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類を以て集まる

類を以て集まるとは

 『"易経えききょう"の繋辞上伝けいじじょうでんという章に書かれており』

 性格が似ているもの同士は、知らない間に自然と集まってしまうという意味……

 



「ログインした空間がいきなり馬糞の匂いが立ち込めていると、何だろう…心に何かくるものがあるなぁ……」


 ログインした瞬間、そんな何とも言えない気分を味わったOYAZIは、荷物をその場に置くと馬小屋の持ち主の所へと向った。


「小屋を貸していただきありがとうございました。」

「なーに、別に構わんさ」

「それで、今夜も借りたいので荷物をそのままにしておきたいのですが、大丈夫でしょうか?」

「おぉ構わねぇだよ、不安なら家で預かるけんど、どうするべ?」

「あっ、そうしていただけると安心です。」

「ほんなら、ほらコレが家の鍵だべ、分かりやすい所に置いといてくれれば良いべさ」

「ありがとうございます。荷物は夜になったら取りに来ますので」

「あいよ、無理はしんようになぁ」


 持ち主から鍵を預かると、馬小屋に置いておいた荷物を持ち主の家の玄関脇に置かせてもらい、鍵は丁重にお礼を言いながら持ち主に返すと、OYAZIは素材集めに村を出た。





(とりあえず、当面の目標は素材を集めて村で売ってそれなりの額になるまでお金を貯めて、家を借りるかな、そうしたら本格的に"皮師"と"被服師"を上げるとしよう)


 そんな事を考えつつ、村近くの草原に出ると何やら人影が見えた。多少、警戒しつつ近づくとそこには皮でできた、全身青タイツ?みたいな服装の男が真っ赤な槍を振り回し、ノンアクティブモンスターのハニーラビットと戦っていた。


「てめえにゃ負けらんねえなっ!」

「次は決死の覚悟を抱いてこい!」

「終わりだっ! ゲイッ! ボルク!!!」


 っと何やら1人で叫びながら、この周辺で最弱モンスターを一方的に襲っていた。


(あー、確か随分ずいぶんと昔の元が同人から始まった会社の作品で、エロゲーのキャラだよな……俺もアニメは見たことはあるが、なりきりプレイって奴かな?)


 OYAZIはそんな風にコスプレ姿の男を眺めていると、男は周囲にいたハニーラビットをいともたやすく倒し終わると、こちらの存在に気がつき話しかけてきた。


「おっ! こんにちは~、プレイヤーの人?」

「あっ、ハイそうです。」

「いや~、なんか恥ずかしい所を見られちゃったね……」

「キャラになりきって、ロールプレイをしている訳じゃないんですか?」

「あぁ、この格好? 僕は、生産系のギルド"コスプレ同好会"に所属していて今度の集まりで着る衣装を試していたのさ」

「へぇ~、それって結構昔にあった元がエロゲーのキャラですよね?」

「おぉ!? 知っているのかい!? 久しぶりに、この作品知っている人と出会ったよ、嬉しいなぁ」

「俺もそこまで詳しい訳ではないんですけどね、でも生産で槍って珍しいですね?」

「ん? あぁ、このゲイボルグは衣装に合わせて装備しているだけで、別に槍使いではないのさ」

「それにしては結構簡単に倒していましたが?」

「スキルレベルがそれなりにあるからね、ごり押し しただけだよ。」


 そんな風にコスプレ男は気さくに話しかけきて、2人はF〇te談義だんぎに花を咲かせ、OYAZIはその男と直ぐに打ち解ける事ができ、楽しく話をしているうちに、自分の今までの事や自分がこの村に来た理由なんかも話していた。


「なるほどね、万能生産型とは珍しいねぇ」

「ハハハ、だから昨日の夜もサウンドフロッグから尻尾巻いて逃げる事しかできなかったんですけどね」

「あいつらは、1人だと厄介だからねぇ……う~ん、その……提案というかお願いがあるんだけどいいかな?」

「お願い……ですか?」

「あぁ、実を言うと僕は、そのサウンドフロッグの皮を集めに僕は来ているんだけれど、大型アップデートが来たせいで、この村にはプレイヤーが居ないんだ。そこで君にお願いなんだけど、僕と一緒に素材集めに手を貸してくれないか?」

「それは構いませんが、俺では足手まといになりません?」

「1人でやるよりマシさ、それに君は薬剤師も取っているんだろ? 実は倉庫のポーションがもうほとんど空でねぇ、今は全てNPCの物でまかなっていたから大変だったんだ。」

「えっと、つまり俺はポーション提供と戦闘中にある程度のサポートをすれば良いって事ですか?」

「そう! その通り、もちろんタダでとは言わないさ、僕は先っき言った通りコスプレ衣装を作っているから、君がレベル上げしたいと言った"皮師"と"被服師"を取っているからある程度教える事ができる、それと僕は村に家を借りているからそこの利用も付けるって事でどうだろう?」


 OYAZIにとっては、思いもよらない嬉しい提案だったので1も2も無く受けるつもりでいたが、多少気になる事があった。


「俺にとっては願ったり叶ったりで嬉しいですけど、それって今日だけって事ですか?」

「んー、一応コスプレ衣装が完成するまでかな? 今着ているのは試作品だから、本番用の素材集めと、あともう一着似た感じの赤い色のも作るから、リアル時間で数日かかるかな?」

「なるほど、けど同じギルドの人に手伝ってもらった方が確実で安全じゃないですか? 俺だと足を引っ張りそうだし…」

「それが無理なんだ、今回は自分の衣装は自分で作るがテーマでやってるからギルドメンバーに頼めないんだ。フレンドもアップデートで出来たダンジョンに潜っているから手伝ってくれないから、途方に暮れていた所だったんだよ」

「そういう理由でしたか、分かりました! こんな俺で良かったらお手伝いします」

「そうか! ありがとう!!」

「えっと、フリーで生産をやっているOYAZIです。よろしくお願いします!」

「あぁ! よろしく、僕は生産系ギルド"コスプレ同好会"に所属しているロイだ、よろしく!」

「こちらこそよろしくお願いします。とりあえずフレ登録しても良いですか?」

「あぁ、そうだね…はい」

 

 ロイとフレンド登録を済ませると、OYAZIの荷物をいったんロイが借りている家に運び入れる事になった。そのため再び馬小屋の持ち主のもとを尋ねた。


「すみません度々」

「な~に構わんよ、もしまた馬か小屋を借りたい時は声をかけてくりょうなぁ」

「はい、その時はまたお願いします」


 持ち主と話を済ませ、荷物を受け取りロイが借りている家へと向った。








「そう言えば、その槍ってロイさんが作ったんですか?」

「まさか、僕も含めてギルドメンバーは"皮師"と"被服師"をメインにしたスキルしか取ってないさ、このゲイボルグは別のギルドの"ディリュージョン・クラフター"に作ってもらった物さ」


「"ディリュージョン・クラフター"?」

「直訳すれば"妄想の創造者"だね、このギルドはアニメ・漫画や伝説上の武器を再現している生産系ギルドさ」

「へぇ~、それじゃあ、その槍も心臓を穿つという呪が……」

「ないない、そんな事できたらゲームバランス崩れちゃうよ、あくまで形だけの代物さ」

「そうですかぁ……ちょっと残念ですね」

「そうなんだよなぁ、せめて赤いオーラみたいなのをまとわせられたらいいんだけどな」


 そうやって笑いながら、ロイは槍をブオンッと勢い良く回してポーズを決めた。そんな感じに互いの事を話していると、ロイが借りている家に到着した。


「っと、ここが僕が借りている家だ。さっ入って入って」

「おじゃましまーす……。けっこう広いですねぇ」

「まぁね、作業する為にはこれくらい広さがないと作業しにくいからね、えっと寝室は2階なるからとりあえず荷物はそこに置いてきてくれるかい?」

「あっ、はい……。」


 OYAZIは2階にある寝室にリュックを置いてくると、1階のテーブルでロイがお茶の用意をしており、OYAZIに椅子に座るようにと勧めた。


「とりあえず今後の予定を細かく決めよう」

「はい、えっと一応、夜はサウンドフロッグ狩りですよね?」

「あぁ、それで昼間は自由行動でいいかな、僕は基本的昼間はここで作業しているからOYAZIさんは狩りに行っても良いし、ここでレベル上げしても良いって事で! もちろん分からない所があったら遠慮なく聞いてくれて構わないからね」

「分かりました。そういえば赤いのも作るって言ってましたけど、それもサウンドフロッグの皮で作れるんですか?」

「いや、赤いのは夜に出るサウンドフロッグのボスエネミー、ノイズフロッガーって真っ赤なカエルの皮で作る」

「ボスエネミーですか!?」

「心配しなくても良いよ、まずはOYAZIさんと一緒に戦ってみてどうするか判断するからさ」


 そう言いながらロイは装備を外し始めた。


「どうしたんですか!?」

「ん? このままじゃあ戦い難いから、普通の装備に変えるんだよ」

「あぁ、ずっとコスプレはしていないんですね」

「そりゃあそうだよ、コスプレ衣装はデザインだけでDefとか耐久とかがメチャメチャ低いから、まともな戦闘には耐えられないよ」

 

 ロイはそう笑いながら話し、鱗と皮で出来た軽装の装備に変え両腕には小さめの半球状の盾を装備した。


「もしかして、ロイさんって……シールダー?」

「そうだよ!」


 シールダーとは、盾をもちいて近接で戦う格闘家の様なモノだ。どうやらロイは小盾を使って素早く動きながら戦うスタイルのようだ。


「一応、"格闘家"と"忍"を取っているから、けっこう素早く動けるんだ。それに一対一タイマンなら"影縫い"っていう相手の動きを一時的に止めれる技を使えるから、ボスエネミーとは相性は良いんだ。けど雑魚戦がな、辛いんだわ……」

「あぁ、近接職の辛い所ですよねぇ……俺は斧だからある程度距離は保てますけど、ロイさんは大変そうですね」

「ホントそうなんだよ! しかも僕は生粋の近接職じゃないから、Defが低くてHPゴリゴリ削られるから、ポーションの消費が激しいのなんのって、はぁ」


 落ち込むロイをはげましつつ、夜の戦いに向けて2人は準備を始めた。

 やはり毎日更新は難しいですね、完全にストックが無くなっているので早くて2~3日更新になりそうです。


 そういえば、『ドリフターズ』がアニメ化らしいですね!最近。好きな漫画や小説がアニメ化になって嬉しいばかりです。早く銀英伝の新しいアニメ見てみたいなぁ、声優はいったい誰がやるんだろう……


 一部修正しました。夜中に書いていたもので、元が同人から始まった会社と書くつもりが、作品そのものが同人になっていましたね、すいませんでした。

 それと、ゲイボルグに関するコメントありがとうございます、ちょっと不安だったので、一応伏せててみたんですが必要なさそうですね。


 今後とも何かご指摘ありましたら、言っていただけるとありがたいです。

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