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そして帰国

ぶっ飛びングだ! 本編!

なんやかんやとあった修学旅行もあっという間に終わった。

まぁ特に何があったかと言われれば『俺が迷子になって木村に殴られた』という思い出だけが残った気がする。むしろその衝撃でほかの思い出が吹っ飛ぶくらいの威力はあったと思う。

そのあとは木村の機嫌を損ねてしまったようで、まともに口を聞いてくれなかった。姉さんと吉川さんがフォローしてくれてたみたいだけど、俺のフォローには渡辺が来てくれたので、さっぱり事情がわからなくて困った。しかし渡辺曰く、『木村も結構心配してたぞ。罪深き男だな』とか言っていたので、全面的に俺が悪いようだ。あとから謝っておいたのだが、プンスカモードから切り替わることはなく、飛行機で隣の席になるまでずっとプンスカしっぱなしだった。

そして今。

家に帰るまでが遠足とは言うが、もうこのほぼ貸切と化している飛行機内では、修学旅行は終了したも同然だった。

あっちでキャッキャ、こっちでキャッキャ、そっちでキャッキャしているところを見て、『これから地獄へ行くんだな』とは思わないであろう。ゴートゥーヘヴンだ。

窓側に座った木村は、飛び立ってから雲の上を飛ぶまでの間、ずっと外を見ていた。ちなみに俺は3列シートの真ん中。通路側は空席。その間木村はほとんど喋らず、無言を貫いていた。

やっぱり俺が悪いんだよな。一応謝ったんだけどなぁ……。

でも迷子になるのって仕方なくない? このポケモン作ろーって思って動画見ながら厳選とかしてたら、動画の型が素敵に思えちゃってそっちに迷子になりそうなことだってあるじゃん。あれだって仕方ないよね? ポケモンは作るもの。レートを上げるための道具だ。しかし愛着は湧く。道具にだって愛着は湧く。エンチャントしたダイヤピッケルが壊れそうになるとなんか悲しくなるもん。どうして効率4の幸運3なのに耐久だけ付かないの? むしろ効率よりも耐久をくれ。修理に経験値と素材使うのはもったいなくて……。

とかそんなことを思っていると、木村が窓の外の景色に飽きたのか、シートについている機内販売のパンフレットを読み始めた。

これはマズイな。本格的に怒ってらっしゃるのかしらん? 仕方ない……俺も大人だ。

俺は開いていたラノベを閉じて言った。もちろん開いていただけで中身なんて頭に入ってきてはいない。


「木村。悪かったな」

「……」


返ってこない返事。まさか返事まで迷子ですか?

そう思って木村のほうを見てみると、そこにはなにやらニヤニヤとした木村がいた。


「……なにニヤニヤしてんだよ」

「だって、嬉しくて。えへへ」


なんだこいつ。


「いや、意味分かんねぇから」

「だいたいあんたが悪いんだからね。一回怒り始めちゃったら、いつ許せばいいかわかんなくなっちゃって、それで機会がなくなっちゃって……でもこうしてまた機会を作ってくれたわけだし、えへへ」


語尾に『えへへ』がついている。『敬具』的な?

ってゆーか聞いてれば、俺が悪かったところが見つからんぞ?


「それ、ニヤける必要ねぇだろ」

「いいの。私の勝手でしょ」

「まぁいいならいいけどさ」


仲直りが目的だったわけだし。


「でもホントに心配してたんだからね」

「悪かったって。後ろ姿がお前に似てたんだから仕方ないだろ」

「いい加減に彼女の後ろ姿ぐらいフィーリングで感じ取りなさいよ」

「そんなニュータイプ的な感覚は持ち合わせていないけどな」

「強化人間でもいいわよ」

「過度な訓練はよしてください」


俺がそう言うと、木村がアハハと笑った。


「いろいろあったけど、楽しかったわね」

「俺はお前に殴られた思い出しかない」

「もっと行きたい所とかあったんだけどなぁ。それに何より時間が足りない」

「まぁ旅行なんていつでも行けるだろ。人生長いんだし」

「一人で行けっていうの?」


ニヤニヤとした木村の視線が俺の横顔に刺さる。見なくてもわかる。もしかしてニュータイプになれたのだろうか。


「俺たちだってこれから長いだろ」

「聖地巡礼とかしてみたいんだよねー。京都なら、あとは稲荷山神社とかも行ってみたい!」

「あっ。そーだった。あそこも聖地だったもんな」

「お稲荷さん?」

「ライダー」

「あんなのいろんなやつで出てきてるじゃん! そんなにライダーライダー言ってるなら、関東に住めばいいじゃん。特撮の聖地の宝庫じゃん」

「お前こそ聖地聖地って、そんなに聖地が好きなら関東に住めばいいだろーが」

「残念でしたー。最近の聖地は関東だけじゃないんですー」

「俺だって別に聖地が好きってわけじゃないしー。むしろ露天掘りとかの整地のほうが好きですー」

「でもまた京都に来たいね」

「いつかな」

「新婚旅行とか?」

「……気が早すぎるだろ」



俺たちを乗せた飛行機は、途中で墜落して謎の絶滅危惧種が生息している島にたどり着くこともなく、無事に蝦夷に降り立ったのだった。


この数年後に、木村と結婚することになろうとは、俺はまだ予想すらしていなかったのだった。




おしまい。


というわけで、これにて論外編も完結となります。

間隔が空いてしまったことをお詫びします。すんませんでしたっ!(威圧)


というわけで、とにもかくにも完結扱いとさせていただくわけですが、短編でいくつかぼっちくんをあげてますんで、それをこのあとに差し込んで完結とさせていただきます。


ではそちらもお楽しみくださいませー

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