー状の体をしており服や鎧も装備している。一応よくゲーム等でみるお饅頭型や雫型の姿にも成れるようだ。
なのであそこにいるスライムはこの世界の住人でありNPCというわけなのだ。
(しかし何で魚を食べていたんだろう? しかも雫型の姿で……まぁ何にせよ、俺はこの世界の人とは仲良くしていきたいと思っているからな、それにしても何でこの村にいるんだろう? 旅の途中? 魚を食べたのは腹が減りすぎていたから? う~んよく分からん……)
そんな事を考えながらも、OYAZIは笑みを絶やさず優しい口調でスライムに話しかけ続けた。
やはりどうしても週1のペースくらいになってしまいますね、今回じつはサブタイトルを本来は『別れなくして出会いなし』ということわざにするつもりでしたが、この意味が載ったのを探すことができず『会うは別れの始め』としました。
話は変わりますが、ドラクエ8がリメイクみたいですね(だいぶ遅い情報ですいません…)今回は声入りだということですが、どうして3DS … orz 家庭用でだしてよ、何で携帯ゲーム機……RPGなんだから据え置き機でやりたいのにぃ、うぅ…




