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修学旅行と言えば

修学旅行といえば、観光名所を巡りながら、何気に勉強になりそうなところを見学したりしなかったり、団体写真を撮ったり撮らなかったり。はたまた無駄に貸し切ったお食事処で団体でギュウギュウ詰めになって昼食をとったりとらなかったり。

それぞれの学校で違うのかもしれないが、今回の修学旅行はそんな感じだった。

飛行機を降りて、バスでの移動だけでも若干ぐったりなのに、そこからそんな団体行動してたらなおさら疲れるわ。こちとらツアーで来てるんじゃないんだ。そこらへんの旅行好きなおばちゃんと一緒にしないでもらいたい。しかも俺はあの貸切で使うバスがダメなんだ。なんか絶対って言うほど酔う。匂いがダメなんだ。あの独特なバスの匂いがダメ。降りた時は、誰よりも開放感を味わっていることだろう。

そんな初日を終えて、ホテルに入って、あらかじめ割り振られていた部屋に入ると、俺は荷物を置いてフーッと腰を下ろした。

初日から超疲れた。特に乗り物系。


「おぉ! 結構いい部屋じゃん!」

「枕投げ出来そうだな!」

「マジですんの? でもちょっと楽しみな俺がいたりするー。ってか夜飯っていつからだっけ?」


俺の旅のルームメイトは、渡辺、川崎、あともう一人。名前忘れた。俺ってば名前覚えるの苦手なんだよね。なんか渡辺と同じサッカー部のやつ。便宜上A君としよう。主人公のせいで自殺しないといいけどな。


「小野ー。この温泉まんじゅうって食っていいのかな?」

「いいんじゃね?」


はい。A君は小野だそうです。残念。不正解。

小野と川崎は、テーブルの上にあった温泉まんじゅうの包み紙をバリバリとはがして、モサモサと食べ始めた。


「ほれ」


それを見ていた渡辺が俺のほうに温泉まんじゅうをホイっと投げてよこした。

べ、別に温泉まんじゅうが好きなわけじゃないんだからな。ただ渡されたから食べるだけであって、まんじゅうとかどら焼きとか超好きなわけじゃないんだからな温泉まんじゅううめー。


「どうする? 夜飯まで微妙に時間あるぞ」


現在午後4時。

夕食を食べる大食堂へは、5時集合となっている。

俺を除いた3人は、あと1時間の時間をどう潰すかという話になっていた。

俺はそんな話し合いには参加せず、かばんの中からラノベを取り出して、それを読む作業に取り掛かった。

しばらく周囲の雑音をシャットアウトして読んでいると、ポケットに入れたままのケータイがブルっちょした。

びっくりしてビクンとなってしまったが、渡辺以外は気づいてなかったみたいなので、気にせずにケータイを開いた。


『暇でしょ? 売店集合』


・・・Oh.

木村からのメールにはこんなことが書かれていた。

行かないとまたぶつくさ言われるんだろうなと考えると、ちょっと憂鬱だった。いくら恋人だからって、この一方的な呼び出しはひどくないですか?

俺はラノベをカバンにしまって立ち上がり、部屋を出ていこうとした。


「何? どっか行くのか?」

「まぁちょっと」

「木村か?」


メールが来たことを知っている渡辺が俺に聞いてきた。

川崎と小野は首を傾げている。


「売店集合なんだってよ。ちゃんと5時には大食堂行くから。よろしくな」

「ちょっと待ってよぉ」


川崎と小野が立ち上がって俺の肩に手をかける。


「俺たちを置いていくなんてひどいじゃないかー」

「これが彼女持ちの余裕ってやつー?」


いくら暇だからってこれは酷い。よいこのみんなはこんな人間にはならないようにして欲しい。




「・・・おまたせ」

「・・・何、そいつら」

「ほら! 基本はホテル内でもグループ行動だっていうじゃん?」

「だから俺らも来たってわけー」


まさか俺がこいつらの暇つぶしに使われるとは思わなかった。

他3人の姿を視認した木村の顔が険しくなっていく。すでに『おこ』『まじおこ』『激おこぷんぷん丸』なんかはすっ飛ばして、『ムカ着火ファイヤー』までワープ進化してしまっているのが目に見えてわかる。『よくわかる木村紗枝』みたいな本が無くてもわかるレベル。

その時だった。


「あれ? 渡辺じゃん。それに渡辺に小野も。こんなとこで何してんの? あっちにみんないたよ」


救いの姉御、伊織ちゃんがやってきて俺たちに声をかけた。

正確には俺と木村以外のその他に声をかけた。


「マジで? じゃあ向こう行こうぜー」

「なんだよ。みんな集まってるなら最初からあっち行ってたのになー」


そう言いながら俺らの元を離れていく川崎と小野。

朝起きたら布団で簀巻きにしてやる。

そして残ったのは俺と木村と渡辺。


「お前も行けよ」

「あれ? 俺もダメ?」

「渡辺。あんたもおいで」

「はいっ」


姉さんに呼ばれて、犬のような嬉しそうな声を出してそっちに行く渡辺。

あいつはもうだめだ。あの超人編集者が所属する教団Mにでも入れてもらうように誰か言っておいてください。

見事な手際で俺と木村を二人っきりにした姉さんは、こっちを見て小さく笑い、渡辺犬を引き連れて去っていった。

マジでかっこよかった。


「姉さん、かっこよかったな」

「うん。あんたと付き合ってなかったら惚れてたわ」

「奇遇だな。俺もだ」


そして木村に蹴られた。理不尽な世の中である。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とかあれば書いていただけると嬉しさ満開です。


4月なのに、寒いです。

ストーブつけてます。

北海道・・・春はいつになったら来るんでしょうか?

ゴールデンウィークが先か春が先か。うむ。


次回もお楽しみに!

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