六月九日ー月曜日ーAM三時十七分
六月二十三日。
月曜日…AM三時十七分。
「何……コレ……?」
咲恵は目を見開き、両手で手を塞ぎながら深夜放送が終わった後のテレビを眺めて言った。
ーー。この、二週間前。ーーー
日はまたぐが、この日は日曜日ともあり、全チャンネルは砂嵐やレインボーテロップにより画面から『ピー』という音や、『ザー』という音しかしていなかった。
咲恵はあるチャンネルで深夜番組を見ていた が、それが終わった瞬間、画面は砂嵐になり、テレビのステレオからは『ザー』っという音が漏れ出していた。
咲恵は画面をそのままにし、トイレへと行った。
咲恵の部屋がある二階にはトイレはなく、部屋を出てすぐ右手にある階段を下り、右手前にUターンするように階段下りるとすぐ右手前にあるトイレへと入り、用を足し、自分の部屋に戻ると咲恵はテレビを見て不思議に思った。
「あれ……? テレビが消えてる…?」
砂嵐が映し出され『ザーッ』というノイズが流れ出ていたはずのテレビの画面は真っ暗に なり、無音になっていた。しかし、咲恵はテレビから出る独特の電波音みたいなものは聞き感じたため、テレビの電源はついたまま画面が暗くなっているのだと悟った。
咲恵は、六畳間の奥角に斜めに設置した黒光りする無音のテレビの前に座った。
「はぁーあ…この時間てなんか暇だなぁ…。」
今時は、日曜日の深夜三時十五分、
「いつまでもこんな生活してらんないよね…。」
咲恵は昼夜逆転の生活になっていた。
朝方時にベッドに入り眠りにつき、夕方時にベッドから這い出る生活が二ヶ月近く続いていた。
「そろそろ真面目に仕事探さないと…よし! 明後日から真面目に仕事探ししよ…!」
毎日のように心に決めては変わらずダラダラと過ごす毎日。
築三十年近く経つ四LDKの赤い屋根瓦に薄汚れた白い壁に所々ヒビが目立つ一軒家に咲恵と母親の二人は細々と暮らしていた。
父親は三年前に他界していた。死因は不明。咲恵には知らされなかった、母親が教えてくれなかったのだ。咲恵は父親の死因に関しては特に気にしなかった。咲恵はあまり父親とは仲が良くなかった為あまり関心がなかった。
「はぁ…眠い…もう寝よっかな…。」
咲恵はピンク色のキャラクター柄の長座布団から腰を上げながら、無音で黒光りする、しかし、電波音だけは放つ二十四型の置き型液晶テレビの電源を、直径百センチ程の丸型テーブルに置いてあった黒く細いチャンネルを利き手である右手で拾い上げ、テレビに向け赤い電源ボタンを人差し指で押した。
ーープツンッーー
テレビチャンネルをテーブルに置くと、咲恵は、ピンクと白を基調とした女の子らしく可愛い感じでフカフカのベッドへと身をしまい込んだ。
「おやすみなさぁい…。」
時刻は三時十七分、夏が近いせいか、カーテンの隙間からはうっすらと明るみを帯びた漆黒が咲恵の部屋をのぞき込んでいた。
六月九日。
月曜日…AM三時十七分。
外ではポツポツと雨が降り始めた。