六月十七日ー月曜日ーAM三時十七分
六月十七日
月曜日ーAM三時十七分。
日曜日の全チャンネルの番組が終わり、画面は砂嵐となり、『ザーッ』という音が部屋に散らばっていく。
咲恵はテレビを消そうとチャンネルリモコンに手を伸ばそうとした、その瞬間、テレビ画面は真っ暗になり、『ザーッ』というノイズも消え、テレビから発せられる独特な電波音が咲恵の耳の奥で静かに鳴り響いた。
「あれぇ…? なんだろ…?」
咲恵は真っ暗になったテレビ画面をしばらく見ていた。
「なんだろ…何か…いる…?」
真っ暗なテレビ画面が徐々に明るくなる。
「え…?」
テレビ画面には大きなビルの真下からビル屋上を見上げるそうな映像が映し出された。
ステレオからは音は出ていなかった。
「テスト映像か何かかな…?」
咲恵はしばらくその映像を見続けたが特に変化がないためチャンネルリモコンに手を取りテレビを消そうと赤い電源ボタンを押した。
「あれ……? 消えない……?」
チャンネルリモコンが故障したのか、電池が消耗したのかしたのだろうと、咲恵はリモコンを振ったり叩いたりして、またテレビに向けリモコンの電源ボタンを押しテレビの電源を消そうとしたが。
「消えない……? え……? 何か……。」
大きなビルの真下から屋上を見上げ写す静止映像の変化に咲恵は気付いた。
「何か……落ちてくる…?」
テレビ画面に映し出された大きなビルの屋上から、真下から撮影する画面中央に何か落ちてきていた。咲恵から見た感じでは、その何かは落ちていると言うよりこちらに向かい迫っているような感じだった。
「え、何? 何なの…?」
リモコンではテレビの電源は消えないと思った咲恵はテレビ本体の電源ボタンをカチャカチャと何度も押した、が、テレビの画面では何かが迫り続けてきていた。
咲恵はテレビのコンセントを抜き、強引にテレビを消した。
「消えた…。」
テレビ画面は真っ暗になり、テレビから流れ出る独特な電波音は咲恵の脳内から出ていき、部屋は無音…壁の上部に掛けた丸くて可愛らしいピンクの掛け時計の秒針の音だけが部屋に響き渡っていた。